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不法就労助長罪とは|雇う側の罪の3類型と、知らなかったで免れない理由を弁護士が解説

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不法就労助長罪とは|雇う側の罪の3類型と、知らなかったで免れない理由を弁護士が解説

不法就労助長罪とは|雇う側の罪の3類型と、知らなかったで免れない理由を弁護士が解説

2026/09/10

不法就労助長罪とは、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者、不法就労活動をさせるために外国人を自己の支配下に置いた者、これらの行為を業としてあっせんした者を処罰する犯罪をいう。(入管法73条の2)

  • 働いた外国人ではなく、雇う側やあっせんした側を処罰する。
  • 行為の類型は、就労させる、支配下に置く、あっせんする、の3つ。
  • 知らなかったことを理由に処罰を免れることはできない。
  • 過失がなかったときに限り免責される。
  • 外国人が行った場合は、刑事処罰がなくても退去強制事由となる。

どのような行為が不法就労助長罪になるのか

入管法73条の2は、3つの行為類型を定めている。いずれかに当たれば、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処せられ、またはこれらが併科される。

類型行為の内容典型例
就労させる行為事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせること在留期間が切れた人を店で働かせる
支配下に置く行為不法就労活動をさせるために外国人を自己の支配下に置くこと旅券を預かり寮に住まわせて稼働させる
あっせん行為業として、就労させる行為または支配下に置く行為をあっせんすること就労できない人を反復して現場に紹介する

あっせんの類型だけが「業として」という限定を伴い、1回限りの紹介が直ちにこれに当たるわけではない。

不法就労活動とは何を指すのか

在留資格を持たない人が報酬を受ける活動を行うこと、および在留資格で認められた範囲を超えて収入を伴う活動を行うことをいう。在留期間が経過した人や短期滞在の人が働く場合が前者、留学生が資格外活動の許可を受けずに、または上限を超えて働く場合が後者に当たる。就労が認められる在留資格を持っていても、その在留資格と関係のない業務に従事すれば不法就労活動となりうる。

知らなかったと言えば処罰を免れるのか

免れない。入管法73条の2は、不法就労活動であることを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできないと定めており、ただし過失がなかったときはこの限りでないとしている。確認を怠っていた場合には、認識がなかったとしても責任を負う。免責は、必要な確認を尽くしてもなお知り得なかった場合に限られる。採用時に在留カードを確認しなかった、偽造が明らかな券面を見過ごした、資格外活動の許可の有無を見ずに留学生を雇った、といった事情があれば、過失がなかったとはいえない。

雇う側は何をどこまで確認すべきか

在留カードの原本を提示させ、券面と有効性の双方を確認することが出発点となる。表面では在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無を、裏面では資格外活動許可の記載とその内容を確認する。出入国在留管理庁は在留カードの番号の失効を照会できる仕組みを設けており、偽造への対応として併用することが望ましい。雇い入れと離職の際には、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も義務づけられている。派遣や請負の形で人を受け入れる場合も、実際に指揮命令をして働かせていれば、就労させた者と評価されうる。

刑事処罰と退去強制はどう関係するのか

両者は別の判断であり、刑事処罰がなくても退去強制事由に当たる場合がある。外国人が不法就労助長に当たる行為をした場合、入管法24条3号の4により、行為そのものによって退去強制事由に該当する。有罪判決を受けていることは要件とされていない。

有罪判決を受けた場合には別の事由も検討される。1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた場合は入管法24条4号リに当たるが、同号のただし書により全部の執行を猶予された場合は除かれる。

外国人の在留資格にはどのような影響があるのか

退去強制の手続に進まない場合でも、在留期間の更新や在留資格の変更の審査に影響する。これらの審査では素行が考慮されるためである。経営・管理の在留資格で事業を営む人の場合は、事業の適正性そのものが問われる。同資格については、令和7年10月16日施行の基準省令改正により、資本金3,000万円以上、常勤職員1名以上、日本語能力、学歴または経営経験、事業計画書についての専門家の確認が要件に加わり、令和10年10月16日までの経過措置が設けられている。捜査を受けた段階では、雇用の経緯、確認の状況、是正の措置を客観的な資料で示すことが重要になる。

よくある質問

在留カードを確認していれば責任を問われませんか。

確認したこと自体は過失がなかったことを示す重要な事情になりますが、それだけで当然に免責されるわけではありません。券面の記載を見落としていた場合、資格外活動許可の内容を確認しなかった場合、在留期間の満了後も雇い続けた場合には責任を問われます。写しを保管し、期間の管理まで行うことが必要です。

短期のアルバイトでも対象になりますか。

期間の長短は要件ではありません。1日限りの稼働であっても、事業活動に関して不法就労活動をさせたといえれば対象となります。人手が足りない日だけ来てもらった、知人に頼まれて働いてもらったといった事情も、責任を否定する理由にはなりません。採用の前に在留カードを確認してください。

従業員が偽造の在留カードを提示していた場合はどうなりますか。

偽造の程度と確認の状況によります。券面から偽造が明らかであった場合や、番号の失効の照会を行っていなかった場合には、過失がなかったとは認められにくくなります。採用時の確認方法を記録として残しておくことが、後の説明に役立ちます。確認の手順を社内で定めておくと安全です。

不起訴になれば在留の問題はなくなりますか。

なくなりません。入管法24条3号の4は、不法就労助長に当たる行為があったこと自体を退去強制事由としており、刑事処罰を受けたことを要件としていません。不起訴となった場合でも、入管の手続では別に判断されますので、事実関係と是正の状況を説明する準備が必要です。

会社と個人のどちらが責任を負いますか。

実際に就労させた個人が処罰の対象となるほか、法人についても両罰の規定に基づいて罰金が科されることがあります。代表者や現場の責任者が対象となる場面が多く、社内の確認体制がどう定められ、どのように運用されていたかが問われます。確認の手順と記録の残し方を定めておくことが有効です。

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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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