不起訴を目指すとき|弁護士に確認したいこと(起訴前の弁護活動と在留への影響)
2026/10/04
不起訴を目指すときに弁護士へ確認したいことは、起訴前の弁護活動の具体的な内容、被害者がいる事件での示談の進め方、勾留への対応の方針、不起訴の場合と起訴された場合で在留がどう変わるかの4点であり、不起訴は検察官が決める処分であるため、弁護士が結果を約束することはできない。(刑事訴訟法248条)
- 検察官は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況により、訴追を必要としないときは公訴を提起しないことができる
- 不起訴には、嫌疑がない場合、嫌疑が十分でない場合、嫌疑はあるが起訴しない場合(起訴猶予)などがあり、弁護活動の中心が異なる
- 起訴前の身体拘束は、逮捕から通常最長23日であり、その間に何をするのかを具体的に尋ねておくとよい
- 不起訴は在留の面でも意味が大きいが、入管法違反など別の退去強制事由がある場合、その手続は別に続く
- 見通しとリスクを説明してもらえるかどうかは、依頼前に確認できる
不起訴とは何で、弁護士に何を尋ねればよいのか?
不起訴とは、検察官が公訴を提起しないと決める処分であり、依頼者は、事件がどの種類の不起訴を目指す事案なのか、そのために何をするのかを、弁護士に具体的に尋ねるのがよい。
日本では、犯罪の嫌疑があっても、諸事情により訴追を必要としないときは起訴しないことが認められている(刑事訴訟法248条)。これを起訴便宜主義という。不起訴の種類ごとの意味は、不起訴処分とはでも説明している。ここでは、弁護士に尋ねる観点で整理する。
| 不起訴の種類(検察実務上の呼び方) | 意味 | 弁護活動の中心 |
|---|---|---|
| 嫌疑なし | 犯罪の嫌疑がない、又は犯人でないことが明らかな場合 | 事実関係の確認、本人の言い分の整理、取調べでの対応の助言 |
| 嫌疑不十分 | 犯罪を証明する証拠が足りない場合 | 供述の内容の確認、黙秘権の行使の検討、証拠に対する意見 |
| 起訴猶予 | 犯罪の嫌疑はあるが、諸事情から訴追を必要としない場合 | 示談、被害弁償、反省、再発防止、家族や勤務先の協力の整理 |
起訴猶予の考え方は、起訴猶予とはで説明している。
起訴前の弁護活動には、どのようなものがあるのか?
起訴前の弁護活動は、接見による事情の聞き取りと取調べへの助言、被害者がいる場合の示談、身体拘束に対する手続、検察官への意見書の提出が中心であり、どれを、いつ行うのかを説明してもらうとよい。
弁護人は、本人に会って事実関係を聞き、取調べで話すか黙秘するか、調書にどう対応するかを助言する。被害者がいる事件では、被害者との示談を進める。身体拘束については、勾留に対する準抗告や勾留理由開示などを検討する。検察官に対しては、不起訴を相当とする事情を記載した書面を提出することがある。
起訴前の期間は短いため、どれをいつまでに行うのか、本人や家族に何を協力してもらうのかの説明を、早めに受けておく必要がある。
勾留に対する準抗告や勾留理由開示は、不起訴とどう関係するのか?
勾留に対する手続は、不起訴を直接に決めるものではないが、不当な身体拘束の解消や、本人の仕事や生活の基盤の維持に関わるため、弁護士の方針を確認してよい。
勾留は、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかがあるときにされる(刑事訴訟法60条1項。被疑者については同法207条1項)。勾留の期間は、請求の日から原則10日、やむを得ない事由があるときは通じて10日を超えない範囲で延長される(同法208条)。
勾留の裁判に不服があるときは準抗告を申し立てることができ(同法429条1項2号)、勾留の理由の開示を請求することもできる(同法82条・207条1項)。勾留とはでは、勾留の仕組みを詳しく説明している。確認したいのは、自分の事件で準抗告を行う見込みがあるか、行う場合の見通しと理由は何か、という点である。
被害者がいる事件では、示談をどう進めてもらえるのか?
示談は、検察官が起訴猶予を判断する際に考慮される犯罪後の情況の一つであるが、成立すれば不起訴になるというものではないため、進め方と見通しを弁護士に確認する。
被害者の連絡先は、本人や家族には教えてもらえないことが多く、弁護人を通じて意向を確認するのが通常である。本人や家族が被害者に直接連絡すると、かえって被害者を怖がらせたり、罪証隠滅を疑われたりするおそれがある。示談書の内容や外国人の場合の通訳の問題は、被害者との示談を弁護士に任せるときで詳しく説明している。
不起訴になった場合、在留はどうなるのか?
不起訴であれば、有罪の判決を前提とする退去強制事由には当たらないが、入管法違反など別の事由は別に判断され、在留期間の更新や変更の審査も別に行われるため、退去強制事由への該当と更新・変更の許否を分けて確認する必要がある。
| 刑事処分 | 退去強制事由に当たるか | 在留期間の更新・変更 |
|---|---|---|
| 不起訴 | 有罪の判決を前提とする事由(入管法24条4号の2・4号リ・4号チなど)には当たらない。ただし、不法残留など別の事由があれば別に問題となる | 許可されるかは別に審査される。起訴猶予の場合は、事実関係の説明を求められることがある |
| 罰金 | 当たらない | 素行が審査され、不利に考慮されることがある |
| 執行猶予付き拘禁刑 | 別表第一の在留資格の方は、窃盗・傷害・詐欺などの罪(4号の2に挙がる罪)で該当する。別表第二の方は4号の2には当たらない。薬物事件の有罪は、執行猶予でも24条4号チに該当する | 更新・変更でも不利に考慮される。退去強制事由に該当する場合は、更新・変更は困難になる |
| 1年を超える拘禁刑の実刑 | 該当する(24条4号リ) | 更新・変更は困難になる。退去強制の手続の中で在留特別許可を求める余地はある(入管法50条) |
同じ処分でも、在留資格が別表第一か別表第二か、罪名が何かによって結論が異なる。弁護士には、自分の在留資格と罪名を前提に、不起訴の場合と起訴された場合の見通しを分けて説明してもらうのがよい。
外国人の本人が不起訴を目指すとき、特に確認したい点は何か?
通訳人を介した取調べへの対応、調書への署名の考え方、黙秘権の行使、在留への影響の説明の4点を、最初の接見の段階で確認するとよい。
日本語が不自由な本人は、供述調書の内容を十分に確かめられないまま署名を求められるおそれがある。取調べに臨む前に、調書や署名への対応を弁護士から聞いておく必要がある。詳細は、日本語が不自由な人の取調べで、弁護士に確認したいことで説明している。
当事務所に相談するときは、何を伝えればよいのか?
本人の氏名・国籍・在留資格と在留期限、逮捕された警察署、罪名、被害者の有無、通訳が必要な言語を伝えてもらえれば、起訴前の見通しの検討を始めやすい。
当事務所は、中国語での相談に対応しており、専属の通訳が常駐している。全国からの相談を受けている。微信IDは matsumura1119 である。最初の接見では、在留資格を失うおそれについて、本人に正確に理解してもらうことを重視している。
よくある質問
弁護士に依頼すれば、不起訴になりますか?
不起訴は、検察官が証拠と諸事情を考慮して決める処分であり、弁護士が結果を約束することはできない。弁護士は、不起訴を相当とする事情を集めて主張し、見通しとリスクを説明する。
不起訴になれば、前科は付きませんか?
不起訴は有罪の判決ではないため、前科は付かない。ただし、捜査を受けた記録(前歴)は残る。
不起訴になったことは、どのようにして知ることができますか?
被疑者の請求があるときは、検察官は事件について公訴を提起しない処分をした旨を速やかに告げなければならない(刑事訴訟法259条)。弁護人を通じて告知を求めることができる。
起訴猶予で終わった場合でも、在留期間の更新が不許可になることはありますか?
起訴猶予は有罪の判決ではないため、刑罰を理由とする退去強制事由には当たらない。他方、在留期間の更新は、法務大臣が更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに許可される(入管法21条3項)。事案によっては、事実関係の説明を求められることがあるため、不起訴後の対応も弁護人に相談するとよい。
示談ができなければ、不起訴は難しいのでしょうか?
示談は有力な事情の一つであるが、すべてではない。被害者がいない事件では示談自体がなく、また、証拠が足りない場合や、本人の反省、再発防止の環境、生活状況などが考慮される場合もある。事案ごとに異なるため、弁護人に見通しを確認するとよい。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結果を保証するものではありません。個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
最終更新 2026年10月4日 / 執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所 https://matsumura-lawoffice.jp/ 微信ID:matsumura1119 電話:050-7587-4639