中国人の刑事事件とは|逮捕後の流れ・在留資格への影響・中国語対応の弁護士
2026/10/10
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所
中国人の刑事事件とは、中国籍の方が日本で被疑者・被告人となる刑事事件をいいます。逮捕から起訴前までの身柄拘束は最長で約23日に及び、罪名と刑の内容によっては入管法24条により在留資格そのものを失うおそれがあるため、早い段階で弁護人を選任し、不起訴などの結果を目指すことが重要です。
この記事の要点
- 逮捕後は最長72時間の拘束に続き、勾留が10日、延長でさらに最大10日(刑事訴訟法203条・205条・208条)。
- 黙秘権があり(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)、調書への署名押印は拒否できる(同条5項)。
- 在留への影響は「在留資格が別表第一か第二か」「刑の種類」「罪名」の3点で決まる(入管法24条)。
- 薬物事件は有罪判決で足り、執行猶予でも退去強制事由に当たる(24条4号チ)。起訴前の不起訴獲得が決定的。
- ご家族の逮捕は、まず所在の確認と弁護人への連絡を。微信(WeChat)ID:matsumura1119。
中国人が逮捕されると、その後どう進みますか?
逮捕から起訴・不起訴の判断までは、通常、最長で約23日間の身柄拘束になります。
警察に逮捕されると、48時間以内に検察官へ送られ(刑事訴訟法203条)、検察官は24時間以内に勾留を請求するか釈放するかを決めます(同205条)。ここまでが逮捕から72時間以内です。裁判官が勾留を認めると10日間(同208条1項)、やむを得ない事由があれば最大10日の延長がされ(同条2項)、その間に検察官が起訴するか否かを判断します。
起訴前に保釈の制度はありません。起訴後は保釈の請求ができます。勾留や接見等禁止の決定に対しては、準抗告で争う方法があります。
| 段階 | 期間の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 逮捕後、検察官へ送致 | 48時間以内 | 刑事訴訟法203条 |
| 検察官の勾留請求 | 送致から24時間以内(逮捕から72時間以内) | 刑事訴訟法205条 |
| 勾留 | 10日(延長で最大10日) | 刑事訴訟法208条 |
| 起訴・不起訴の判断 | 勾留期間の満了まで | — |
取調べで通訳や黙秘権はどうなりますか?
日本語が十分でない場合は通訳人を介して取調べが行われますが、調書は日本語で作られるため、署名押印は内容を理解してからにする必要があります。
被疑者には黙秘権があり、取調べの前に告知されます(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)。調書の内容に誤りがあれば訂正を求められ(同条4項)、署名押印は拒むことができます(同条5項)。
通訳の正確性に疑問があるとき、内容がよく分からないときは、署名押印を急がず、弁護人に相談してください。弁護人は逮捕直後から、立会人なしで被疑者と接見できます(刑事訴訟法39条1項)。当事務所は、外国人の刑事事件では取調べへの弁護人の立会いを求める方針です。立会いが認められることは現状ほとんどありませんが、取調べの前に捜査機関と協議することがあります。
刑事事件で在留資格はどうなりますか?
在留への影響は、在留資格の区分、刑の種類、罪名の3点を確認して判断します。
経路は2つあります。第1に、一定の刑罰を受けると入管法24条の退去強制事由に当たります。第2に、退去強制事由に当たらなくても、在留期間の更新・在留資格の変更の審査で素行が問題とされ、不許可になることがあります(別表第一の有期資格に特有のリスクです)。
なお、令和7年6月1日に懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されました。以下は拘禁刑で説明します。
| 刑の内容 | 別表第一(就労・留学・家族滞在等) | 別表第二(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者) |
|---|---|---|
| 薬物犯罪(有罪判決) | 退去強制事由に該当(24条4号チ) | 退去強制事由に該当(24条4号チ) |
| 拘禁刑・全部執行猶予(窃盗・傷害・詐欺・住居侵入・文書偽造等の列挙罪) | 退去強制事由に該当(24条4号の2) | 原則として該当しない(4号の2は別表第一のみ) |
| 1年を超える拘禁刑の実刑 | 該当(24条4号リ) | 該当(24条4号リ)。ただし在留特別許可の余地は大きい |
| 罰金 | 退去強制事由には当たらないが、更新・変更で不利になりうる | 通常は影響が小さい |
弁護人は何をしてくれますか?
弁護人は、逮捕直後の接見、取調べへの助言、被害者との示談、勾留に対する不服申立て、不起訴や軽い処分を目指す活動を行います。
外国人の事件では、刑事手続の結果がそのまま在留の帰趨に結びつくため、刑の見通しと入管上の影響を併せて検討します。罰金や執行猶予で刑事事件が終わっても、入管手続で別の問題が生じることがあるためです。示談書、被害弁償、反省文、身元引受書、家族関係の資料などは、刑事の段階から入管手続を見据えて整えます。
ご家族が逮捕されたとき、最初に何をすべきですか?
まず本人がどこにいるかを確認し、できるだけ早く弁護人に連絡してください。
逮捕された方は、警察署の留置施設にいることが多いです。所在が分かれば、弁護人がすぐに接見できます。本人に代わって、家族が弁護人を依頼することもできます。
本人が日本語で十分に意思疎通できない場合でも、通訳を介して面会し、取調べへの対応方針を伝えることができます。
- 所在の確認(逮捕した警察署への問い合わせ)
- 弁護人への連絡(微信ID:matsumura1119、電話:050-7587-4639)
- 本人の在留資格・在留期限・過去の前科前歴の確認
- 供述調書の署名押印は、内容を確認するまで急がない
当事務所の対応体制
当事務所は、外国人の刑事事件と入管事件を主に取り扱い、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。
担当は、第一東京弁護士会所属の弁護士松村大介(登録番号59077)です。刑事事件では無罪判決(一部無罪)の獲得実績があり、行政事件の取扱いについては、複数の学術誌に掲載され、研究の対象ともなっています。個別の事件の結果は事案ごとに異なり、将来の結果をお約束するものではありません。
よくある質問
逮捕されたら、すぐに会えますか?
逮捕後72時間以内の間でも、弁護人は立会人なしで接見できます(刑事訴訟法39条1項)。家族の面会は、勾留後に接見等禁止がなければ可能ですが、制限される場合があります。
日本語が話せなくても大丈夫ですか?
通訳人を介して取調べや接見が行われます。当事務所では中国語の通訳が対応し、中国語でのご相談が可能です。
不起訴になれば在留資格に影響しませんか?
不起訴であれば有罪の判決を受けていないため、24条4号チ(薬物)や4号リ・4号の2の前提となる刑の言渡しがありません。ただし、事案によっては別の観点(在留資格該当性、素行等)で入管手続に影響することがあり、個別の確認が必要です。
執行猶予がつけば日本に残れますか?
一概には言えません。薬物犯罪は執行猶予でも退去強制事由に当たり、別表第一の在留資格では窃盗・傷害・詐欺等の列挙罪も執行猶予で退去強制事由に当たります。在留資格と罪名による判断が必要です。詳しくは「執行猶予付き判決を受けた中国籍の方は日本に残れるか」の解説をご覧ください。
費用はいくらですか?
報酬は事案の内容により異なるため、お問い合わせの際にご案内します。
根拠条文・出典
- 憲法38条1項
- 刑事訴訟法39条1項・198条・203条・205条・208条
- 出入国管理及び難民認定法24条4号チ・4号リ・4号の2(e-Gov法令検索で確認)
関連する解説
ご相談・お問い合わせ
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)
中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
本ページは一般的な情報提供であり、個別の事案の結果を保証するものではありません。