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供述調書とは|中国語の通訳を介した取調べで、署名する前に確認すべきこと

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供述調書とは|中国語の通訳を介した取調べで、署名する前に確認すべきこと

供述調書とは|中国語の通訳を介した取調べで、署名する前に確認すべきこと

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

供述調書とは、警察官や検察官が取調べで聞き取った被疑者や参考人の話を、捜査官が文章にまとめた書面をいいます(刑事訴訟法198条3項)。本人の言葉をそのまま記録したものではなく、捜査官が「私は、……しました。」という一人称の文章に整えて作成するのが通常です。署名押印した供述調書は、後の刑事裁判で有罪の証拠として使われることがあるため、内容を十分に確認してから署名するかどうかを決める必要があります。

この記事の要点

  • 供述調書は捜査官が作成し、本人に閲覧させるか読み聞かせて、誤りがないかを確認します(刑事訴訟法198条4項)。
  • 本人が訂正を申し立てたときは、その供述を調書に記載しなければならず、署名押印は拒むことができます(同条4項・5項)。
  • 署名又は押印のある被告人の供述調書は、不利益な事実を認める内容であれば、裁判で証拠とすることができます(同法322条1項)。
  • 日本語に通じない方の取調べには通訳が付きますが、調書は日本語で作成され、通訳による読み聞かせで内容を確認することになります。
  • 内容に納得できないときは、署名をする前に弁護人に相談することが重要です。

供述調書は、どのように作成されるのですか

取調べで話した内容を捜査官がまとめて文章にし、本人に読み聞かせるなどして誤りがないかを確認した後、署名押印を求めます。

刑事訴訟法198条は、取調べに際してあらかじめ黙秘権を告げること(2項)、供述を調書に録取できること(3項)、調書を閲覧させ又は読み聞かせて誤りがないかを問い、増減変更の申立てがあればその供述を調書に記載しなければならないこと(4項)、誤りがないと申し立てたときは署名押印を求めることができるが、これを拒絶した場合はこの限りでないこと(5項)を定めています。被疑者以外の参考人の取調べにも、同条3項から5項までが準用されます(同法223条2項)。

段階内容本人ができること根拠条文
取調べの開始黙秘権の告知話したくないことは話さない刑事訴訟法198条2項
調書の作成捜査官が供述を文章にまとめる言っていない表現が入っていないか注意する同条3項
読み聞かせ・閲覧調書の内容を確認させる誤りの訂正(増減変更)を求める同条4項
署名押印誤りがないと申し立てた場合に求められる署名押印を拒む同条5項
刑事裁判証拠として取調べを請求されることがある任意性・信用性を争う同法319条・322条

署名した供述調書は、裁判でどのように使われるのですか

不利益な事実を認める内容の供述調書は、署名又は押印があれば、有罪の証拠として使われることになります。

刑事訴訟法322条1項は、被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき等に限り、証拠とすることができると定めています。後の裁判で「そのような意味で言ったのではない」と主張しても、署名押印した調書の内容を覆すのは容易ではありません。強制や脅迫による自白など、任意にされたものでない疑いのある自白は証拠とすることができませんが(同法319条1項)、そのことを裁判で明らかにするには大きな負担が伴います。

なお、裁判員裁判の対象となる重大事件や、検察官が独自に捜査する事件などでは、逮捕・勾留されている被疑者の取調べを録音・録画することが義務付けられています(同法301条の2第4項)。それ以外の多くの事件では、取調べの全過程が録音・録画されるとは限りません。

中国語の通訳を介した取調べでは、何に注意すべきですか

調書は日本語で作成され、内容は通訳による読み聞かせで確認するしかないため、自分の言葉どおりに記載されているかを一文ずつ確かめることが重要です。

刑事訴訟法175条は、裁判所での手続について「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない」と定めており、捜査段階でも、捜査機関は通訳を嘱託することができます(同法223条1項)。取調べでも通訳人が付きますが、供述調書は日本語で作成され、通訳人が中国語で読み聞かせる方法で確認されるのが一般的です。本人は日本語の原文を読めないまま署名を求められることになり、通訳の過程で「たぶん」「よく覚えていない」といった留保が抜け落ちたり、「知っていました」「分かっていました」という断定的な表現に置き換わったりすることがあります。

特に、特殊詐欺の受け子や荷物の運び役、在留カードや銀行口座の受渡しなどの事件では、「違法なものだと知っていたか」という認識が犯罪の成否を分けます。この点が本人の記憶よりも強い表現でまとめられていないかを確認する必要があります。通訳の中国語が聞き取りにくい、方言の違いで意味が通じにくいと感じたときは、そのことを取調官に伝え、調書にも記載するよう求めることができます。

黙秘権の行使と署名の拒否は、どう使い分けるのですか

話さないことを選ぶのが黙秘権の行使、話した内容をまとめた調書に署名しないことを選ぶのが署名押印の拒否です。どちらも法律で認められています。

黙秘権を行使すれば、その部分について供述調書は作られません。他方、話した内容がまとめられた調書について、誤りがある又は不正確だと感じるときは、訂正を求め、それでも納得できなければ署名押印を拒むことができます。署名押印を拒んだこと自体が罪になることはありません。どの場面で何を話し、どの調書に署名するかは、事件の内容や証拠の状況によって判断が分かれるため、取調べの前に弁護人と方針を決めておくことが望ましいといえます。

内容が違うと感じたときは、どうすればよいですか

その場で訂正を求め、訂正されなければ署名を拒み、できるだけ早く弁護人に伝えることです。

訂正を申し立てたときは、捜査官はその供述を調書に記載しなければなりません(刑事訴訟法198条4項)。訂正されないまま署名を求められた場合は、署名押印を拒むことができます(同条5項)。取調べの日時、取調官の発言、訂正を求めた箇所などを被疑者ノートなどに記録しておくと、後に供述の任意性や信用性を争う際の資料になります。弁護人は、取調べの方法に問題があれば、捜査機関に申入書を送るなどの対応をとります。

当事務所では、外国人の刑事事件で取調べへの弁護人の立会いを求める方針で臨んでいます。立会いが認められることは現状ほとんどありませんが、取調べの前に警察官と協議することで、取調べの方法について配慮を求めることができる場合があります。

弁護士に相談すべき場面

  • 家族が逮捕され、通訳を介した取調べで何を話しているのか分からず不安なとき。
  • 取調べで読み聞かせられた内容が、自分の話したことと違うと感じたとき。
  • 「署名しないと不利になる」と言われ、署名すべきか迷っているとき。
  • 特殊詐欺や荷物の受取りなどの事件で、「知らなかった」という認識をどう伝えればよいか分からないとき。
  • 既に署名してしまった供述調書の内容に誤りがあることに気付いたとき。

当事務所では中国語での相談に対応しており、中国語の通訳を完備し、中国律師(中国の弁護士資格者)も在籍しています。刑事弁護と入管事件を一体で扱い、刑事事件では無罪判決(一部無罪)の獲得実績、入管事件では在留特別許可の獲得実績があります。行政事件では違法な行政処分の撤回を得た例があり、取り扱った事件の一部は法律学の学術誌で取り上げられています。弁護の考え方は「松村大介弁護士の弁護方針」(note)にまとめています。

よくある質問

署名を拒むと、不利な扱いを受けますか。

署名押印の拒否は刑事訴訟法198条5項ただし書で認められており、拒否したこと自体が罪になることはありません。取調べの場で強く署名を求められることはありますが、誤りがあるまま署名すると、後に裁判で覆すことは容易ではありません。納得できない調書には署名しないという姿勢が大切です。

押印は印鑑でなければいけませんか。

留置施設にいる被疑者は印鑑を持っていないことが多く、実務上は指印(指に朱肉を付けて押すこと)を求められるのが一般的です。指印も押印と同じ意味を持ちますので、署名と同様に、内容を確認してから判断してください。

供述調書のコピーをもらうことはできますか。

捜査段階では、被疑者や家族が供述調書の写しを受け取ることは通常できません。起訴された後は、検察官が証拠として取調べを請求する調書などについて、弁護人が閲覧し、写しを取ることができます。

日本語が少し話せます。通訳を断ってもよいですか。

日常会話ができても、法律用語や微妙な言い回しを正確に理解することは容易ではありません。通訳を断ると、日本語で作成された調書を自分の日本語の理解だけで確認することになります。少しでも不安があれば、通訳を付けて取調べを受けることをお勧めします。

既に署名した調書の内容が間違っていた場合は、どうすればよいですか。

次の取調べで訂正を申し出て、訂正の内容を新たな調書に記載するよう求めることができます。あわせて、誤りの内容と経緯を弁護人に伝え、記録に残してください。裁判では、調書の内容が事実と異なることを、他の証拠や取調べの状況とともに主張していくことになります。

根拠条文・出典

  • 刑事訴訟法175条・198条・223条1項・2項・301条の2・319条・322条(e-Gov法令検索の現行条文で確認。2026年10月11日)

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