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不起訴・罰金を目指す意味|入管法24条4号の2の境界と永住・帰化への影響を弁護士が解説

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不起訴・罰金を目指す意味|入管法24条4号の2の境界と永住・帰化への影響を弁護士が解説

不起訴・罰金を目指す意味|入管法24条4号の2の境界と永住・帰化への影響を弁護士が解説

2026/10/11

「技術・人文知識・国際業務」や「留学」など別表第一の在留資格で在留する外国人にとって、刑事事件を不起訴か罰金で終えることは、入管法24条4号の2の退去強制事由を生じさせないという、在留上きわめて大きな意味を持ちます。同号は「拘禁刑に処せられた」ことを要件としており、執行猶予が付いても該当する一方、罰金だけなら該当しないからです。

もっとも、薬物事件は罰金でも退去強制事由に当たり、罰金は永住許可や帰化の審査にも影を落とします。どこに境界があるのかを正確に知ることが、刑事弁護の目標を決める出発点になります。

本記事の要点

  • 入管法24条4号の2は、別表第一の在留資格の人が一定の罪で拘禁刑に処せられたことを要件とするため、不起訴や罰金のみなら同号には当たりません。
  • 拘禁刑であれば全部執行猶予でも4号の2に当たるため、別表第一の人にとって「執行猶予なら安心」とは言えません。
  • 薬物事件は罰金でも4号チに当たり、不法就労助長や売春関係の行為は刑罰の有無と関係なく退去強制事由になり得ます。
  • 罰金も永住許可ガイドラインの「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」に関わるため、目指せるなら不起訴が最善です。

入管法24条4号の2の「境界」とはどこにありますか。

境界は「拘禁刑に処せられた」かどうかにあります。罪名が同号に挙がっていても、罰金だけで終われば同号には当たりません。

「別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪又は盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律第二十二条の罪により拘禁刑に処せられたもの」(入管法24条4号の2)

刑法の章で言えば、住居侵入、文書偽造、傷害、窃盗、詐欺などが含まれます。対象は別表第一の在留資格の人に限られ、永住者や日本人の配偶者等など別表第二の人には同号は適用されません。条文の「処せられた」は、判決の確定を指すものとして運用されています。

処分の種類によって、退去強制事由との関係はどう変わりますか。

別表第一の人の場合、不起訴と罰金は4号の2に当たらず、拘禁刑はその長さや執行猶予の有無にかかわらず当たります。薬物事件だけは、罰金でも4号チに当たります。

刑事事件の終わり方4号の2(別表第一・対象罪)4号チ(薬物)4号リ(1年超の拘禁刑)
不起訴当たらない当たらない当たらない
罰金(略式命令を含む)当たらない当たる当たらない
拘禁刑・全部執行猶予当たる当たる当たらない
拘禁刑1年以下の実刑当たる当たる当たらない
拘禁刑1年超の実刑当たる当たる当たる

4号リは刑の全部の執行猶予を除外しているのに対し、4号の2は除外していません。執行猶予の扱いが正反対である点に注意してください。

なぜ執行猶予では足りないのですか。

4号の2は、執行猶予を除外していないからです。別表第一の人が窃盗や詐欺で拘禁刑に処せられれば、刑務所に行かなくても、判決の確定によって退去強制事由が生じます。

そして、退去強制の手続に入った後の在留特別許可の見通しは、配偶者の在留資格によって大きく左右されます。当事務所が平成26年分から令和7年分までの公表事例を原典で精査したところ、配偶者が別表第一の在留資格で、本人に刑事処分(執行猶予付き判決を含みます)がある事例は8件あり、すべて不許可でした。たとえば、令和6年分(2024年・6月9日まで)・配偶者が正規在留外国人の場合・不許可第3事例は、詐欺・電子計算機使用詐欺・道路交通法違反により懲役1年6月、執行猶予3年(当時の刑名。現行法の拘禁刑に相当)の判決を受けた事案で、配偶者は「技術・人文知識・国際業務」でした。

別表第一の家族にとって、罰金と執行猶予付きの拘禁刑の差は、在留を続けられるかどうかの差になり得ます。詳しくは入管法24条4号の2とはをご覧ください。

罰金でも退去強制事由に当たるのは、どのような場合ですか。

薬物事件と、刑罰とは別に行為そのものが退去強制事由とされている場合です。

入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法など薬物関係の法律を列挙したうえで、次のように定めています。

「又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者」(入管法24条4号チ)

「有罪の判決」とだけ定めているため、罰金でも執行猶予でも当たり、在留資格も問いません。また、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせる行為(24条3号の4)や、売春に直接に関係がある業務に従事すること(24条4号ヌ)は、刑罰を受けたかどうかにかかわらず、その行為自体が退去強制事由です。オーバーステイ(不法残留)も同様です。これらの事件では、罰金で終わっても退去強制の問題は残ります。在留資格別の整理は罰金で済めば退去強制にならないのかで詳しく扱っています。

不起訴と罰金では、何が違いますか。

罰金は刑罰であり、永住許可や帰化の審査で不利に評価される事情になりますが、不起訴であれば刑罰を受けたことにはなりません。将来の永住や帰化まで考えるなら、不起訴が最善の目標です。

永住許可に関するガイドラインは、法律上の要件の目安の一つとして、「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。」を挙げています。帰化についても、国籍法5条1項3号が「素行が善良であること。」を条件としています。さらに、在留特別許可のガイドラインは、50条1項ただし書に当たらない刑罰法令違反も、その反社会性の程度に応じて消極要素として考慮するとしています(第2の3)。

将来の永住や帰化を考えるなら、不起訴の可能性を最後まで追う意味があります。不起訴処分の種類や効果は不起訴処分とはで説明しています。

不起訴や罰金を目指すために、捜査段階で何ができますか。

逮捕直後から、在留への影響を踏まえた弁護方針を立てることです。起訴されるかどうか、どの処分になるかは捜査段階でほぼ決まるため、この時期の対応が結果を大きく左右します。

  • 初回の接見で、在留資格と罪名から、どの退去強制事由に当たるおそれがあるかを正確に説明する
  • 被害者がいる事件では、謝罪と被害弁償、示談の可能性を早期に探る
  • 事実に争いがある場合は、取調べへの対応を助言し、不当な供述調書を作らせない
  • 家族や勤務先の協力を得て、再発防止の環境を示す資料を集める
  • 検察官に対し、在留への影響を含めた事情を伝え、処分についての意見を述べる

示談が成立しても不起訴になるとは限らず、最終的な判断は検察官が行います。それでも、在留の境界を理解して目標を定めるかどうかで、取り組みの優先順位は大きく変わります。

拘禁刑が避けられない見込みのときは、どう考えればよいですか。

判決確定までの時間を、家族の在留を整えるために使うことを考えます。刑事判決を理由とする退去強制事由は判決の確定によって生じるため、適切に争えば、確定までに一定の時間が生まれることがあります。

その間に、配偶者が永住許可を受けるか帰化すれば、在留特別許可のガイドラインが婚姻を「特に考慮する積極要素」とする場面(第2の2(1)ウ、(2)ウ)に入ることができます。控訴・上告は被告人の正当な権利であり、被告人だけが控訴した事件では原判決より重い刑を言い渡すことはできません(刑事訴訟法402条)。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間に配偶者の在留上の地位を整え、在留特別許可を得た実績があります。ただし、結論は個別の事情によって異なり、お約束できるものではありません。

よくある質問

Q1. 罰金なら前科にはならないのですか。

罰金も刑罰であり、有罪の裁判です。永住許可のガイドラインは「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。」を挙げており、罰金で終わっても将来の永住許可や帰化の審査では不利な事情になり得ます。

Q2. 永住者や日本人の配偶者等でも、4号の2は問題になりますか。

4号の2は別表第一の在留資格の人だけが対象で、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者には適用されません。ただし、1年を超える実刑(4号リ)や薬物事件の有罪判決(4号チ)は、これらの人にも当てはまります。

Q3. 罰金と執行猶予付きの拘禁刑では、在留にとってどちらが重いですか。

別表第一の人が4号の2の対象となる罪で処罰される場合、執行猶予付きの拘禁刑のほうが重大です。執行猶予付きでも同号に当たり、判決の確定によって退去強制事由が生じるのに対し、罰金のみなら同号には当たらないからです。

Q4. 示談が成立すれば、必ず不起訴になりますか。

なるとは限りません。起訴するかどうかは検察官が事件の内容や経緯を踏まえて判断します。ただ、被害の回復は処分を決めるうえで重要な事情であり、早い段階から取り組む意味は大きいといえます。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体):争取不起诉、罚金的意义|入管法第24条第4号之2的界限及对永住、归化的影响,律师详解

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