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拘禁刑とは|令和7年6月1日施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

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拘禁刑とは|令和7年6月1日施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

拘禁刑とは|令和7年6月1日施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

2026/09/10

拘禁刑とは、受刑者を刑事施設に拘置し、その改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、または必要な指導を行うことができる自由刑をいう。(刑法12条)

  • 令和4年改正刑法により創設され、令和7年6月1日に施行された
  • 改正前の2種類の自由刑を1つに統合した刑である
  • 作業は一律の義務ではなく、処遇の手段と位置づけられた
  • 刑の重さの相場が改正によって変わったわけではない
  • 外国人は1年を超える実刑かどうかが在留の分岐点になる

拘禁刑はいつから始まったのか

令和4年6月に成立した改正刑法により創設され、令和7年6月1日から施行されている。刑法典に定められた自由刑の種類が改められたのは、明治40年の現行刑法の制定以来である。改正前は、作業を義務づける自由刑と、作業を伴わない自由刑の2種類が置かれていた(改正前の刑名は懲役および禁錮である)。

改正前の自由刑と何が違うのか

最も大きな違いは、作業が刑の内容そのものではなくなった点にある。改正前は作業に服することが刑の内容として法定されていたため、受刑者の年齢や心身の状態にかかわらず、作業を中心とした処遇にならざるを得なかった。拘禁刑では、作業と指導が並列に置かれている。

項目改正前の自由刑拘禁刑
種類作業を伴うものと伴わないものの2種類1種類に統合
作業作業を伴う刑では法律上の義務改善更生のため必要な範囲で行わせる
指導作業の合間に行う位置づけ作業と並ぶ処遇の柱
有期の刑期1月以上20年以下1月以上20年以下
適用令和7年5月31日以前の行為令和7年6月1日以後の行為

なぜ2つの自由刑を1つにしたのか

受刑者ごとの事情に応じた処遇を可能にするためである。高齢の受刑者が増え、若年層では再犯防止の教育が課題となる一方、作業を義務とする建前のもとでは指導の時間を確保しにくかった。作業を伴わない刑でも多くの者が自ら願い出て作業に従事しており、2種類を分ける実益も乏しくなっていた。

拘禁刑になると刑務作業はなくなるのか

なくならない。作業は引き続き行われ、多くの受刑者にとって日課の中心であることも変わらない。改まったのは、作業を行わせるか、どの程度の時間を指導に充てるかを、改善更生の必要性から決められるようになった点である。薬物依存からの離脱指導や就労支援に、より多くの時間を配分することが想定されている。

施行日より前に行われた犯罪はどう扱われるのか

施行日前の行為については、改正前の規定による刑が言い渡される。令和7年6月1日以後の裁判であっても、対象となる行為がそれより前であれば、改正前の刑名で言い渡されることがある。すでに確定した刑の執行についても経過的な取扱いが定められている。過去の裁判例の刑名は、現行法では拘禁刑に相当するものとして読む。

外国人が拘禁刑を受けると在留資格はどうなるのか

薬物事件を除けば、1年を超える実刑かどうかが最も大きな分岐点になる。1年を超える拘禁刑に処せられた者は退去強制事由に当たるが(入管法24条4号リ)、同号のただし書により、刑の全部の執行猶予を受けた者は除かれる。刑の一部の執行猶予でも、猶予されなかった実刑部分が1年以下であれば同号には当たらない。

これに対し、薬物関係の退去強制事由(同条4号チ)は別の構造をとる。有罪判決があれば足り、罰金でも刑の全部の執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格が別表第一か別表第二かも問わない。薬物事件は刑期による線引きの外に置かれている。薬物法令に違反して刑に処せられた者は年限の定めのない上陸拒否事由(入管法5条1項5号)にも当たり、出国命令の制度も利用できない。

このほか、入管法73条の罪により拘禁刑に処せられた場合は、刑期を問わず退去強制事由(同法24条4号ヘ)に当たる。刑期だけで判断せず、罪名ごとに条文を確認したい。

言い渡された刑薬物以外の一般的な事件薬物事件
罰金刑期による退去強制事由には当たらない24条4号チに該当
全部の執行猶予24条4号リのただし書により除かれる24条4号チに該当
1年以下の実刑24条4号リには当たらない24条4号チに該当
1年を超える実刑24条4号リに該当24条4号チに該当

退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可の判断がある。令和5年改正により申請手続が法定化され、考慮事情が入管法50条5項に明示された。もっとも、1年を超える実刑を受けた者などについては、同条1項ただし書が特別の事情を要求している。刑事事件の段階から量刑の見通しと在留への影響を併せて検討しておきたい。

よくある質問

拘禁刑になって刑が軽くなったのですか。

軽くなってはいません。改正は自由刑の種類と内容に関するものであり、各罪の法定刑や量刑の考え方を変えるものではありません。作業の位置づけが改められ、指導や教育に時間を充てやすくなった点が実質的な変化です。刑名の変更に伴い、判決文や報道の表記も改まりました。

すでに服役している人の刑名も変わるのですか。

施行日前の行為については改正前の規定による刑が言い渡され、すでに確定した刑の執行についても経過的な取扱いが定められています。服役中の方の処遇が施行によって直ちに切り替わるわけではありません。個別の扱いは担当の刑事施設や弁護人にご確認ください。

執行猶予が付けば在留資格に影響しませんか。

薬物事件以外であれば、刑の全部の執行猶予は入管法24条4号リのただし書により退去強制事由から除かれます。ただし薬物事件は同条4号チにより、執行猶予でも罰金でも該当します。退去強制事由に当たらない場合でも、在留期間の更新では素行が考慮されます。

判決で1年ちょうどの実刑になった場合はどうなりますか。

入管法24条4号リは1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としていますので、1年ちょうどの実刑は同号には当たりません。ただし、薬物事件や入管法73条の罪など、刑期を問わずに退去強制事由となる類型は別に定められています。刑期だけで判断せず、罪名ごとの条文の確認が欠かせません。

裁判で拘禁刑の言渡しを受けた後、何をしておくべきですか。

控訴の可否を検討するとともに、在留手続で用いる資料を早い段階で整えておくことが大切です。家族関係、在日期間、就労先、再犯防止の環境などは、後の在留特別許可や在留期間の更新の場面で考慮されます。早めに準備を始めておくと、手続の見通しが立てやすくなります。

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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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