判決の確定とは|刑事判決が確定する時期と退去強制・在留特別許可への影響を弁護士が解説
2026/10/11
判決の確定とは、上訴期間が経過し、又は上訴が棄却されるなどして、その判決を通常の上訴の方法ではもう争えなくなった状態をいい、刑事裁判の判決は原則として確定した後に執行されます(刑事訴訟法471条)。入管法の退去強制事由にいう「拘禁刑に処せられた」「有罪の判決を受けた」は判決の確定を指すものとして運用されているため、外国人の刑事事件では、判決がいつ確定するかが在留の行方を大きく左右します。
本記事の要点
- 第1審判決は、言渡しから14日の控訴期間(刑事訴訟法373条)が過ぎれば確定し、控訴・上告をすれば上級審の結論が出るまで確定しません。
- 上訴を放棄し又は取り下げると、その事件で再び上訴することはできず(同法361条)、判決は確定に向かいます。
- 入管法24条4号の2・4号チ・4号リなど刑事判決に基づく退去強制事由は、判決の確定によって生じるものとして運用されています。
- 確定までの期間に配偶者の永住許可や帰化を進め、婚姻の実質を整えておくことが、在留特別許可への現実的な準備になります。
判決の確定とは何ですか。
判決の内容が動かなくなり、刑を執行できる状態になることです。刑事訴訟法は、裁判の執行について次のように定めています。
「裁判は、この法律に特別の定のある場合を除いては、確定した後これを執行する。」(刑事訴訟法471条)
判決の言渡しを受けただけでは、まだ確定していません。検察官も被告人も上訴をすることができ(同法351条)、上訴されている間は、判決は確定しないまま上級審に移ります。実刑判決であれば、刑の執行も確定を待って始まります。
刑事判決は、いつ確定しますか。
上訴をしないまま上訴期間が過ぎたとき、上訴を放棄し又は取り下げたとき、上級審の判断が確定したときです。主な場面は次のとおりです。
| 場面 | 判決が確定する時期 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第1審判決に対し、検察官も被告人も控訴しない | 控訴期間(14日)の経過 | 刑事訴訟法373条 |
| 控訴審で控訴棄却となり、上告しない | 上告期間(14日)の経過 | 刑事訴訟法414条・373条 |
| 上告した | 上告審の判断が確定したとき | 刑事訴訟法414条ほか |
| 上訴を放棄し、又は取り下げた | 放棄・取下げにより再度の上訴ができなくなる | 刑事訴訟法359条・361条 |
検察官と被告人の双方に上訴の機会があるため、どちらも上訴しないまま期間が過ぎることで、第1審判決は確定します。控訴の判断のポイントは上訴期間(控訴・上告の14日)とはで説明しています。
判決の確定と退去強制事由は、どう関係しますか。
刑事判決を理由とする退去強制事由は、判決が確定してはじめて生じるものとして運用されています。条文の文言は「処せられた」「有罪の判決を受けた」です。
| 条文 | 主な文言 | 対象と注意点 |
|---|---|---|
| 入管法24条4号の2 | 「拘禁刑に処せられたもの」 | 別表第一の在留資格の人が、窃盗・詐欺・傷害など一定の罪で拘禁刑に処せられた場合。執行猶予付きでも該当 |
| 入管法24条4号チ | 「有罪の判決を受けた者」 | 薬物関係法令の違反。罰金・執行猶予でも該当し、在留資格を問わない |
| 入管法24条4号リ | 「無期又は一年を超える拘禁刑に処せられた者」 | 刑の全部の執行猶予などは除く |
在留特別許可が原則として認められない入管法50条1項ただし書も、「無期若しくは一年を超える拘禁刑に処せられた者」を対象としています。他方で、不法残留や不法就労助長のように、判決を待たず行為や事実そのものが退去強制事由になるものもあります。刑事判決に基づく事由かどうかで、時間の見通しは大きく変わります。
確定までの期間は、在留にとってどんな意味がありますか。
家族の状況を整えるための時間になります。刑事判決に基づく退去強制事由は確定前には生じないため、その間に配偶者の在留上の地位を引き上げる準備ができます。
在留特別許可に係るガイドラインは、配偶者が日本人・特別永住者又は永住者・定住者など別表第二の在留資格である場合の婚姻を「特に考慮する積極要素」としています(第2の2(1)ウ・(2)ウ)。配偶者が別表第一の在留資格であれば、確定までの間に永住許可や帰化を進めることに大きな意味があります。ただし、永住は原則10年の在留、帰化も2026年4月1日から運用上原則10年の在留が求められ、審査にも時間がかかる傾向にあるため、早めに動き出す必要があります。
控訴・上告は被告人の正当な権利です。争うべき点があれば上訴してより良い判決を求めることができ、その結果として確定までの時間が延びます。被告人だけが控訴した事件では原判決より重い刑は言い渡されません(刑事訴訟法402条)。全体像は在留特別許可は配偶者の在留資格で分かれるをご覧ください。
判決が確定すると、入管の手続はどう進みますか。
入国警備官の違反調査から始まり、収容又は監理措置を経て、在留特別許可の申請と違反審査へと進みます。
- 違反調査の結果、退去強制事由に当たると疑うに足りる相当の理由があれば、主任審査官が監理措置に付すか収容するかを審査します(入管法39条2項、44条の2)。
- 収容令書により収容されたか、監理措置決定を受けた段階で、在留特別許可を申請できるようになります(入管法50条2項)。
- 入国審査官が退去強制対象者に当たるかを審査し、認定に服した場合は、その日から3日以内に申請しないと退去強制令書が発付されます(入管法47条5項2号)。
実刑の場合は、刑の執行を終えた後や仮釈放の際に入管の手続に移るのが通常の流れです。逮捕から在留特別許可の判断までの流れは逮捕から在留特別許可の判断までのタイムラインで整理しています。
確定前に注意すべきことは何ですか。
在留期間を切らさないことと、上訴の放棄・取下げを安易にしないことです。
刑事事件の最中に在留期限が来た場合、更新を申請していれば、期間満了後も処分がされる時又は満了日から2月を経過する日のいずれか早い時まで在留できます(入管法21条4項・20条6項)。申請をしないまま期限を過ぎると、判決とは別に不法残留の問題が生じます。また、上訴の放棄や取下げをすると再び上訴することはできません(刑事訴訟法361条)。早く終わらせたいという気持ちは自然ですが、在留への影響を確認してから判断してください。
弁護士に相談すべきタイミングはいつですか。
逮捕直後、遅くとも第1審判決の前です。判決の言渡しから控訴期間の14日はすぐに過ぎてしまいます。
当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間を使って家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。結果は事案ごとに異なり、許可を約束できるものではありませんが、確定前からの準備が結論を左右します。「判決が確定したら強制送還になる」と言われた段階でも、諦めずにご相談ください。
よくある質問
Q1. 執行猶予付きの判決でも、確定すれば退去強制になりますか。
在留資格と罪名によります。別表第一の在留資格の人が窃盗・詐欺・傷害など一定の罪で拘禁刑に処せられた場合は、執行猶予付きでも入管法24条4号の2に当たります。薬物事件は罰金・執行猶予でも4号チに当たります。
Q2. 控訴している間に、入管に収容されることはありますか。
刑事判決に基づく退去強制事由は確定前には生じないものとして運用されています。ただし、在留期限が切れて不法残留になった場合など、判決とは別の退去強制事由があれば、入管の手続が進むことがあります。
Q3. 判決が確定した後で、在留特別許可を申請できますか。
確定しただけでは申請できず、収容令書により収容されたか、監理措置決定を受けた後に申請します(入管法50条2項)。退去強制令書が発付された後は申請できません(同条3項)。
Q4. 上訴を取り下げると、どうなりますか。
その事件について再び上訴することはできなくなり(刑事訴訟法361条)、判決は確定に向かいます。退去強制事由に当たる判決であれば、入管の手続が始まることになるため、取り下げる前に在留への影響を確認すべきです。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
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