舟渡国際法律事務所

入管法24条4号リとは|1年を超える実刑と在留特別許可のただし書を弁護士が解説

お問い合わせはこちら

入管法24条4号リとは|1年を超える実刑と在留特別許可のただし書を弁護士が解説

入管法24条4号リとは|1年を超える実刑と在留特別許可のただし書を弁護士が解説

2026/10/11

入管法24条4号リとは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた外国人を、在留資格の種類を問わず退去強制の対象とする規定をいいます(出入国管理及び難民認定法24条4号リ)。ただし、刑の全部の執行猶予を受けた人と、刑の一部の執行猶予を受けて実刑部分が1年以下の人は除かれます。同じ基準は、在留特別許可を原則として認めない入管法50条1項ただし書にも置かれています。4号リに当たるかどうかは、退去強制の入口と在留特別許可の出口の両方を左右します。

本記事の要点

  • 1年を超える実刑であれば、永住者や定住者を含め、在留資格の種類を問わず退去強制事由に当たります。
  • 刑の全部の執行猶予や、実刑部分が1年以下の一部執行猶予であれば4号リには当たりません。
  • 同じ基準に当たる人は、入管法50条1項ただし書により「特別の事情」がなければ在留特別許可を受けられません。
  • 改正法施行後の公表事例には、1年を超える実刑でもただし書により許可された例が6件あり、量刑はいずれも1年2月から1年6月の範囲です。
  • 量刑の「1年」と執行猶予の有無が決定的なので、刑事弁護の段階から在留を見据えた対応が必要です。

入管法24条4号リとはどのような規定ですか。

重い刑の実刑判決を受けたことを理由とする退去強制事由です。条文は次のとおりです。

「ニからチまでに掲げる者のほか、昭和二十六年十一月一日以後に無期又は一年を超える拘禁刑に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。」(入管法24条4号リ)

「ニからチまでに掲げる者のほか」とあるとおり、薬物事件(4号チ)など他の号に当たる人は、それぞれの号で扱われます。4号リは、それ以外の罪で重い実刑を受けた人を広く対象にする受け皿の規定です。別表第一の在留資格の人だけを対象とする4号の2と違い、永住者・日本人の配偶者等・定住者なども対象になります。条文の「処せられた」は、判決の確定を指すものとして運用されています。

どのような判決が4号リに当たりますか。

刑期が1年を超え、かつ実刑部分が1年を超える判決です。1年ちょうどの実刑や、全部の執行猶予が付いた判決は当たりません。

判決の例4号リ50条1項ただし書4号の2(別表第一で対象罪の場合)
拘禁刑1年2月の実刑当たる当たる当たる
拘禁刑1年の実刑当たらない当たらない当たる
拘禁刑2年・執行猶予4年当たらない当たらない当たる
拘禁刑2年、うち6月の執行を猶予(実刑部分1年6月)当たる当たる当たる
拘禁刑2年、うち1年の執行を猶予(実刑部分1年)当たらない当たらない当たる
罰金当たらない当たらない当たらない

表のとおり、別表第一の在留資格の人は、4号リに当たらなくても4号の2に当たることが多い点に注意が必要です。一方、永住者や定住者など別表第二の在留資格の人にとっては、4号リに当たるかどうかが、刑事事件を理由に退去強制となるかどうかの分かれ目になります(薬物事件を除きます)。4号の2については入管法24条4号の2とはで説明しています。

入管法50条1項ただし書とはどう連動しますか。

4号リと同じ「無期又は1年を超える拘禁刑」(実刑)に処せられた人は、在留特別許可について、通常より高いハードルが課されます。

「ただし、当該外国人が無期若しくは一年を超える拘禁刑に処せられた者(刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。)又は第二十四条第三号の二、第三号の三若しくは第四号ハ若しくはオからヨまでのいずれかに該当する者である場合は、本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る。」(入管法50条1項ただし書)

つまり、4号リに当たる判決を受けると、退去強制の対象になるだけでなく、在留特別許可も「特別の事情」がある場合に限られます。在留特別許可に係るガイドラインは、この「特別の事情」について、生命に危険が及ぶおそれのある治療の例を挙げたうえで、次のように説明しています。

「在留を許可しないことが人道的見地から酷に過ぎると認められる事情をいいます。」(ガイドライン第1の1・注1)

ただし書に当たらない場合は、積極要素と消極要素を総合的に考慮する通常の判断(ガイドライン第3)になります。詳しくは在留特別許可の「特別の事情」とはをご覧ください。

1年を超える実刑でも、在留特別許可を受けた例はありますか。

あります。令和6年6月10日の改正法施行後の公表事例には、ただし書に当たりながら「特別の事情」があるとして許可された例が、令和6年分に3件、令和7年分に3件あります。量刑はいずれも1年2月から1年6月の範囲です。

令和7年分(2025年)の3件は、いずれも窃盗による実刑の事案です。配偶者が日本人の場合・ただし書該当許可事例は懲役1年2月(当時の刑名。現行法の拘禁刑に相当)で婚姻約33年4月、配偶者が正規在留外国人の場合・ただし書該当許可事例は懲役1年2月で配偶者は「定住者」、その他の場合・ただし書該当許可事例は懲役1年6月で、日系人として日本で生まれ、日本の教育機関で教育を受けた方でした。

反対に、令和7年分・その他の場合・不許可第2事例は、詐欺等により懲役2年6月の実刑で、日本人実子の監護・養育を主張しても不許可でした。また、平成26年分から令和7年分までの刑事処分のある公表事例153件のうち、実刑判決の事案は52件あり、許可されたのは改正法施行後のただし書許可6件だけです。別表第一の在留資格の配偶者を持つ人が実刑判決を受けて許可された例は見当たりません。

なぜ量刑の「1年」がそれほど重要なのですか。

実刑部分が1年を超えるかどうかで、4号リとただし書の両方の適否が決まるからです。わずか数か月の差が、在留特別許可の判断の枠組みを変えてしまいます。

刑事弁護では、まず執行猶予付き判決を目指すことが重要です。全部の執行猶予が付けば、4号リにもただし書にも当たりません。実刑が避けられない場合でも、実刑部分が1年以下になるかどうかで結論は大きく変わります。

一審判決に事実や量刑で争う点があれば、控訴・上告によって判断を求めることができます。被告人側だけの上訴であれば原判決より重い刑は言い渡されないため(刑事訴訟法402条、414条)、執行猶予付き判決が上訴によって実刑に変わり、4号リに新たに当たる心配はありません。この点は不利益変更禁止とはで説明しています。

4号リに当たるおそれがあるとき、配偶者の在留資格はどう関係しますか。

大きく関係します。ただし書による許可例は、配偶者が日本人又は定住者である事案、未成年の子が永住者である事案、本人が日本で生まれ育った事案に限られています。

在留特別許可に係るガイドラインは、配偶者が日本人・特別永住者である場合(第2の2(1)ウ)と、永住者・定住者など別表第二の在留資格である場合(第2の2(2)ウ)の婚姻を「特に考慮する積極要素」としています。配偶者が別表第一の在留資格にとどまっていると、この要素に乗りません。

刑事判決を理由とする退去強制事由は判決の確定で生じるため、刑事手続の間に配偶者の永住許可申請や帰化申請を進めておくことが、在留特別許可に向けた準備になります。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、確定までの時間を使って家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。結果を約束できるものではありませんが、早く動くほど選択肢は広がります。

よくある質問

Q1. 拘禁刑1年の実刑判決は4号リに当たりますか。

当たりません。4号リは「一年を超える拘禁刑」を要件としているため、1年ちょうどは含まれません。ただし、別表第一の在留資格の人が窃盗など対象罪で処罰された場合は、4号の2に当たります。

Q2. 永住者でも4号リで退去強制になりますか。

なります。4号リは在留資格の種類を問いません。ただし、永住許可を受けていることは在留特別許可の判断で考慮される事情の一つです(入管法50条1項1号)。

Q3. 一部執行猶予の判決はどう扱われますか。

刑のうち執行が猶予されなかった部分(実刑部分)が1年以下であれば、4号リにも50条1項ただし書にも当たりません。実刑部分が1年を超えれば、どちらにも当たります。

Q4. ただし書に当たると、在留特別許可は受けられないのですか。

「特別の事情」があれば受けられます。改正法施行後の公表事例には、1年2月から1年6月の実刑で許可された例が6件あります。もっとも許可例は限られており、家族関係や日本での生育歴などを具体的に立証する必要があります。

シリーズの関連記事

本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体):入管法第24条第4号リ是什么|超过1年的实刑与在留特别许可的但书

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。