「処分保留で釈放」は事件の終わりではありません|釈放後の流れと、中国への帰国・出国前に確認すべきこと
2026/07/22
勾留の期限までに起訴・不起訴の判断がなされず、「処分保留」のまま釈放される。外国人事件では珍しくない展開ですが、釈放されたご本人やご家族が「事件は終わった」と受け止めてしまい、その後の対応を誤る例が後を絶ちません。特に、「このまま中国に帰国してよいのか」というご相談は非常に多いところです。本記事では、処分保留釈放の意味と、出国をめぐる注意点を解説いたします。
処分保留釈放とは何か
検察官は、勾留(原則10日・延長を含め最大20日)の満期までに起訴するかどうかを決めるのが原則ですが、捜査が尽くされていない場合、起訴・不起訴を決めないまま被疑者を釈放することがあります。これが処分保留釈放です。釈放後も捜査は在宅で継続しており、検察官は後日、起訴(公判請求・略式請求)することも、不起訴とすることもできます。つまり処分保留は「無罪放免」ではなく、処分の判断が先送りされている状態にすぎません。
帰国・出国をめぐる注意点
処分保留で釈放された方が出国すること自体を直接禁止する規定はありませんが、実際には慎重な検討が必要です。第1に、捜査機関に旅券や在留カードを任意提出している場合、返還を受けなければ出国そのものができません。第2に、出国後に起訴された場合、公判に出頭できなければ手続は進まず、逃亡と同視される状態が長期化し、再入国時に上陸審査・逮捕のリスクを抱え続けることになります。第3に、出国の態様やタイミングによっては、捜査機関の心証を害し、本来得られたはずの不起訴処分を遠ざけるおそれも否定できません。帰国を検討する場合は、必ず事前に弁護人を通じて捜査の状況と処分の見込みを確認し、時期と方法を慎重に判断すべきです。
処分保留期間こそ弁護活動の勝負どころ
処分保留の期間は、裏を返せば、検察官がまだ処分を決めかねている期間です。この間に、被害者との示談、有利な証拠の収集・提出、検察官への意見書提出などを尽くすことで、不起訴処分の獲得可能性を現実に高めることができます。外国人事件では、不起訴か起訴かが在留資格の帰趨を分けることが多いため、この期間を「待つ時間」ではなく「動く時間」とすることが決定的に重要です。
釈放後の注意点3つ
- 捜査機関からの呼出しには誠実に対応すること。連絡が取れなくなると、再逮捕の理由とされかねません。
- 転居・転職・出国などの生活の変化は、事前に弁護人に相談すること。
- 共犯者や関係者との接触は避けること。証拠隠滅を疑われる行動は、それ自体が不利益に働きます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に豊富な実績を有しています。特殊詐欺の受け子として複数回の再逮捕を受けた事案において、処分の見通しを踏まえた粘り強い弁護活動により全件不起訴処分を獲得した事例があり、処分保留・再逮捕が絡む複雑な局面の実務経験が豊富です。また、在留資格を失った依頼者について難関とされた在留特別許可を獲得した事例、過去の逮捕報道の削除に成功した事例など、事件後の生活再建までを見据えた対応を行っています。不法就労助長罪の認定事件で前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。
松村弁護士が全工程を直接担当し、中国語専属通訳が常駐しています。帰国・再入国と在留資格に関する手続面は、提携の行政書士と連携して助言いたします。
結語
処分保留釈放は、事件の終わりではなく、結果を良い方向に変えるための猶予期間です。この期間の過ごし方と出国判断を誤らないために、釈放されたらできるだけ早く、今後の見通しを弁護士とともに整理されることをお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。(本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。)
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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