舟渡国際法律事務所

違法な取立てとは|貸金業法21条の規制と外国人が受けやすい被害(同胞間の借金・SNSでの晒し・家族への連絡)への対処

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違法な取立てとは|貸金業法21条の規制と外国人が受けやすい被害(同胞間の借金・SNSでの晒し・家族への連絡)への対処

違法な取立てとは|貸金業法21条の規制と外国人が受けやすい被害(同胞間の借金・SNSでの晒し・家族への連絡)への対処

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

違法な取立てとは、脅迫的な言動、深夜早朝や勤務先への執拗な連絡、家族など第三者への請求といった、法律が禁じる方法による債権の回収をいいます。貸金業者の取立ては貸金業法21条で規制され、業者でない個人や無登録の貸主であっても、脅迫(刑法222条)・恐喝(刑法249条)・不法行為(民法709条)として責任を問うことができます。

この記事の要点

  • 貸金業法21条1項は、貸金業者が威迫したり、私生活や業務の平穏を害する方法で取り立てたりすることを禁じ、弁護士受任後の本人への直接請求も制限しています。
  • 貸金業法の規制は登録貸金業者が対象ですが、同胞からの個人的な借入れや無登録業者であっても、刑法の脅迫・恐喝・強要や民法の不法行為で対処できます。
  • 利息制限法1条を超える利息は無効で、出資法5条を超える高利の貸付けは貸主が処罰される犯罪です。
  • 借りた事実と、違法な方法で取り立てられることは別問題であり、債務があっても違法な取立てには法的に対抗できます。
  • SNS上での晒し行為や家族への連絡は、名誉毀損(刑法230条)や不法行為として損害賠償・削除請求の対象になり得ます。

こんな場面で問題になります

  • 同郷の知人から生活費を借りたところ、返済が遅れた途端に微信(WeChat)で一日に何十回も催促され、同郷グループに名前と顔写真を晒された。
  • 留学中に紹介された貸主から高い利息で借り、返せないと分かると「入管に通報する」「帰国させる」と言われている。
  • 勤務先に督促の電話が繰り返しかかり、上司から事情を聞かれて職場にいづらくなった。
  • 中国の実家に電話がかかり、親に「息子の代わりに払え」と請求された。
  • 自宅のドアに貼り紙をされ、夜中に来訪されて、家族が怖がっている。

貸金業法21条はどのような取立てを禁じていますか

貸金業者が人を威迫し、または私生活・業務の平穏を害するような言動で取り立てることを禁じています(貸金業法21条1項)。

貸金業法21条1項は、取立てに当たって「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と定め、禁止される言動を具体的に列挙しています。社会通念に照らして不適当な時間帯の電話・訪問、正当な理由のない勤務先への連絡、債務者以外の者への支払要求、張り紙などで借入れの事実を明らかにすること、弁護士や司法書士が受任した旨の通知を受けた後に本人へ直接請求することなどが含まれます。登録貸金業者がこれに違反すれば、行政処分や刑事罰の対象になります。ただし、これらは貸金業者を名あて人とする規定であり、個人間の貸借や無登録の貸主にそのまま適用されるわけではありません。

同胞からの個人的な借金でも取立ては規制されますか

貸金業法は直接適用されませんが、脅迫(刑法222条)・恐喝(刑法249条)・強要(刑法223条)・住居侵入(刑法130条)といった刑法の規定と、不法行為(民法709条)による損害賠償で対処できます。

中国籍の方が巻き込まれやすいのは、同郷の知人や仕事の紹介者といった、業者ではない個人からの借入れです。こうした貸主は貸金業法の規制を受けませんが、取立ての方法には当然に限度があります。「払わないと家族がどうなっても知らない」といった害悪の告知は脅迫に、それによって金銭を交付させれば恐喝に当たり得ます。無断で自宅に上がり込めば住居侵入です。また、返済の遅れを理由に本人や家族の平穏を害する言動を繰り返せば、民法709条の不法行為として慰謝料の請求ができます。さらに、業として反復継続して貸し付けている個人は、登録がなくても貸金業の無登録営業として処罰の対象になることがあります。

取立ての態様貸金業者の場合個人・無登録の貸主の場合主な対処
深夜早朝の電話・訪問の繰返し貸金業法21条1項違反不法行為(民法709条)受任通知、記録化、損害賠償
勤務先への連絡貸金業法21条1項違反不法行為受任通知、監督官庁への申告
家族など第三者への支払要求貸金業法21条1項違反不法行為。害悪の告知を伴えば脅迫・恐喝記録化、警察・弁護士への相談
SNSでの晒し・貼り紙貸金業法21条1項違反名誉毀損(刑法230条)、不法行為証拠保全、削除・損害賠償請求
「入管に通報する」「帰国させる」との告知威迫に当たり得る脅迫・恐喝に当たり得る在留上の実際のリスクを弁護士と確認

「入管に通報する」と言われたら在留資格は危ないですか

借金の不払いは入管法24条の退去強制事由ではなく、通報されても借金を理由に退去強制されることはありません。

外国籍の方への取立てで多いのが、在留資格を人質にする手口です。しかし、債務不履行は退去強制事由(入管法24条)にも在留資格取消事由(入管法22条の4)にも含まれていません。注意が必要なのは、借入れとは別に、資格外活動や不法就労など在留上の問題を実際に抱えている場合です。貸主がそれを知っていて圧力に使うことがあり、この場合は在留上のリスクを正しく把握したうえで、弁護士と対応を組み立てる必要があります。いずれにしても、在留上の不利益をちらつかせて金銭を要求する行為は、それ自体が脅迫や恐喝に当たり得るものです。

SNSで名前や写真を晒されたらどうすればよいですか

日時の分かる形で証拠を保存したうえで、名誉毀損(刑法230条)や不法行為(民法709条)として削除と損害賠償を求め、必要に応じて警察に相談します。

微信(WeChat)のグループや小紅書(RED)などで「借金を踏み倒した」「詐欺師だ」として名前・写真・勤務先を公開する行為は、事実を摘示して社会的評価を下げるものとして名誉毀損に当たり得ます。借入れが事実であっても、公然と摘示する正当な理由がなければ違法性は否定されません。対処の第一歩は証拠の保存で、投稿のスクリーンショットをURLや投稿日時、アカウント名が分かる形で残します。そのうえで、投稿者が特定できていれば削除と損害賠償を請求し、投稿が脅迫的な内容を含むなら警察への相談も並行します。中国のプラットフォーム上の投稿であっても、日本に居住する者が日本で被害を受けている以上、日本の裁判所で損害賠償を求めることは可能ですが、投稿者が中国にいる場合は送達や執行に時間と費用がかかることを見込んでおく必要があります。

家族や勤務先に連絡が行った場合はどう対処しますか

家族は支払義務を負わないことを家族自身に伝え、貸主には弁護士を通じて第三者への連絡を止めるよう通知し、連絡の記録を残します。

保証人になっていない家族には、本人の借金を支払う法律上の義務はありません。中国の実家に連絡が行った場合、親は事情が分からず言われるまま送金してしまうことがあるため、先に本人から事情を説明し、支払いに応じないよう伝えておくことが大切です。勤務先への連絡は、貸金業者であれば貸金業法21条1項で禁じられており、受任通知と監督官庁への申告で止めさせます。個人の貸主であっても、職場への執拗な連絡は業務の平穏を害する不法行為であり、損害賠償の対象です。受けた連絡は日時・相手・内容を記録し、録音や通話履歴、メッセージの画面を保存しておきます。

弁護士が介入すると取立てはどう変わりますか

貸金業者には受任通知によって本人への直接請求を止めさせ(貸金業法21条1項)、個人の貸主には弁護士を窓口とする通知と警告を行い、並行して債務の整理と利息の再計算を進めます。

弁護士が受任すると、貸金業者との連絡はすべて弁護士が窓口になり、本人や家族への連絡は止まります。個人の貸主に対しては法律上の自動的な効果はありませんが、弁護士名での通知により、以後の連絡を弁護士宛てに限ること、脅迫や第三者への請求は刑事告訴や損害賠償請求の対象になることを明示して、行為をやめさせます。それでも続く場合は、警察への被害申告、仮処分、損害賠償請求訴訟に進みます。あわせて、借入れの取引履歴を確認して利息制限法1条で利息を計算し直し、出資法5条に違反する高利であれば、その事実も交渉の材料にします。取立てを止めることと、債務そのものを解決することは、同時に進める必要があります。

中国籍の方に特有の留意点

第一に、在留資格を人質にする手口を見抜くことです。借金の不払いは退去強制事由ではなく、在留上の不利益を告知して支払いを迫る行為はそれ自体が違法になり得ます。第二に、同胞のネットワーク内での貸借は、契約書がなく、利息の取決めも曖昧なことが多いため、送金記録や微信のメッセージを整理して、いくら借りていくら返したかを確定させることから始めます。第三に、中国の家族への連絡です。家族に支払義務がないことを伝え、中国側で圧力を受けた場合は日本で記録を共有してもらいます。第四に、取立てに暴力や監禁が伴う場合は、逮捕・監禁(刑法220条)や傷害(刑法204条)として、直ちに警察に通報してください。第五に、貸主から逆に「詐欺だ」と刑事告訴をほのめかされることがあります。返す意思をもって借り、返済もしていた事実があれば詐欺には当たりませんが、警察から呼出しを受けた場合は取調べの前に弁護士に相談してください。当事務所は外国人の刑事事件では取調べへの弁護人の立会いを求める方針で対応しています(立会いが認められることは現状ほとんどありません)。

弁護士に相談すべき場面

  • 家族・勤務先・同郷の知人に取立ての連絡が及び、生活や仕事に支障が出ている。
  • SNSで名前や写真を晒され、削除と責任追及をしたい。
  • 「入管に通報する」「帰国させる」と言われ、在留への影響が心配で支払いを迫られている。
  • 利息が高すぎると感じており、本当に支払うべき額を確定させたい。
  • 貸主から詐欺として告訴すると言われ、刑事事件になる可能性を確認したい。

当事務所は中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、取立ての差止め、債務の整理、刑事事件への対応、在留資格の問題を一体として扱います。

よくある質問

借りたお金を返していない自分に、取立てに抗議する資格はありますか

あります。債務があることと、脅迫や第三者への請求といった違法な手段で取り立てられることは別の問題です。債務は債務整理で、違法な取立ては法的な手段で、それぞれ対処します。

微信(WeChat)のグループで「借金を返さない人」として名前と写真を晒されました

名誉毀損(刑法230条)や不法行為(民法709条)に当たり得ます。スクリーンショットを日時が分かる形で保存し、投稿者の特定と削除・損害賠償の請求、警察への相談を検討します。

勤務先に督促の電話がかかってきて、解雇されそうです

貸金業者であれば勤務先への連絡は貸金業法21条1項で制限されており、弁護士からの通知と監督官庁への申告で止めさせることができます。個人の貸主でも、職場への執拗な連絡は不法行為になり得ます。

相手が同じ中国人で、中国の実家に人をやると言っています

家族への危害をほのめかす要求は脅迫(刑法222条)や恐喝未遂(刑法249条・250条)に当たり得ます。記録を残し、日本の警察と弁護士に相談してください。中国の家族には事情を共有し、応じないよう伝えておくことが大切です。

取立てが止まった後、借金はどうなりますか

取立てが止まっても債務自体は残ります。利息制限法1条で利息を計算し直したうえで、任意整理・個人再生・自己破産のいずれかで解決を図ります。

根拠条文・出典

  • 貸金業法21条(取立て行為の規制)
  • 利息制限法1条(利息の制限)、出資法5条(高金利の処罰)
  • 刑法222条(脅迫)、223条(強要)、249条(恐喝)、250条(未遂罪)、230条(名誉毀損)、130条(住居侵入等)、220条(逮捕及び監禁)、204条(傷害)、246条(詐欺)
  • 民法709条(不法行為による損害賠償)
  • 入管法24条(退去強制事由)、22条の4(在留資格の取消し)

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ご相談・お問い合わせ

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