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帰国後の借金はどうなるか|日本で残した債務と中国での請求の可能性(時効・連帯保証人・再入国のリスク)

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帰国後の借金はどうなるか|日本で残した債務と中国での請求の可能性(時効・連帯保証人・再入国のリスク)

帰国後の借金はどうなるか|日本で残した債務と中国での請求の可能性(時効・連帯保証人・再入国のリスク)

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

日本で借りたお金は、帰国しても消えません。債務は消滅時効(民法166条)が完成して援用されるまで存続し、債権者は日本で訴訟を起こして判決を取り、日本に残った財産や連帯保証人に請求することができます。日本の判決を中国で強制執行することは一般に困難とされていますが、それは借金がなくなることを意味せず、再入国や保証人、刑事事件の面でリスクが残ります。

この記事の要点

  • 帰国は債務の消滅原因ではなく、債権は消滅時効(民法166条)の完成と援用(民法145条)があるまで存続します。
  • 債権者が日本で訴えを起こせば、住所が分からなくても公示送達(民事訴訟法110条)によって手続が進み、本人不在のまま判決が出ることがあります。
  • 日本の判決を中国の裁判所で承認・執行することは、相互の保証の有無が問題とされ、一般に困難とされていますが、将来の運用や個別事案によって異なり得ます。
  • 連帯保証人(民法446条・454条)は主債務者が帰国しても全額の請求を受け、税金などの公的債務は破産でも免責されません(破産法253条)。
  • 借金の不払い自体は上陸拒否事由(入管法5条1項)ではありませんが、返す意思のない借入れは詐欺(刑法246条)として刑事事件になり得ます。

こんな場面で問題になります

  • 留学を終えて帰国するが、カードローンと携帯電話の端末代金が残っており、放置してよいか分からない。
  • 会社を畳んで帰国したが、個人保証していた借入れについて、日本にいる友人の連帯保証人に請求が始まった。
  • 帰国して数年後、日本で再び就職が決まったが、以前の借金がどうなっているか不安で在留資格の申請をためらっている。
  • 日本の債権回収会社から中国の実家に手紙が届き、家族が対応に困っている。
  • 「どうせ帰国するから」と周囲に勧められて借入れを重ねてしまい、後から詐欺になると聞いて心配している。

帰国しても日本の借金は残りますか

残ります。債務は、弁済、免責、消滅時効の完成と援用などの事由がない限り消滅せず、帰国はそのいずれでもありません。

金銭の貸借は民法上の契約であり、借主が日本を離れても契約上の義務は変わりません。債権者から見れば、債務者が海外にいることは回収が難しくなる事情に過ぎず、債権が消える理由にはなりません。消滅時効(民法166条)は、債権者が権利を行使できることを知った時などから一定期間が経過すると完成しますが、債務者が時効を援用(民法145条)して初めて債務が消えます。また、債権者が裁判上の請求をすれば時効の完成猶予・更新の効果が生じ(民法147条)、確定判決によって確定した権利の時効期間は延びます(民法169条)。債務者側が一部を支払ったり支払猶予を求めたりすることも、債務の承認として時効を更新します(民法152条)。帰国後に時間が経てば自動的に解決する、という理解は正確ではありません。

債権者は日本でどのような手段を取れますか

日本で訴訟を起こして判決を得たうえで、日本国内に残る預金・給与・不動産などの財産や連帯保証人に対して請求・強制執行をすることができます。

債務者が出国していても、日本の裁判所に訴えを提起することは可能です。送達先が分からない場合には公示送達(民事訴訟法110条)の方法があり、本人が知らないまま審理が進んで判決が確定することがあります。判決があれば、日本に残した銀行口座、再入国後の給与、不動産などに対して民事執行法に基づく強制執行ができます。また、連帯保証人がいれば、主債務者の所在にかかわらず保証人に全額を請求できます(民法446条・454条)。債権者としては、債務者本人が中国にいる間は日本国内の財産と保証人を主な回収対象にする、というのが現実的な動きです。

場面日本での扱い中国での扱い(留保付き)再入国時の影響
貸金業者・銀行の債務を残して帰国債権は存続。訴訟・判決・日本国内の財産への執行が可能日本の判決の承認・執行は一般に困難とされる。中国の裁判所への直接の訴えは理論上あり得る入国拒否事由ではない。判決があれば給与・預金の差押えの可能性
連帯保証人がいる債務保証人に全額請求(民法446条・454条)保証人が日本にいれば中国側は無関係保証人との関係・求償の問題が残る
税金・社会保険料の滞納滞納処分の対象。破産でも非免責(破産法253条)—在留審査で納税状況が確認される
返す意思のない借入れ詐欺(刑法246条)として捜査の可能性—有罪なら入管法5条1項4号などの上陸拒否事由に該当し得る

日本の判決は中国で強制執行されますか

日本の判決を中国の裁判所で承認・執行することは、相互の保証の有無が問題とされ、一般に困難とされてきました。ただし、これは将来の運用や個別の事案によって変わり得るもので、中国で請求を受ける可能性がゼロになるわけではありません。

外国判決の承認・執行は、日本では民事訴訟法118条が要件を定めており、その一つが相互の保証です。日本と中国の間では、互いの判決を承認・執行した実績が乏しく、この相互の保証の有無が否定的に扱われてきたため、日本の判決をそのまま中国で執行することは難しいと一般に説明されています。しかし、留保が三つあります。第一に、裁判所の判断は個別事案ごとであり、将来の裁判例や両国の運用によって状況が変わる可能性があります。第二に、債権者が日本の判決を使わず、中国の裁判所に直接訴えを起こす方法は理論上残っており、債権者が中国に拠点を持つ場合や、同胞間の貸借で貸主自身が帰国している場合には現実味があります。第三に、裁判外の圧力、すなわち中国の家族や勤務先への連絡は、法的な執行とは別に起こり得ます。したがって、「中国に帰れば請求されない」と断定することはできません。

連帯保証人や身元保証人はどうなりますか

連帯保証人は主債務者が帰国しても全額の請求を受けますが、入管手続の身元保証人は法律上の支払義務を負うものではないとされています。

金銭消費貸借の連帯保証人(民法446条・454条)は、主債務者と同じ内容の債務を負い、債権者から直接全額の請求を受けます。主債務者が出国して連絡が取れなくなると、債権者の請求は保証人に集中し、保証人は支払った後に主債務者へ求償することになりますが、相手が中国にいればその回収も困難です。日本で保証人になってくれた友人や同僚との関係を損なわないためには、帰国前に債権者と返済計画や整理の合意をするか、少なくとも保証人に状況を説明して対応を相談しておく必要があります。これに対し、在留資格の申請で求められる身元保証人は、入管に対して生活の保証を誓約するもので、借金の支払義務を法律上負うものではないとされています。混同して支払いを迫られたときは、その違いを説明できるようにしておきます。

借金を残したまま再入国するとどうなりますか

借金の不払い自体は上陸拒否事由(入管法5条1項)ではありませんが、判決があれば再入国後の給与や預金が差し押さえられる可能性があり、借入れに犯罪の疑いがあれば刑事事件として扱われます。

入管法5条1項の上陸拒否事由は、一定の刑に処せられた者や退去強制された者などを定めたもので、民事上の債務不履行は含まれていません。したがって、借金があることだけを理由に入国を拒まれることはありません。しかし、帰国中に債権者が判決を取っていれば、再入国して働き始めた後の給与や新たに開設した口座に強制執行が及び得ます。在留資格の審査では納税状況や生計の安定性が見られるため、税金の滞納を残していると更新や永住の審査に影響します。さらに、借入れの際に虚偽の資料を出していたり、最初から返す意思がなかったと疑われる事情があれば、詐欺(刑法246条)として立件される可能性があり、有罪判決を受ければ入管法5条1項4号や24条4号の2などに該当して在留そのものが危うくなります。永住者の方が再入国許可の期限内に戻らなかった場合は、在留資格を失うという別の問題もあります。

帰国する前にしておくべきことは何ですか

債務の全体を把握し、任意整理・自己破産などで日本にいる間に解決の道筋をつけ、連帯保証人と連絡先の扱いを整理しておくことです。

まず、借入先・残高・利率を一覧にし、利息制限法1条に照らして払い過ぎがないかを確認します。次に、収入があるうちに任意整理で返済計画の合意をするか、支払いの見込みがなければ自己破産で免責(破産法252条)を得ることを検討します。自己破産は手続中に裁判所の許可なく居住地を離れられない制約があるため(破産法37条)、帰国時期から逆算して着手する必要があります。債権者には弁護士を通じて連絡窓口を明確にし、家族や勤務先に連絡が行かないようにします。連帯保証人には事情を説明し、保証人への請求が始まった場合の対応を決めておきます。税金や社会保険料の滞納があれば、役所と納付方法の相談をして納付の意思を示しておくことが、将来の在留審査のためにも重要です。

中国籍の方に特有の留意点

第一に、同胞間の貸借です。貸主自身が中国に帰っている場合、日本の判決の執行の難しさは逆に働き、中国で直接請求を受ける可能性が高まります。送金記録や微信のやり取りを整理し、いくら借りていくら返したかを確定させておきます。第二に、中国の家族への連絡です。家族には法律上の支払義務がないことを事前に伝え、中国側で受けた連絡は記録して日本の弁護士と共有してもらいます。第三に、帰国を前提にした借入れは詐欺になり得ることです。周囲から「帰ればなくなる」と勧められて借りた場合でも、返す意思のない借入れと評価されれば刑事事件となり、その後の日本への入国に影響します。第四に、自己破産を日本で完了させる場合は、手続に要する期間と出国制限(破産法37条)を見込んで、帰国の時期を決める必要があります。第五に、警察から借入れについて呼出しを受けた場合は、出頭の前に弁護士に相談してください。当事務所は外国人の刑事事件では取調べへの弁護人の立会いを求める方針で対応しています(立会いが認められることは現状ほとんどありません)。

弁護士に相談すべき場面

  • 帰国の予定があり、日本に残る債務をどう処理して出国すべきか判断したい。
  • 連帯保証人になっている日本の友人や同僚に請求が始まり、関係を保ちながら解決したい。
  • 帰国後に日本の債権者や回収会社から中国の家族に連絡が来ており、対応を決めたい。
  • 日本への再入国や在留資格の申請を予定しており、以前の債務や滞納の影響を確認したい。
  • 借入れの経緯について詐欺の疑いをかけられ、刑事事件になる可能性を検討したい。

当事務所は中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、債務整理・在留手続・刑事弁護を一体として扱います。帰国後の方からのご相談にも、微信(WeChat)などを通じて対応しています。

よくある質問

帰国すれば日本の借金は自然に消えますか

消えません。債務は消滅時効(民法166条)が完成し、それを援用するまで存続します。帰国中に債権者が日本で訴訟を起こして判決を得れば、時効の扱いも変わります(民法147条・169条)。

中国に帰った後、日本の債権者は中国で私を訴えられますか

日本の判決を中国の裁判所で執行することは一般に困難とされていますが、債権者が中国の裁判所に直接訴える可能性は理論上残ります。中国の事務所と連携して、個別に検討する必要があります。

借金を残して帰国すると、次に日本に来るとき入国を拒否されますか

借金の不払いそのものは上陸拒否事由(入管法5条1項)ではありません。ただし、借入れに詐欺などの犯罪が疑われていれば刑事事件として扱われ、有罪になれば入管法5条1項4号などに該当し得ます。

日本にいる連帯保証人の友人に迷惑をかけたくありません

連帯保証人は主債務者が帰国しても全額の請求を受けます(民法446条・454条)。帰国前に任意整理や返済計画の合意をしておく、保証人と事前に情報を共有しておくといった対応が考えられます。

帰国前に自己破産を済ませることはできますか

可能ですが、手続中は裁判所の許可なく居住地を離れられず(破産法37条)、免責決定までは日本にとどまる必要があるのが原則です。帰国時期を決める前に、手続にかかる期間を見込んで相談してください。

根拠条文・出典

  • 民法166条(債権等の消滅時効)、145条(時効の援用)、147条(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)、152条(承認による時効の更新)、169条(判決で確定した権利の消滅時効)、446条(保証人の責任等)、454条(連帯保証の場合の特則)
  • 民事訴訟法110条(公示送達)、118条(外国裁判所の確定判決の効力)
  • 破産法252条(免責許可の決定)、253条(免責の効力・非免責債権)、37条(破産者の居住に係る制限)
  • 利息制限法1条(利息の制限)
  • 入管法5条1項(上陸の拒否)、24条(退去強制事由)、26条(再入国の許可)
  • 刑法246条(詐欺)

関連する解説

ご相談・お問い合わせ

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)
中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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