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在留資格取消しとは|入管法22条の4の取消事由・意見聴取の手続と主張すべきこと・取消訴訟を弁護士が解説

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在留資格取消しとは|入管法22条の4の取消事由・意見聴取の手続と主張すべきこと・取消訴訟を弁護士が解説

在留資格取消しとは|入管法22条の4の取消事由・意見聴取の手続と主張すべきこと・取消訴訟を弁護士が解説

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

在留資格取消しとは、入管法22条の4に基づき、偽りその他不正の手段による許可の取得や、在留資格に該当する活動を正当な理由なく行っていないことなどを理由に、法務大臣が在留中の外国人の在留資格を失わせる処分をいいます。取消しの前には意見聴取の機会が与えられ、ここで何を主張し、何を証拠として出すかが結果を左右します。

この記事の要点

  • 取消事由は、偽り・不正の手段による上陸許可や変更許可、虚偽文書の提出、在留活動の不実施、配偶者としての活動の不実施、住居地の届出義務違反などに分かれます(入管法22条の4第1項)。
  • 取消しをしようとするときは、入国審査官による意見聴取が必要で、本人は代理人(弁護士)を選任し、意見を述べ、証拠を提出できます(同条2項〜4項)。
  • 条文は「取り消すことができる」という裁量規定で、事由に当たっても事情次第で取り消されないことがあります。
  • 偽り・不正の手段による取消しは退去強制事由(入管法24条2号の2)になり、それ以外は出国のための期間が指定され、期間内に出国しなければ退去強制の対象になります(同条2号の3)。
  • 取消しは行政処分として取消訴訟(行訴法3条2項・14条1項)と執行停止(同法25条)の対象になります。

こんな場面で問題になります

  • 日本人の配偶者等で在留中に別居し、離婚の協議が長引いている間に、配偶者としての活動を行っていないとして意見聴取通知書が届いた。
  • 会社の倒産や解雇で働いていない期間が続き、技術・人文知識・国際業務の活動をしていないとされた。
  • 留学生が学校を除籍された後も在留を続け、アルバイトだけをしていた。
  • 業者に任せた申請書類に実際と違う学歴・職歴が書かれていたことが、更新時の調査で判明した。
  • 経営・管理で在留しているが、会社に実体がなく、中国に長く滞在していた。

在留資格が取り消されるのはどのような場合ですか

入管法22条の4第1項に列挙された事由に限られ、大きく分けて、許可の取得過程に偽り・不正があった場合と、許可後に在留資格どおりの活動をしていない場合、届出義務に違反した場合です。

第一の類型は、上陸拒否事由に当たらないと偽って上陸許可を受けた場合や、実際には行う意思のない活動を行うと偽って許可を受けた場合、その他の偽り・不正の手段や虚偽文書によって許可を受けた場合です(1項1号〜4号)。第二の類型は、別表第一の在留資格(就労系・留学など)で在留する人が、正当な理由なくその活動を法定の期間を超えて継続して行っていない場合や、その活動を行わずに他の活動を行っている場合、日本人・永住者の配偶者が配偶者としての活動を法定の期間を超えて行っていない場合です(同項5号〜7号)。第三の類型は、住居地の届出をしない、虚偽の届出をするといった中長期在留者の届出義務違反です。どの事由に当たるとされているかは意見聴取通知書に記載され、それによって主張の組立てが変わります。

取消事由の類型内容取消し後の扱い
偽り・不正の手段による許可(1項1号・2号)上陸拒否事由を隠した、活動の意思がないのに偽った退去強制事由(24条2号の2)
その他の不正・虚偽文書(1項3号・4号)虚偽の学歴・職歴・婚姻等を記載した書類で許可を受けた出国のための期間を指定
活動の不実施(1項5号・6号)正当な理由なく在留活動を継続して行っていない、別の活動をしている出国のための期間を指定
配偶者活動の不実施(1項7号)正当な理由なく配偶者としての活動を行っていない出国のための期間を指定
届出義務違反住居地の未届出・虚偽届出出国のための期間を指定

意見聴取とはどのような手続ですか

法務大臣が取消しをしようとするとき、入国審査官が本人から意見を聴く手続で、本人は代理人を選任し、意見を述べ、証拠書類を提出できます(入管法22条の4第2項〜4項)。

意見聴取通知書には、期日・場所と、取消しの原因となる事実が記載されます。この通知書を受け取った時点で、入管はすでに調査を終え、取消しの方向で検討していると考えるべきです。正当な理由なく期日に出頭しないと、意見を聴かれないまま取り消されることがあるため、出頭するか、やむを得ない事情があれば期日変更を求めてください。意見聴取は入管の通訳を介して行われますが、本人の説明が不正確に伝わるおそれがあるため、代理人の弁護士が同席して、事前に整理した意見書と証拠を提出し、口頭での説明を補うのが有効です。

意見聴取では何を主張すべきですか

取消事由に当たらないこと(事実の誤り・正当な理由の存在)と、当たるとしても取り消すべきでない事情(在留の経緯・家族・生活基盤)の二段構えで主張します。

第一に、通知書に書かれた事実が正確かを検証します。働いていないとされた期間に求職活動や療養をしていた、別居に配偶者の暴力や病気の事情があった、書類の虚偽は業者が本人の知らないうちに作成したものだった、といった事情は、正当な理由の存在や偽り・不正の不存在として取消事由自体を否定する主張になります。第二に、条文が「取り消すことができる」という裁量規定であることを踏まえ、在留の長さ、日本の家族、子の就学、納税の履歴、本人の反省と是正を具体的な資料で示し、取消しが過剰であることを訴えます。意見聴取は一度限りのことが多く、資料は期日までに揃える必要があります。

取り消された後はどうなりますか

偽り・不正の手段による取消しは直ちに退去強制手続に移り、それ以外の取消しでは出国のための期間が指定され、その期間内に出国すれば退去強制とはなりません。

1項1号・2号による取消しは退去強制事由(入管法24条2号の2)であり、収容や在留特別許可(同法50条)の問題に移ります。それ以外の事由では出国のための期間が指定されますが(同法22条の4第6項)、逃亡のおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるときは期間を指定せずに退去強制手続に入ることがあります(同条7項)。指定された期間内に出国しなければ退去強制事由(同法24条2号の3)になります。出国猶予の期間中に別の在留資格への変更を申請することも理屈上は考えられますが、認められるかは事案によります。

取消処分は裁判で争えますか

在留資格の取消しは行政処分であり、処分を知った日から6か月以内に取消訴訟を提起し(行訴法14条1項)、あわせて執行停止(同法25条)を申し立てて効力を止めることが検討できます。

更新不許可と異なり、取消しは本人の在留資格を積極的に奪う処分であるため、処分性に争いはなく、執行停止によって処分の効力を止めれば、訴訟中も従前の在留資格で在留し得ます。執行停止には、重大な損害を避けるため緊急の必要があることが要件で、出国を強いられれば家族・仕事・訴訟追行に回復困難な損害が生じることを疎明します。本案では、取消事由の不存在と、裁量権の逸脱・濫用(同法30条)を主張します。外国人の出入国に関する処分は行政不服審査法の審査請求の対象外(同法7条1項10号)であるため、争う手段は訴訟に限られます。行政事件の取扱いは複数の学術誌に掲載され研究の対象となっています。

中国籍の方に特有の留意点

  • 帰国と活動の不実施:中国での長期滞在は、在留活動を行っていない期間として数えられます。病気の親の看護など正当な理由がある場合は、中国側の診断書等を残してください。
  • 業者作成の書類:中国語で手続を代行する業者が虚偽の学歴・職歴を記載した場合でも、本人が内容を確認せず提出した責任は問われます。契約書や連絡記録は証拠として保管してください。
  • 通訳:意見聴取の通訳は入管が手配しますが、微妙な事情(夫婦関係の経緯など)は訳され方で評価が変わります。事前に弁護士と中国語で整理した意見書を提出することが有効です。
  • 刑事事件との関係:取消調査の過程で虚偽文書の提出が判明すると、刑事事件(有印私文書偽造・同行使など)として扱われる可能性もあり、刑事弁護と入管対応を一体で考える必要があります。
  • 再入国:取消し後に出国期間内に自主的に出国すれば退去強制歴は残りませんが、再入国の審査では取消しの事実が考慮されます。

弁護士に相談すべき場面

  • 意見聴取通知書が届き、記載された事実に心当たりがない、または事情を説明したいとき。
  • 別居・離婚協議・転職活動中など、在留活動を行っていないとみられる期間があるとき。
  • 申請書類の内容が実際と違うと指摘され、業者に任せていたため経緯がわからないとき。
  • すでに取消しがされ、取消訴訟や執行停止の可能性を検討したいとき。

舟渡国際法律事務所では、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。入管事件と刑事弁護を一体で扱います。行政事件の取扱いは複数の学術誌に掲載され研究の対象となっています。

よくある質問

意見聴取通知書が届きました。出頭しないとどうなりますか

正当な理由なく出頭しないと、意見を聴かれないまま取消しがされることがあります。出頭できない事情があるときは、事前に入管へ連絡して期日の変更を求め、代理人の弁護士を立ててください。

意見聴取に弁護士は同席できますか

できます。入管法22条の4は代理人の選任を認めており、弁護士が代理人として出頭し、意見を述べ、資料を提出できます。本人が中国語で話した内容を正確に伝えるため、通訳の手配も事前に確認します。

転職活動中で働いていない期間があります。取消しの対象になりますか

別表第一の在留資格で活動を継続して行っていない期間が法定の期間を超えると取消事由になり得ますが、正当な理由がある場合は除かれます。求職活動の記録や退職の経緯を示す資料を残しておくことが重要です。

取り消されたら退去強制になりますか

偽り・不正の手段による取消し(1項1号・2号)は退去強制事由(入管法24条2号の2)になりますが、それ以外の事由では出国のための期間が指定され、その期間内に出国すれば退去強制にはなりません。

取消処分を裁判で争えますか

在留資格の取消しは行政処分であり、取消訴訟(行訴法3条2項、出訴期間は6か月)と執行停止(同法25条)の対象になります。更新不許可と異なり、処分性に争いはありません。

根拠条文・出典

  • 出入国管理及び難民認定法22条の4(在留資格の取消し。1項 取消事由、2項〜4項 意見聴取・代理人、6項・7項 出国のための期間の指定)
  • 出入国管理及び難民認定法24条2号の2・2号の3(取消しに伴う退去強制事由)、50条(在留特別許可)、21条(在留期間の更新)、20条(在留資格の変更)
  • 行政事件訴訟法3条2項(取消訴訟)、14条1項(出訴期間)、25条(執行停止)、30条(裁量処分の取消し)
  • 行政不服審査法7条1項10号(外国人の出入国に関する処分の適用除外)
  • 刑法159条・161条(有印私文書偽造・同行使)

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