特定少年とは|18歳・19歳の少年事件の特例、逆送の拡大と実名報道を弁護士が解説
2026/09/10
特定少年とは、少年法の適用を受ける少年のうち、18歳以上の少年をいう。(少年法62条1項)
- 18歳と19歳は特定少年として少年法の対象に残された
- 令和4年4月1日施行の改正少年法で創設された
- 原則として逆送される事件の範囲が広げられた
- 保護処分は犯情の軽重を考慮して相当な限度で選ばれる
- 起訴されると推知報道の禁止が適用されない
特定少年はなぜ設けられたのか
民法の成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、18歳と19歳の少年の扱いが見直された。改正少年法(令和4年4月1日施行)は、18歳と19歳を引き続き少年法の対象としつつ、「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を設けた。
逆送の範囲はどう変わったのか
家庭裁判所は、特定少年に係る事件について、刑事処分を相当と認めるときは検察官に送致しなければならない(少年法62条1項)。17歳以下の少年と異なり、罰金以下の刑に当たる罪の事件も対象となりうる。
さらに、①故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件で行為時16歳以上の少年に係るもの、②死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件で行為時に特定少年であったものについては、原則として逆送しなければならない(同条2項)。②により、強盗罪なども原則逆送の対象となった。
保護処分にはどのような特例があるのか
家庭裁判所は、特定少年については、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内で、6月の保護観察、2年の保護観察、少年院送致のいずれかをしなければならない(少年法64条1項)。罰金以下の刑に当たる罪の事件では、6月の保護観察に限られる。
少年院送致の場合は、決定と同時に、3年以下の範囲内で収容する期間を定める(同条3項)。
| 項目 | 17歳以下の少年 | 特定少年(18歳・19歳) |
|---|---|---|
| 原則逆送の対象 | 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(行為時16歳以上) | それに加え、死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪 |
| 保護処分 | 保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致 | 6月または2年の保護観察、少年院送致(犯情の軽重を考慮) |
| 推知報道の禁止 | 適用される | 起訴された場合は適用されない(略式手続を除く) |
実名報道はどうなるのか
少年法61条は、家庭裁判所の審判に付された少年などについて、本人を推知させる記事や写真の掲載を禁止している。しかし、特定少年のときに犯した罪により公訴を提起された場合には、この禁止は適用されない(同法68条)。ただし、略式手続による場合は除かれる。
刑事裁判になった場合、刑はどうなるのか
逆送されて起訴された特定少年は、成人とほぼ同じ刑事手続で裁かれる。18歳未満の者に対する死刑の緩和(少年法51条)は、行為時に18歳以上であった特定少年には適用されない。外国籍の特定少年の場合は、刑事処分の内容が在留資格にも影響するため、早い段階から見通しを立てる必要がある。
よくある質問
19歳で逮捕されました。成人と同じ扱いですか。
特定少年として少年法の対象です。事件は原則として家庭裁判所に送られますが、逆送される範囲が17歳以下より広く、起訴されれば実名報道の禁止も適用されません。
特定少年でも少年院に送られますか。
送られることがあります。その場合、家庭裁判所は3年以下の範囲内で収容期間を定めます(少年法64条3項)。
20歳になった後に事件が発覚した場合はどうなりますか。
少年法の手続は、処分の時点で20歳未満であることが前提です。20歳に達した後は、成人として刑事手続が進むのが原則です。
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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
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