ストーカーの初犯でも逮捕される?不起訴処分を獲得するための弁護活動と示談の進め方
2026/08/06
「初犯だから大ごとにはならないだろう」――ストーカー規制法違反の疑いで警察から呼び出しを受けた方、あるいはご家族が突然逮捕されてしまった方が、まず抱かれる思い込みです。しかし、ストーカー規制法違反は、初犯であっても逮捕・勾留に至ることがある犯罪です。他方で、早期に適切な弁護活動を尽くせば、不起訴処分により前科を回避できる可能性も十分に残されています。本記事では、初犯の方が不起訴処分を獲得するために何をすべきかを、警告処分をめぐる訴訟で勝訴実績を有する弁護士が解説いたします。
本記事の要点
- ストーカー規制法違反は、初犯でも、警告を経ずに逮捕されることがあります。
- ストーカー行為罪の法定刑は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、禁止命令等に違反したストーカー行為は2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金です。
- 初犯で示談が成立した場合、不起訴処分となる可能性は十分にあります。
- 被害者への直接の連絡・謝罪は厳禁です。示談交渉は必ず弁護士を介して行う必要があります。
- 外国籍の方は、処分の結果次第で在留資格に影響が及ぶおそれがあり、不起訴処分の獲得が一層重要になります。
初犯でも逮捕されるのか
結論から申し上げると、初犯でも逮捕されることはあります。「警告を受けてから」「禁止命令に違反してから」でなければ逮捕されない、という決まりはありません。警告(ストーカー規制法4条)は逮捕の前提要件ではなく、つきまとい等の態様が執拗である場合、被害者の恐怖が深刻である場合、連絡を続けるおそれが強い場合などには、捜査機関は初犯でも通常逮捕・現行犯逮捕に踏み切ります。
逮捕されると、警察段階で最大48時間、検察段階で最大24時間の身柄拘束を経て、勾留が決定されれば原則10日間、延長を含め最長20日間の勾留があり得ます。この間に会社や学校への影響が現実化するため、身柄解放に向けた初動が極めて重要です。
ストーカー規制法の罰則
ストーカー行為罪(同法18条)の法定刑は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合(同法19条)は2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に加重され、その他の禁止命令等違反(同法20条)にも6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められています。なお「拘禁刑」は、令和4年改正刑法(令和7年6月1日施行)により従来の刑を一本化した現行の自由刑です。
初犯で不起訴処分を獲得するために重要なこと
最も重要なのは、早期の弁護人選任と示談の成立です。ストーカー規制法違反は被害者の意思が処分に強く影響する類型であり、被害者に対する謝罪と被害弁償、接触禁止の誓約を内容とする示談が成立し、宥恕(処罰を望まない意思)が得られれば、検察官が起訴を見送る可能性は相応に高まります。
加えて、再発防止策の具体化が問われます。連絡手段の遮断、生活環境の調整、必要に応じた専門機関でのカウンセリング受診など、「二度と繰り返さない」ことを客観的な形で示すことが、検察官面談や意見書での説得材料になります。取調べへの対応も重要です。記憶と異なる供述調書に署名してしまうと後から覆すことは容易でないため、取調べ前に弁護人と方針を確認すべきです。
示談交渉の注意点――本人が直接動いてはいけない
ご本人やご家族が被害者に直接連絡を取ることは、厳に慎んでください。謝罪のつもりの連絡であっても、被害者には新たなつきまといと受け止められ、かえって処罰感情を悪化させるだけでなく、禁止命令や再逮捕の理由とされかねません。示談交渉は、弁護士が窓口となり、被害者の心情に配慮した形で進めるのが原則です。
外国籍の方の場合
外国籍の方は、刑事処分の結果が在留資格の更新・変更の審査に影響し得るため、日本人以上に不起訴処分の獲得が重要になります。当事務所は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護を主たる注力分野とし、捜査段階から不起訴処分の獲得を最優先目標とする弁護方針(不起訴目標主義)を採用しています。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、接見・打合せも安心してご利用いただけます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、ストーカー規制法分野で、警告処分の取消等を求めた控訴審において警察側の主張を排斥する勝訴判決(令和6年6月26日大阪高裁判決)を獲得するなど、この分野の行政・刑事双方にまたがる知見を有しています。また、刑事弁護全般でも、特殊詐欺事案で複数回の再逮捕の全件について不起訴処分を獲得した事例など、起訴前弁護の実績を重ねてまいりました。接見の初動から事件終結まで松村弁護士が全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。
結びに
ストーカー規制法違反の初犯は、初動の巧拙が処分の分かれ目になります。呼び出しや逮捕の連絡を受けた段階で、できる限り早く弁護士にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。ストーカー規制法警告処分取消等請求控訴事件での勝訴(令和6年6月26日大阪高裁判決)の実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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