逆送(検察官送致)とは|少年事件が刑事裁判になる要件、原則逆送と特定少年の特例
2026/09/10
逆送(検察官送致)とは、家庭裁判所が、拘禁刑以上の刑に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質および情状に照らして刑事処分を相当と認めるときに、決定をもって事件を検察官に送致することをいう。(少年法20条1項)
- 少年事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られる
- 家庭裁判所が刑事処分を相当と認めると検察官に送り返される
- 行為時16歳以上で被害者を死亡させた故意の事件は原則逆送
- 特定少年は逆送の範囲がさらに広い
- 逆送されると、検察官は原則として起訴しなければならない
なぜ「逆」送というのか
少年の事件は、捜査を終えると、検察官から家庭裁判所に送致される(少年法42条)。家庭裁判所がこれを刑事処分相当として検察官に送り返すことから、逆送と呼ばれる。
どのような場合に逆送されるのか
家庭裁判所は、拘禁刑以上の刑に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質および情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、検察官に送致しなければならない(少年法20条1項)。行為時に14歳以上の犯罪少年が対象であり、14歳未満の触法少年は刑罰を科されないため対象とならない。
原則逆送とは何か
故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件で、行為時に16歳以上であった少年に係るものについては、家庭裁判所は原則として逆送しなければならない(少年法20条2項)。ただし、犯行の動機および態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状および環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
特定少年の場合はどう違うのか
特定少年(18歳・19歳)については、拘禁刑以上の刑に当たる罪に限らず、刑事処分相当と認めれば逆送することができる(少年法62条1項)。また、死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件で行為時に特定少年であったものも、原則逆送の対象とされている(同条2項2号)。
| 区分 | 逆送の対象 | 原則逆送の対象 |
|---|---|---|
| 14歳未満 | 対象外(刑罰を科されない) | 対象外 |
| 14歳以上18歳未満 | 拘禁刑以上の刑に当たる罪の事件 | 行為時16歳以上で故意に被害者を死亡させた罪の事件 |
| 特定少年(18歳・19歳) | 罪の種類を問わない | 上記に加え、死刑・無期・短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件 |
逆送された後はどうなるのか
逆送を受けた検察官は、原則として公訴を提起しなければならない(少年法45条5号)。起訴された後は、成人と同じく刑事裁判で審理される。刑事裁判の段階でも、裁判所は、事実審理の結果、保護処分に付するのが相当と認めるときは、事件を家庭裁判所に移送しなければならない(同法55条)。
逆送を避けるために何ができるのか
家庭裁判所は、罪質だけでなく情状を総合して判断する。被害者への謝罪と被害回復、家庭や学校・職場の受入れ体制、少年自身の内省の深まりなどを具体的に示すことが、保護処分相当との判断につながる。付添人となる弁護士の活動が重要となる。
よくある質問
逆送されると必ず刑務所に入りますか。
いいえ。刑事裁判の結果、執行猶予が付くこともあります。また、刑事裁判所が保護処分相当と認めれば家庭裁判所に移送されます(少年法55条)。
逆送されると実名で報道されますか。
17歳以下で逆送・起訴された場合も、推知報道の禁止(少年法61条)は適用されます。特定少年のときに犯した罪で起訴された場合は、この禁止が適用されません(同法68条)。
外国籍の少年が逆送されると、在留資格に影響しますか。
刑事裁判で拘禁刑などに処せられると、刑の内容によっては退去強制事由に当たることがあります。保護処分であれば刑罰ではありませんが、在留期間の更新などで素行として考慮されることがあります。
関連する用語解説
最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所 https://matsumura-lawoffice.jp/ 微信ID:matsumura1119