禁止命令等とは|ストーカー規制法の命令の要件・期間・違反の罰則と警告との違い
2026/09/10
禁止命令等とは、つきまとい等または位置情報無承諾取得等をして相手方に不安を覚えさせた者が更に反復してするおそれがあると認めるときに、都道府県公安委員会が、相手方の申出により、または職権で、更に反復して当該行為をしてはならないことなどを命ずる命令をいう。(ストーカー規制法5条1項)
- 命令を出すのは警察署ではなく都道府県公安委員会である
- 警告を経ずに発することができる
- 原則として事前に聴聞が行われ、緊急時は事後に意見の聴取を行う
- 効力は1年で、必要があれば1年ずつ延長できる
- 違反してストーカー行為をすれば2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
禁止命令等は何を命ずるのか
命ずる内容は2つである。第1に、更に反復してつきまとい等または位置情報無承諾取得等をしてはならないこと(5条1項1号)。第2に、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項である(同項2号)。後者には、たとえば、取り付けたGPS機器を取り外すことなどが考えられる。
どのような場合に発せられるのか
要件は、同法3条の規定に違反する行為、すなわちつきまとい等または位置情報無承諾取得等をして、相手方に身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる行為があったことと、その者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認められることである。
相手方の申出によるほか、公安委員会の職権でも発することができる。平成28年の法改正以降、警告を経ていることは要件とされていない。
手続はどのように進むのか
公安委員会は、禁止命令等をしようとするときは、行政手続法上の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない(5条2項)。命令は、国家公安委員会規則で定める書類を送達して行うのが原則である(同条11項)。
ただし、相手方の身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要があるときは、聴聞や弁明の機会の付与を行わずに禁止命令等をすることができる。この場合、公安委員会は、原則として命令の日から15日以内に意見の聴取を行わなければならない(同条3項)。
効力はいつまで続くのか
禁止命令等の効力は、命令をした日から起算して1年である(5条8項)。公安委員会は、継続する必要があると認めるときは、相手方の申出により、または職権で、有効期間を1年間延長することができ、その後も同様に延長することができる(同条9項)。
警告とはどう違うのか
警告は、警察本部長等(警視総監、道府県警察本部長または警察署長)が、更に反復して当該行為をしてはならない旨を告げるものであり(4条1項)、警告に違反したこと自体を処罰する規定はない。これに対し、禁止命令等は公安委員会が発する命令であり、違反には刑罰が定められている。
| 項目 | 警告 | 禁止命令等 |
|---|---|---|
| 根拠 | ストーカー規制法4条1項 | ストーカー規制法5条1項 |
| 行う機関 | 警察本部長等 | 都道府県公安委員会 |
| 手続の始まり | 相手方の申出または職権 | 相手方の申出または職権 |
| 事前の手続 | 定めなし | 原則として聴聞 |
| 期間 | 定めなし | 1年(延長可) |
| 違反した場合 | 直接の罰則なし | 刑事罰 |
違反するとどうなるのか
禁止命令等(5条1項1号に係るもの)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられる(19条1項)。これ以外の禁止命令等の違反は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金である(20条)。なお、ストーカー行為そのものも、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象である(18条)。
命令を受けると、ほかにどのような影響があるのか
禁止命令等を受けた日から3年を経過していない者は、銃砲刀剣類所持等取締法の許可を受けることができない(同法5条1項15号)。警告を受けた場合も同様である。外国人の方については、命令を受けたこと自体は退去強制事由ではないが、違反により刑に処せられれば、在留期間の更新などで素行として考慮される。
よくある質問
禁止命令等は、警告を受けていなくても出されますか。
出されることがあります。ストーカー規制法5条1項は、警告を経ていることを要件としていません。相手方の申出のほか、公安委員会の職権でも発せられます。
禁止命令等を出される前に、言い分を述べる機会はありますか。
原則として聴聞が行われ、意見を述べ、証拠を提出することができます。緊急の必要があるとして事前の聴聞なしに発せられた場合も、命令の後に意見の聴取が行われます。
禁止命令等の期間は延長されますか。
効力は1年ですが、継続の必要があると認められれば1年ずつ延長できます(同法5条9項)。延長の処分にも、聴聞などの手続の規定が準用されます。
身に覚えのない申出で禁止命令等の手続が始まったら、どうすればよいですか。
聴聞の機会に、事実関係と証拠を示して反論することが重要です。やり取りの記録など客観的な資料を保全し、早めに弁護士にご相談ください。
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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
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