上訴期間とは|控訴・上告の14日に判断すべきことと在留特別許可への影響を弁護士が解説
2026/10/11
上訴期間とは、判決に不服がある場合に控訴や上告を申し立てることができる期間をいい、控訴の提起期間は14日と定められ(刑事訴訟法373条)、上告にもこの規定が準用されます(同法414条)。この期間内に誰も上訴しなければ判決は確定し、刑事判決を理由とする退去強制事由が生じ得るため、外国人の刑事事件では、判決言渡し後の14日間の判断がその後の在留を大きく左右します。
本記事の要点
- 控訴も上告も、申し立てることができるのは判決の言渡しから14日です(刑事訴訟法373条・414条)。
- 検察官と被告人はいずれも上訴でき(同法351条)、被告人だけが控訴した事件では原判決より重い刑は言い渡されません(同法402条)。
- 上訴を放棄し又は取り下げると再び上訴することはできず(同法361条)、判決は確定に向かいます。
- 上訴すれば判決の確定は上級審の結論まで先になり、その間に配偶者の永住許可や帰化の準備、婚姻の実質の積み上げを進められます。
上訴期間とは何ですか。
第1審判決に対する控訴、控訴審判決に対する上告を申し立てることができる期間です。刑事訴訟法は控訴について次のように定め、上告にもこれを準用しています。
「控訴の提起期間は、十四日とする。」(刑事訴訟法373条)
「前章の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、上告の審判についてこれを準用する。」(刑事訴訟法414条)
上訴できるのは被告人だけではありません。「検察官又は被告人は、上訴をすることができる。」(同法351条)とされており、検察官が刑が軽すぎるとして控訴することもあります。期間の最終日がいつになるかは事案ごとに弁護人と確認してください。
控訴・上告の流れと期間は、どうなっていますか。
第1審、控訴審、上告審の各段階で、判決の言渡しから14日の上訴期間があります。どの段階でも、期間内に上訴がなければその判決が確定します。
| 段階 | 不服申立て | 期間 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 第1審判決 | 控訴 | 14日 | 刑事訴訟法373条 |
| 控訴審判決 | 上告 | 14日 | 刑事訴訟法414条・373条 |
| 上訴の放棄・取下げ | 再度の上訴はできない | - | 刑事訴訟法359条・361条 |
上告は、申し立てることができる理由が法律上限られています。控訴審までと同じように事実や量刑を争えるわけではないため、どのような主張が成り立つかを慎重に検討します。控訴の実務は刑事事件の控訴でも説明しています。
14日の間に、何を判断すべきですか。
判決の事実認定や量刑に争うべき点があるか、上訴した場合の見通し、そして判決が確定した場合の在留への影響の3点です。
被告人側だけが控訴した場合、刑が重くなるおそれはありません。
「被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。」(刑事訴訟法402条)
ただし、検察官も控訴した場合はこの制限は働きません。この点は不利益変更禁止とはで詳しく説明しています。外国人の場合は、これに加えて、判決が確定したときにどの退去強制事由に当たるかを、在留資格ごとに検討しなければなりません。
上訴期間は、在留とどう関係しますか。
上訴期間が過ぎて判決が確定すると、刑事判決を理由とする退去強制事由が生じ得ます。入管法の「処せられた」「有罪の判決を受けた」は、判決の確定を指すものとして運用されているためです。
| 判決の内容 | 在留資格 | 確定した場合 |
|---|---|---|
| 窃盗・詐欺・傷害など一定の罪で拘禁刑(執行猶予付きを含む) | 別表第一(技術・人文知識・国際業務、留学など) | 入管法24条4号の2に当たる |
| 同じ罪で罰金のみ | 別表第一 | 4号の2には当たらない |
| 薬物関係法令違反で有罪(罰金・執行猶予を含む) | 在留資格を問わない | 入管法24条4号チに当たる |
| 無期又は1年を超える拘禁刑の実刑 | 在留資格を問わない | 入管法24条4号リに当たり、50条1項ただし書の対象にもなる |
上訴すれば、上級審の結論が出るまで判決は確定しません。上訴は被告人の正当な権利であり、争うべき点を争った結果として、確定までの時間が延びることになります。
上訴を放棄・取り下げると、どうなりますか。
その事件について、もう上訴することはできません。判決は確定に向かい、退去強制事由に当たる判決であれば入管の手続が近づきます。
「上訴の放棄又は取下をした者は、その事件について更に上訴をすることができない。」(刑事訴訟法361条)
勾留が長引いて「早く終わらせたい」と考えるのは自然なことです。それでも、放棄や取下げの書面に署名する前に、確定によって在留がどうなるか、配偶者の申請の準備がどこまで進んでいるかを、必ず弁護人と確認してください。
控訴審・上告審の間に、何を進めるべきですか。
配偶者の在留上の地位を引き上げる準備と、婚姻の実質を示す記録づくりです。
- 配偶者が別表第一の在留資格であれば、永住許可や帰化の要件を確認し、申請を進めます。永住は原則10年の在留、帰化も2026年4月1日から運用上原則10年の在留が求められ、審査も長期化する傾向にあります。
- 本人の在留期限が近ければ、必ず更新を申請します。申請中は、処分がされる時又は満了日から2月を経過する日のいずれか早い時まで在留できます(入管法21条4項・20条6項)。
- 面会や手紙、保釈後の同居、家計の共同など、夫婦の関係が続いていることを示す記録を残します。
在留特別許可に係るガイドラインは、配偶者が日本人・特別永住者又は別表第二の在留資格者である婚姻を「特に考慮する積極要素」としています(第2の2(1)ウ・(2)ウ)。上訴審の期間は、この状態に近づけるための時間でもあります。控訴が在留に持つ意味は在留から見た控訴の実益で取り上げています。
弁護士に相談すべきタイミングはいつですか。
判決の言渡しより前です。言渡しを聞いてから考え始めると、14日はすぐに過ぎてしまいます。
当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間を使って家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。結果は事案ごとに異なり、許可を約束できるものではありませんが、上訴の判断と家族の在留の準備を一体で考えることで、選べる道は広がります。判決を受けた後でも、上訴期間内であれば打てる手はあります。諦めずにご相談ください。
よくある質問
Q1. 控訴すると、かえって刑が重くなりませんか。
被告人だけが控訴した事件では、原判決より重い刑を言い渡すことはできません(刑事訴訟法402条)。ただし、検察官も控訴した場合はこの制限がないため、検察官控訴の可能性も含めて検討します。
Q2. 執行猶予付きの判決でも、控訴を考えるべきですか。
在留資格によっては考える意味があります。別表第一の在留資格の人が窃盗・詐欺・傷害など一定の罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予付きでも確定により入管法24条4号の2に当たります。事実や量刑に争う点があるか、確定した場合の在留への影響を踏まえて判断します。
Q3. 上告すれば、判決の確定は先になりますか。
上告審の判断が出るまで判決は確定しません。もっとも、上告は申し立てられる理由が法律上限られているため、どのような主張ができるかを弁護人と十分に検討する必要があります。
Q4. 控訴を取り下げたら、すぐに入管の手続になりますか。
取り下げると再び控訴することはできず(刑事訴訟法361条)、判決は確定に向かいます。退去強制事由に当たる判決であれば、その後に入管の違反調査や収容又は監理措置の手続が進むため、取り下げる前に在留への影響を確認してください。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
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