在留特別許可申請で配偶者が準備する書類|戸籍・住民票から陳述書・嘆願書まで
2026/10/11
配偶者が準備する書類は、身分関係を示すもの(戸籍・住民票・在留カード)、生活の安定を示すもの(納税・雇用)、婚姻の実体と家族の思いを示すもの(写真・送金記録・陳述書・嘆願書)の3つに分けて、刑事事件の段階から集めておくのが基本です。在留特別許可の申請ができるのは収容又は監理措置の後に限られ、認定に服した場合の期限は3日しかないため、入管の手続が始まってから集めたのでは間に合わないことがあります。なお、この記事で挙げる書類は、ガイドラインの考慮事情に沿って当事務所が通常準備をお願いしているもので、入管が定めた一覧ではありません。
本記事の要点
- 在留特別許可の申請は、収容令書により収容されたか監理措置決定を受けた本人が行い、配偶者はそれを支える資料を準備します(入管法50条2項)。
- 戸籍・住民票・在留カードは、法的な婚姻、同居、配偶者の在留資格を示す土台の書類です。
- 納税・雇用の書類は、家族の生活が安定していることや、第三者による支援を示すために使います。
- 陳述書と嘆願書は、資料だけでは伝わらない婚姻の経過や周囲の支えを、事実に即して具体的に書くことが大切です。
在留特別許可の申請は、いつ、誰がするのですか。
申請するのは退去強制の手続に入った本人で、時期は収容又は監理措置の後に限られます。配偶者は申請者ではありませんが、許否を左右する資料の多くは配偶者の手元にあります。
「前項の規定による許可(以下この条において「在留特別許可」という。)の申請は、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人が、法務省令で定める手続により、法務大臣に対して行うものとする。」(入管法50条2項)
退去強制令書が発付された後は申請できず(同条3項)、入国審査官の認定に服した場合は、その日から3日以内に申請しなければ退去強制令書が発付されます(入管法47条5項2号)。期限の考え方は在留特別許可申請の3日とはで説明しています。
配偶者が準備する書類には、どのようなものがありますか。
入管法50条5項とガイドラインが挙げる考慮事情ごとに、対応する書類をそろえます。
| 分類 | 書類の例 | 示す事情 |
|---|---|---|
| 身分関係 | 戸籍謄本(配偶者が日本人の場合)、本国の婚姻証明書、世帯全員の住民票 | 法的に婚姻していること、同居 |
| 配偶者の在留資格 | 在留カードの写し、永住許可や帰化を申請中であればその受付の控え | 別表第二の在留資格かどうか |
| 生活の安定 | 在職証明書、雇用契約書、課税・納税証明書、年金・医療保険の納付記録 | 扶養の力、公的義務の履行 |
| 婚姻の実体 | 時期のわかる写真、生活費の送金記録、賃貸借契約書 | 婚姻が安定かつ成熟していること |
| 子 | 出生の記録、在学証明書、通知表 | 子の利益の保護 |
| 思いと支援 | 配偶者の陳述書、親族・勤務先・地域の方の嘆願書 | 家族関係、地域社会との結び付き、第三者の支援 |
すべてが必要になるわけではなく、事案に応じて重点が変わります。
戸籍・住民票・在留カードでは、何を示すのですか。
法的に婚姻していること、同じ世帯で暮らしていること、配偶者がどの在留資格で在留しているかを示します。どれも、ガイドラインの家族関係の評価の入口になる書類です。
ガイドラインが婚姻を「特に考慮する積極要素」とするのは、配偶者が日本人・特別永住者である場合(第2の2(1)ウ)と、永住者・定住者など別表第二の在留資格で在留している場合(第2の2(2)ウ)です。配偶者の在留カードは、この区分を示す最も基本的な資料になります。配偶者の在留資格が結論にどう響くかは在留特別許可は配偶者の在留資格で決まるをご覧ください。
配偶者が永住許可や帰化を申請している途中であれば、その事実も資料として示します。住民票は、続柄と同居の開始時期がわかる形で取得してください。
納税や雇用の書類は、なぜ必要ですか。
家族の生活が安定しており、本人が日本で暮らし続けても支えがあることを示すためです。ガイドラインは、第三者による支援を積極要素として挙げています。
「当該外国人に対する将来の雇用主等の第三者による支援の内容が十分なものであることなど、地域社会に溶け込み、貢献しているなどの事情が認められる場合には、その程度に応じて、積極要素として考慮されます。」(在留特別許可に係るガイドライン第2の3)
反対に、ガイドラインは「適正に納税義務を果たしていないこと」を素行の消極要素に挙げています。配偶者が別表第一の在留資格で、本人に家族滞在の資格該当性を主張する場合には、配偶者の収入と扶養の力がそのまま争点になります。滞納がある場合は、隠さず納付を済ませ、その記録を添えるのが基本です。
陳述書と嘆願書には、何を書けばよいですか。
配偶者の陳述書には婚姻の経過と今後の支え方を、嘆願書には書き手と本人との具体的な関係を、どちらも事実に即して書きます。
- 陳述書:出会いの時期、婚姻と同居の開始、家計の分け方、子の養育、事件後の暮らし、今後どう本人を支えるか
- 嘆願書:書き手と本人との関係、知り合った時期、本人の働きぶりや地域での様子、在留を望む理由
ガイドライン第2の9は、退去強制手続などで「虚偽の内容の申告を行ったこと」を消極要素としています。陳述書の内容は、住民票や送金記録などの資料、刑事事件での供述と食い違わないようにしてください。書き方の詳細は配偶者の陳述書・嘆願書の書き方で扱っています。
書類は、いつから集め始めればよいですか。
夫(妻)が逮捕された段階から集め始めるのが理想です。刑事判決を理由とする退去強制事由は判決の確定によって生じるため、確定までの時間は、書類を整え、婚姻と生活の実績を積み上げる時間でもあります。
入管の手続に入ると、収容中の本人と打ち合わせる機会は限られ、申請の期限も短くなります。役所で取得する証明書や、本国から取り寄せる書類には時間がかかるものもあります。刑事事件の判決が近づいたら、一度すべての書類を並べて、足りないものを確認しておきましょう。
弁護士に相談するのは、いつがよいですか。
刑事事件の初期が望ましい時期です。どの書類に重点を置くかは、本人の刑事処分の見通しと配偶者の在留資格によって変わるからです。
当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間を使って家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。もっとも、結論は個別の事情によって異なり、許可をお約束できるものではありません。
よくある質問
Q1. 配偶者が在留特別許可を申請することはできますか。
申請するのは、収容令書により収容されたか監理措置決定を受けた本人です(入管法50条2項)。配偶者は、戸籍・住民票・陳述書など、申請を支える資料を準備する役割を担います。
Q2. この記事の書類をすべてそろえなければなりませんか。
いいえ。ここで挙げた書類は、ガイドラインの考慮事情に沿って当事務所が通常準備をお願いしているものです。事案によって重点が変わり、追加の資料を求められることもあります。
Q3. 税金の滞納があります。どうすればよいですか。
ガイドライン第2の3は、適正に納税義務を果たしていないことを消極要素に挙げています。滞納は隠さず、早めに納付して、その記録を添えるのが基本です。
Q4. 嘆願書は何通集めればよいですか。
通数よりも中身が大切です。本人との具体的な関係や、日頃の様子を知る人が、自分の言葉で事実を書いたものの方が説得力を持ちます。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
舟渡国際法律事務所
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