逮捕された場合に釈放させる方法|勾留阻止・準抗告・勾留取消し・保釈など早期釈放の手段を段階別に解説
2026/10/15
逮捕された方を釈放させる手段は、手続の段階によって異なります。勾留が決まる前は「勾留させない」ための働きかけ、勾留が決まった後は準抗告や勾留取消しの請求、起訴された後は保釈請求が中心になります。どの段階でも、住居や身元引受人を具体的に示し、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを裏付ける資料を早く出すことが鍵になります。
この記事の要点
- 最も早く釈放される機会は、逮捕から72時間以内の「勾留請求をさせない・認めさせない」段階である。
- 勾留決定には準抗告で不服を申し立てられる(刑事訴訟法429条1項2号)。勾留の理由が消えれば勾留取消しを請求できる(同法87条)。
- 保釈は起訴された後に請求できる(同法88条)。一定の除外事由がなければ保釈は権利として認められる(同法89条)。
- 罰金の略式命令や執行猶予付き判決の告知があれば、勾留状は効力を失い釈放される(同法345条)。
- 在留資格のない方は、刑事手続で釈放されても入管に身柄を移されることがあるため、入管手続を見越した準備が必要である。
逮捕された直後に、釈放させる方法はありますか。
あります。検察官に勾留請求をしないよう求め、勾留請求された場合は裁判官に却下を求めることです。検察官は、送致を受けてから24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留を請求するかどうかを決めます(刑事訴訟法205条1項・2項)。弁護人は、本人の住居、勤務先、家族の状況、身元引受人の存在、示談の見込みなどをまとめた意見書を検察官に提出し、勾留の必要がないことを示します。
勾留請求がされた場合は、裁判官が本人に質問したうえで勾留するかどうかを決めます(同法207条1項・61条)。この段階でも、裁判官に意見書を出し、面談を求めることができます。勾留の要件は、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかがあり、かつ勾留の必要性があることです(同法60条1項・87条1項参照)。
勾留が決まった後に、釈放を求める方法は何ですか。
勾留の裁判に対する準抗告と、勾留取消しの請求が主な手段です。準抗告は、裁判官の勾留決定が誤っているとして、別の裁判官3人による判断を求める不服申立てです(刑事訴訟法429条1項2号・3項)。勾留取消しは、勾留の理由や必要がなくなったとき、例えば示談が成立したときなどに請求します(同法87条1項)。
このほか、親族の葬儀や本人の病気など特別な事情があるときは、裁判官の職権で一時的に勾留の執行を止める勾留執行停止の制度があります(同法95条)。弁護人はその発動を求める申立てをします。勾留理由開示(同法82条)は、それ自体で釈放されるものではありませんが、勾留の理由を公開の法廷で明らかにさせる手続です。
| 段階 | 手段 | 根拠条文 | 判断する人 |
|---|---|---|---|
| 送致から勾留請求まで | 勾留請求をしないよう求める意見書 | 刑事訴訟法205条 | 検察官 |
| 勾留請求後 | 勾留請求の却下を求める意見書・面談 | 同法207条・60条 | 裁判官 |
| 勾留決定後 | 準抗告 | 同法429条1項2号 | 裁判官3人の合議体 |
| 勾留中 | 勾留取消しの請求 | 同法87条 | 裁判官 |
| 勾留中(特別な事情) | 勾留執行停止の申立て(職権発動を求める) | 同法95条 | 裁判官 |
| 起訴後 | 保釈請求 | 同法88条・89条・90条 | 裁判官(裁判所) |
| 処分・判決時 | 不起訴、罰金の略式命令、執行猶予付き判決 | 同法345条ほか | 検察官・裁判所 |
起訴された後は、どうすれば釈放されますか。
保釈を請求します。保釈は起訴された後に認められる制度で、起訴前の勾留中には利用できません(刑事訴訟法88条)。死刑・無期・短期1年以上の拘禁刑に当たる罪である場合や、罪証隠滅のおそれがある場合などの除外事由がなければ、保釈は権利として認められます(同法89条)。除外事由があっても、裁判所の裁量で認められることがあります(同法90条)。保釈が認められると保証金を納付し、住居の制限などの条件を守る必要があります(同法93条)。
処分や判決によって釈放されるのは、どのような場合ですか。
不起訴になった場合、罰金の略式命令が告知された場合、執行猶予付きの判決が言い渡された場合などです。罰金や科料の裁判、刑の全部の執行猶予の言渡しなどの告知があると、勾留状は効力を失います(刑事訴訟法345条)。検察官が勾留満期までに処分を決めず、いったん釈放して捜査を続ける「処分保留釈放」もあります。
外国籍の方が釈放を求めるときの注意点は何ですか。
「逃亡のおそれ」を否定する資料をそろえることと、釈放後の入管手続を見越しておくことの2点です。外国籍の方は、帰国してしまうおそれがあるとして勾留や保釈で不利に扱われやすい傾向があります。日本での住居、仕事、家族、身元引受人、旅券を弁護人が預かる用意などを具体的に示すことが有効です。
また、在留期間が切れている方や在留資格のない方は、刑事手続で釈放されても、入管に収容されたり、監理措置の手続に移ったりすることがあります(出入国管理及び難民認定法39条・44条の2)。刑事事件と入管手続を同じ弁護士が見ていれば、釈放のタイミングに合わせて入管への対応を準備できます。
よくある質問
逮捕から何日くらいで釈放されることが多いですか。
勾留されなければ逮捕から72時間以内に釈放されます。勾留された場合は、準抗告や示談の成立がなければ、最長で勾留満期(逮捕から最大23日)まで身体拘束が続くことがあります。
準抗告は、家族からも申し立てられますか。
準抗告は弁護人が申し立てるのが通常です。勾留決定の理由に対して具体的な反論資料を添える必要があるため、弁護士に依頼してください。
保釈保証金はいくらかかりますか。
罪の重さ、事件の内容、本人と家族の資力によって裁判所が決めます。判決まで条件を守れば、保証金は返還されます。
外国籍でも保釈は認められますか。
認められます。ただし、逃亡のおそれがないことを示す資料が日本人の場合以上に重要です。身元引受人、住居、勤務先、家族の状況などを具体的に示します。
釈放されたら事件は終わりですか。
いいえ。勾留されずに釈放されたり処分保留で釈放されたりしても、在宅で捜査が続き、後に起訴されることがあります。不起訴に向けた活動は釈放後も続ける必要があります。
根拠条文・出典
- 刑事訴訟法60条1項、61条、82条、87条、88条、89条、90条、93条、95条、205条、207条、345条、429条(e-Gov法令検索で確認)
- 出入国管理及び難民認定法39条、44条の2
関連する解説
ご相談窓口
舟渡国際法律事務所は、外国人の刑事事件と入管手続を同じ弁護士が一貫して担当します。全国の警察署へ出張接見し、中国語の接見には事務所の中国語専属通訳または中国律師が同行します。
- 微信(WeChat)ID:matsumura1119(夜間・土日も受付)
- 電話:050-7587-4639
- お問い合わせフォーム / 中国人の刑事事件・在留のご相談
最終更新日:2026年10月15日 / 執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)