舟渡国際法律事務所

日本人の妻(夫)が知っておくべきこと|在留特別許可で配偶者の役割と別居の影響

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日本人の妻(夫)が知っておくべきこと|在留特別許可で配偶者の役割と別居の影響

日本人の妻(夫)が知っておくべきこと|在留特別許可で配偶者の役割と別居の影響

2026/10/11

日本人の妻(夫)がいることは、在留特別許可においてガイドラインが特に考慮する積極要素ですが、それは夫婦が共同生活を続け、婚姻が安定かつ成熟していることが前提であり、別居していたり、日本人配偶者に婚姻を続ける意思がなかったりすれば、その効果はほとんど期待できません。

外国人の夫(妻)が刑事事件や入管の手続に巻き込まれたとき、結論を左右するのは、日本人配偶者自身の姿勢と夫婦の生活の実態です。日本人配偶者だからこそ果たせる役割と、知っておくべき落とし穴を、公表事例に沿って整理します。

本記事の要点

  • 日本人との法律上の婚姻は、夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力扶助し、婚姻が安定かつ成熟していることを条件に、特に考慮する積極要素になります(ガイドライン第2の2(1)ウ)。
  • 公表事例には、日本人配偶者がいながら、配偶者に婚姻継続の意思がない事案や、別居の記載がある事案で不許可とされた例があります。
  • 反対に、婚姻が約33年4月に及ぶ事案では、窃盗による実刑判決を受けていても入管法50条1項ただし書により許可された例があります。
  • 外国人配偶者が「日本人の配偶者等」で在留していれば、執行猶予付きの判決で入管法24条4号の2が適用されることはありません。

日本人と結婚していれば、在留特別許可は認められやすいのですか。

評価の出発点は有利です。ただし、法律上の婚姻があるだけでは足りず、婚姻の実質が問われます。

「当該外国人が、日本人又は特別永住者と法的に婚姻している場合(退去強制を免れるために、婚姻を偽装し、又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)であって、夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助しており、かつ、夫婦の間に子がいるなど婚姻が安定かつ成熟していること」(在留特別許可に係るガイドライン第2の2(1)ウ)

共同生活、協力扶助、安定と成熟という三つの言葉が並んでいます。どれも、日本人配偶者が日々の生活の中で示し、証明していくものです。考え方の詳細は婚姻が「安定かつ成熟」とはで説明しています。

日本人配偶者がいても、不許可になった公表事例はありますか。

あります。日本人配偶者がいる事案でも、罪の重さや前科のほか、別居や婚姻継続の意思の有無が記載されたうえで不許可とされた例があります。

公表事例本人の刑事処分婚姻・同居の状況結論
令和7年分(2025年)・配偶者が日本人の場合・ただし書許可第1事例窃盗 懲役(当時の刑名。現行法の拘禁刑に相当)1年2月の実刑婚姻約33年4月許可(日本人の配偶者等)
令和6年分(6月10日以降)・同類型・許可第2事例入管法違反(不法残留) 懲役2年6月・執行猶予4年婚姻約2月許可(日本人の配偶者等)
令和7年分・同類型・不許可第3事例傷害 懲役5年の実刑婚姻約10月、配偶者に婚姻継続の意思なし不許可
令和6年分(6月10日以降)・同類型・不許可第1事例傷害・道路交通法違反 懲役2年2月の実刑、前科2件配偶者及び子と別居、在留特別許可歴あり不許可
令和6年分(6月10日以降)・同類型・不許可第2事例入管法違反(不法就労助長) 罰金20万円の略式命令婚姻約34年2月、配偶者と別居不許可

不許可の事例には、重い実刑や前科、不法就労助長(ガイドライン第2の3(1)イの特に考慮する消極要素)といった事情も重なっており、別居や婚姻継続の意思だけで結論が決まったとは言えません。それでも、公表事例がわざわざこれらを特記していることは、判断の中で意識されている事情であることを示しています。

別居していると、どのように評価されますか。

ガイドラインは「夫婦として相当期間共同生活をし」ていることを求めているため、別居はこの要素を弱める方向に働きます。婚姻が約34年2月に及んでいても、別居の記載とともに不許可とされた例があります。

仕事や親の介護など、やむを得ない理由で別に暮らしている場合は、その理由と、別居中も連絡や生活費の援助などの協力扶助が続いていることを、具体的な資料で示す必要があります。夫婦関係に問題を抱えている場合の考え方は別居・離婚の危機があるとき在特はどうなるかをご覧ください。

日本人配偶者の婚姻を続ける意思は、なぜ重要なのですか。

婚姻の安定と成熟は、夫婦双方の意思があってはじめて成り立つからです。日本人配偶者が婚姻を続ける意思を示さなければ、在留を認める前提そのものが揺らぎます。

令和7年分・配偶者が日本人の場合・不許可第3事例には「配偶者に婚姻継続の意思なし」と記載されています。配偶者が永住者の事案でも、令和3年分・配偶者が正規在留外国人の場合・不許可第2事例に同じ記載があります。夫(妻)の事件にショックを受け、気持ちが揺れるのは自然なことです。それでも、夫婦を続けると決めたのであれば、その意思を陳述書などの形で、具体的な生活の事実とともに伝えることが大切です。書き方は配偶者の陳述書・嘆願書の書き方で説明しています。

外国人配偶者の在留資格によって、刑事事件の影響は変わりますか。

変わります。外国人配偶者が「日本人の配偶者等」で在留していれば、別表第二の在留資格なので、別表第一の人に適用される入管法24条4号の2は当たりません。

判決の内容日本人の配偶者等(別表第二)技術・人文知識・国際業務など(別表第一)
窃盗・傷害等で拘禁刑・執行猶予付き4号の2は適用されない退去強制事由に当たる(24条4号の2)
薬物事件で有罪(罰金・執行猶予を含む)退去強制事由に当たる(24条4号チ)同左
1年を超える拘禁刑の実刑退去強制事由に当たる(24条4号リ)同左

日本人と結婚していても、就労の在留資格のまま在留している場合があります。まずは夫(妻)の在留カードで、どの在留資格で在留しているかを確認してください。

外国人の夫(妻)が帰化すれば、問題は解決しますか。

日本人の配偶者には帰化の要件を緩める規定がありますが、刑事事件を抱えた段階での帰化は現実的とは言えません。素行の要件までは緩められていないからです。

「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。」(国籍法7条)

緩和されるのは住所要件(5条1項1号)と年齢・能力要件(同項2号)で、素行が善良であること(同項3号)は残ります。帰化を考えるなら、何も問題が起きていないうちに検討しておくべきものです。

日本人配偶者として、今できることは何ですか。

夫婦の生活の実態を記録に残すこと、婚姻を続ける意思をはっきり示すこと、そして刑事事件の初動から弁護士と連携することです。

  • 同居の事実、家計の共同、子の監護養育を示す資料をそろえる
  • 勾留中の面会や手紙のやり取りを記録しておく
  • 入管の手続に入ったときは、監理人を引き受けることも検討する(入管法44条の2)
  • 陳述書で、出会いから現在までの生活と、今後の生活の見通しを具体的に伝える

当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間を使って家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。ただし、結果は個別の事情によって異なり、許可を約束できるものではありません。夫(妻)の逮捕を知ったら、早めにご相談ください(日本人配偶者の刑事事件を弁護士に相談)。

よくある質問

Q1. 結婚して間もないのですが、不利になりますか。

婚姻期間は婚姻の安定と成熟を判断する一つの事情です。ただ、令和6年分(6月10日以降)・配偶者が日本人の場合・許可第2事例のように、婚姻約2月で許可された例もあります。同居や家計の共同など、期間の短さを補う実態を示すことが大切です。

Q2. 夫が逮捕された後に結婚しても、評価されますか。

公表事例では、逮捕後や収容中に婚姻が成立した事案は、ほぼ例外なく不許可とされています。婚姻の時期そのものが、退去強制を免れるための婚姻ではないかという疑いにつながりやすいためと考えられます。

Q3. 別居中ですが、陳述書を出す意味はありますか。

あります。別居の理由と、別居中も協力扶助が続いていることを具体的に示すことで、婚姻の実質を説明できます。婚姻を続ける意思があるかどうかは、日本人配偶者にしか語れない事情です。

Q4. 夫が日本人の配偶者等であれば、執行猶予で退去強制になることはありませんか。

窃盗・傷害等の罪で執行猶予付きの拘禁刑を受けても、入管法24条4号の2は別表第一の在留資格の人が対象なので適用されません。ただし、薬物事件は執行猶予や罰金でも24条4号チに当たります。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体):日本人配偶者应该了解的事|在留特别许可中日本人妻子(丈夫)的作用与分居的影响

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