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自賠責・任意保険の請求とは|示談の前に確認すべきことを外国人の交通事故を中心に解説

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自賠責・任意保険の請求とは|示談の前に確認すべきことを外国人の交通事故を中心に解説

自賠責・任意保険の請求とは|示談の前に確認すべきことを外国人の交通事故を中心に解説

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法(自賠法)により自動車の保有者に加入が義務付けられた強制保険で、人身損害について最低限の補償を行うものです。任意保険は、自賠責で足りない損害や物損を補うために保有者が任意で加入する保険で、交通事故の示談は通常、加害者側の任意保険会社との間で進みます。示談書に署名すると原則としてやり直しができないため、署名の前に請求できる保険と損害の範囲を確認することが重要です。

この記事の要点

  • 被害者は、加害者を通さずに加害車両の自賠責保険へ直接請求できます(自賠法16条・被害者請求)。
  • 任意保険会社の示談提示は任意保険基準で計算されていることが多く、裁判基準との差を確認してから応じるかどうかを決めます。
  • 慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・裁判基準の三つの基準があります。
  • 治療費の打切りや症状固定の時期、後遺障害等級の認定結果は、示談金額を左右する重要な分岐点です。
  • 示談書の清算条項に署名すると、後遺障害が後で判明しても追加請求は原則としてできません。

こんな場面で問題になります

  • 加害者側の保険会社から日本語の示談案が届き、金額が妥当なのか判断できないまま返事を迫られている。
  • 通院中に保険会社から治療費の支払を今月で終了すると電話で言われたが、まだ痛みが残っている。
  • 加害者が連絡に応じず、任意保険の有無もわからない。
  • 帰国の予定が決まっており、出国前に示談を済ませるべきか迷っている。
  • 自分の加入している保険に弁護士費用特約や人身傷害保険がついているか確認していない。

自賠責保険と任意保険はどう違いますか

自賠責は人身損害に限定された強制保険で支払の上限額が定められており、任意保険は上限を超える人身損害と物損を補う保険です。

項目自賠責保険任意保険
加入法律上の義務(自賠法)保有者の任意
対象となる損害人身損害のみ(傷害・後遺障害・死亡)人身損害の自賠責超過分、物損、搭乗者など契約内容による
支払の基準自賠責基準(上限額あり)各社の任意保険基準、交渉により変動
被害者からの直接請求可能(自賠法16条)契約上の直接請求の可否は約款による。通常は示談代行の窓口
過失相殺被害者に重大な過失がある場合に限り減額過失割合に応じて減額

自賠責保険は被害者の過失が大きくても重大な過失に当たらない限り減額されないため、過失割合が争われている事案では、まず自賠責に被害者請求をして減額されない部分を確保し、その後に任意保険会社と超過分を交渉する進め方があります。

被害者請求と加害者側の一括対応はどう違いますか

加害者側の任意保険会社が自賠責分も含めて一括で対応する方法では被害者の手続は簡単になりますが、治療費の打切りや後遺障害の認定を保険会社の判断に委ねることになるため、被害者請求で自ら手続を進める選択肢を知っておく必要があります。

一括対応では、任意保険会社が治療費を病院に支払い、後遺障害の認定も保険会社が資料を提出して行います(事前認定)。手間はかかりませんが、提出される資料を被害者が確認できず、認定に必要な検査結果が不足したまま判断されることがあります。被害者請求(自賠法16条)では、交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書などを被害者側で揃えて自賠責保険会社に提出し、損害保険料率算出機構の調査を経て支払を受けます。後遺障害が問題になる事案や過失割合に争いがある事案では、被害者請求のほうが結果を自分で管理できます。

任意保険会社の示談提示はどのように読めばよいですか

提示書の損害項目ごとに、計算の基準、治療期間と通院日数の数え方、過失割合、既払金の控除を確認し、裁判基準で計算した場合との差を把握してから返答します。

慰謝料には、自賠責の基準、任意保険会社が社内で定める基準、裁判例をもとにした裁判基準の三つがあり、同じけがでも基準により結果が異なります。任意保険会社の提示は多くの場合に任意保険基準で計算されており、裁判基準で計算し直すと金額が変わることが一般的です。休業損害では基礎収入の認定、通院慰謝料では通院期間と実通院日数の扱い、過失相殺では割合そのものが争点になります。提示書は日本語で届くため、項目の意味がわからないまま署名しないでください。

治療費の打切りと後遺障害の認定はどう対応しますか

保険会社が治療費の支払を終了すると伝えてきても治療をやめる義務はなく、医師が症状固定と判断するまで健康保険などを使って通院を続け、残った症状は後遺障害診断書に基づき等級認定を申請します。

保険会社は、けがの種類ごとの目安となる期間を経過すると治療費の打切りを打診してきます。打切り後の治療費は、必要性が認められれば後から請求できます。症状固定とは、治療を続けても改善が見込めない状態をいい、その時点で残った症状について後遺障害診断書を医師に作成してもらい、等級の認定を求めます。等級は後遺障害慰謝料と逸失利益の算定に直結し、認定結果に不服があれば異議申立てができます。通訳を介して医師に症状を正確に伝え、診断書に症状の経過が正しく記載されているかを確認することが、外国人の方の事案では特に重要です。

加害者が無保険・連絡不能のときはどうしますか

自賠責があれば被害者請求を行い、自賠責もない場合やひき逃げで加害者が不明の場合は政府保障事業への請求を検討し、あわせて自分や家族の人身傷害保険・無保険車傷害保険の利用を確認します。

加害車両の自賠責保険会社は、交通事故証明書の記載から確認できます。任意保険がなく加害者本人に資力がない場合でも、自賠責の範囲は被害者請求で受け取れます。自賠責すら付いていない車や加害者が特定できない場合は、自賠法に基づく政府保障事業が補償の受け皿になります。被害者自身が加入する自動車保険の人身傷害保険は、過失割合にかかわらず自分の損害を受け取れる契約で、家族の契約で補償されることもあります。弁護士費用特約が付いていれば、弁護士に依頼する費用の負担を抑えられます。

示談の前に確認すべきことは何ですか

治療が終わっているか、後遺障害の有無と等級が確定しているか、損害項目に漏れがないか、過失割合に納得しているか、示談書の清算条項の意味を理解しているか、の五点を確認してから署名します。

示談は民法上の和解契約(民法695条)であり、示談書の清算条項は、示談書に定めた以外の請求権を放棄する意味を持ちます。署名後に後遺障害が判明しても、示談書に後遺障害が生じた場合は別途協議するといった留保がなければ追加請求は原則として認められません。人身損害の請求権の時効は損害と加害者を知った時から5年(民法724条の2)ですから、時効を理由に急いで示談する必要はありません。帰国の予定がある場合でも、治療と認定が終わる前に示談するより、代理人に委任して帰国後に続ける方法を検討してください。

中国籍の方に特有の留意点

  • 書類の言語:示談書・免責証書・後遺障害診断書はすべて日本語です。中国語訳を用意して内容を理解したうえで署名してください。保険会社の担当者との電話でのやり取りも、理解できない部分は後で書面で確認します。
  • 保険証券の確認:自分や家族の自動車保険に弁護士費用特約・人身傷害保険が付いているかは証券で確認できます。中国語で説明を受けられる代理店が少ないため、弁護士が代わりに確認することもできます。
  • 帰国と示談のタイミング:出国前に示談を急ぐと、後遺障害や打切り後の治療費を取りこぼします。帰国後も代理人が手続を続けられるため、委任状の準備(中国からの委任状には公証・認証が必要になることがあります)を先に済ませます。
  • 受取口座:示談金は日本の口座への振込が基本です。帰国後に中国の口座で受け取る場合は、送金の方法と手数料を保険会社と事前に確認します。
  • 加害者側になった場合:自分の任意保険会社が示談代行をしますが、刑事処分や在留資格への影響(入管法24条4号リ・4号の2)は保険会社の対応の範囲外ですので、別途弁護士に相談してください。

弁護士に相談すべき場面

  • 保険会社から示談案が届き、金額の妥当性を判断したいとき。
  • 治療費の打切りを告げられた、または後遺障害の申請を考えているとき。
  • 過失割合に争いがあり、自賠責への被害者請求を先行させたいとき。
  • 加害者が無保険・連絡不能で、政府保障事業や自分の保険の利用を検討するとき。
  • 帰国の予定があり、示談を急ぐべきか代理人に委任して続けるべきか迷っているとき。

舟渡国際法律事務所では、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。交通事故の損害賠償請求は、加害者側の刑事手続や在留資格の問題と結びつくことが多いため、刑事弁護と入管事件を一体で扱う体制のもとで対応します。行政事件の取扱いは複数の学術誌に掲載され研究の対象となっています。

よくある質問

保険会社の提示額はそのまま受け入れるべきですか

すぐに応じる必要はありません。提示は任意保険基準で計算されていることが多く、裁判基準で計算し直した場合や過失割合を見直した場合と比較してから判断してください。

被害者請求は自分でできますか

できます。交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書などを揃えて自賠責保険会社に提出します。書類はすべて日本語ですので、通訳や弁護士の助けを得て進める方が確実です。

治療費の支払を打ち切られたら通院をやめるべきですか

やめる必要はありません。医師が症状固定と判断するまでは健康保険などを使って通院を続け、必要性が認められれば打切り後の治療費も請求できます。

示談書に署名した後に症状が悪化したら請求できますか

清算条項のある示談書に署名すると、原則として追加請求はできません。後遺障害が生じた場合は別途協議するといった留保条項があれば例外的に請求の余地があります。

帰国前に示談を終わらせる必要がありますか

ありません。人身損害の請求権は損害と加害者を知った時から5年(民法724条の2)で時効にかかるため、代理人に委任して帰国後に手続を続けることができます。

根拠条文・出典

  • 自動車損害賠償保障法3条(運行供用者責任)、16条(被害者請求)、政府保障事業
  • 民法695条(和解)、709条(不法行為)、722条(過失相殺)、724条・724条の2(消滅時効)
  • 道路交通法72条(交通事故の場合の措置)
  • 出入国管理及び難民認定法24条4号リ・4号の2(退去強制事由)

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ご相談・お問い合わせ

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)
中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

本ページは一般的な情報提供であり、個別の事案の結果を保証するものではありません。

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