逮捕された場合の刑事事件の流れ|逮捕・勾留から起訴・判決まで、外国籍の方の在留への影響も弁護士が解説
2026/10/15
日本の刑事事件は、逮捕から48時間以内の検察官送致、送致から24時間以内(逮捕から72時間以内)の勾留請求、最長20日間の勾留を経て、検察官が起訴か不起訴かを決めるという流れで進みます。起訴されると公判(裁判)または略式命令(罰金)に進み、判決が確定します。外国籍の方の場合、この流れのどこで手続が終わるかによって、在留資格を維持できるかどうかが大きく変わります。
この記事の要点
- 逮捕後48時間以内に検察官へ送致され、さらに24時間以内に勾留請求の有無が判断される(刑事訴訟法203条・205条)。
- 勾留は原則10日、延長されると最大でさらに10日。起訴前の身体拘束は最長23日間に及ぶ(同法208条)。
- 検察官が起訴・不起訴を決める。不起訴なら前科はつかない。起訴されれば公判か略式命令に進む。
- 外国籍の方は、罪名・刑の種類・在留資格の区分の組合せで退去強制(強制送還)の可否が決まる。
- 弁護人は逮捕直後から立会人なしで接見できる(同法39条1項)。早い段階での依頼が結果を左右する。
逮捕されると、まず何が起きるのですか。
警察署の留置施設に収容され、取調べを受けながら、48時間以内に検察官へ送致されるかどうかが決まります。逮捕直後には弁解録取(言い分を聞く手続)が行われ、その後の取調べで作られた供述調書は、後の裁判で証拠になり得ます。署名押印は義務ではなく、内容に納得できなければ拒むことができます。黙秘権も憲法38条1項と刑事訴訟法198条2項で保障されています。
逮捕段階では家族の面会は認められないのが通常ですが、弁護人は時間の制限なく接見できます(刑事訴訟法39条1項)。外国籍の方は、本人が希望すれば自国の領事機関へ逮捕の事実が通報されます(領事関係に関するウィーン条約36条)。
勾留は何日続くのですか。
勾留は請求の日から10日間で、やむを得ない事由があるときはさらに最大10日間延長されます(刑事訴訟法208条)。勾留を決めるのは裁判官で、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかがあることが要件です(同法207条1項・60条1項)。外国籍の方は「逃亡のおそれ」を理由に勾留されやすい傾向があるため、住居・勤務先・身元引受人を具体的に示すことが重要です。
勾留と同時に、弁護人以外との面会や手紙のやり取りを禁じる接見等禁止決定(同法81条)が付くこともあります。
起訴か不起訴かは、いつ決まるのですか。
身体拘束されている事件では、原則として勾留期間が満了するまでに検察官が起訴・不起訴を決めます。不起訴には、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予(犯罪の成立は認められるが、情状などから起訴しない処分)があります。いずれの場合も前科はつきません。示談の成立や被害弁償は、起訴猶予の判断で重視される事情です。
逮捕されずに捜査が進む在宅事件では、このような期限がなく、数か月から1年以上かかることもあります。
起訴された後は、どうなるのですか。
公判請求(正式裁判)か、略式命令請求(書面審理による罰金)のいずれかに進みます。公判請求されると、起訴後も勾留が続くのが通常で、保釈を請求できるようになります(刑事訴訟法88条)。略式命令は、100万円以下の罰金または科料に限られ、本人が異議のない旨を書面で明らかにした場合に限って用いられます(同法461条・461条の2)。
| 段階 | 期限の目安 | 根拠条文 | この段階で弁護人ができること |
|---|---|---|---|
| 逮捕・警察での取調べ | 48時間以内に送致 | 刑事訴訟法203条 | 接見、黙秘権・調書署名の助言、家族との連絡 |
| 検察官への送致 | 24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留請求の判断 | 同法205条 | 勾留請求をしないよう検察官に意見書を提出 |
| 勾留 | 10日+延長最大10日 | 同法207条・208条 | 勾留却下の意見、準抗告、示談交渉 |
| 起訴・不起訴の判断 | 勾留満期まで | 同法247条・248条 | 不起訴を求める意見書、被害弁償 |
| 公判・略式命令 | 起訴後、事案による | 同法88条・461条 | 保釈請求、公判での弁護、略式に応じるかの助言 |
外国籍の方の在留には、どのような影響がありますか。
不起訴で終われば前科はつかず、刑事処分を理由とする退去強制事由にも当たりません。これに対し、有罪となった場合は、罪名と刑の種類、在留資格の区分によって結論が分かれます。薬物事犯は罰金や執行猶予でも退去強制事由になり得ます(出入国管理及び難民認定法24条4号チ)。留学・技能実習・技術・人文知識・国際業務などの別表第一の在留資格の方は、窃盗・傷害・詐欺など一定の罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても退去強制事由に当たります(同条4号の2)。1年を超える実刑はどの在留資格でも該当します(同条4号リ)。
このため、外国籍の方の刑事弁護では、「起訴されるかどうか」「罰金で終わるかどうか」が在留の分かれ目になります。刑事処分の見通しと在留への影響を、同じ弁護士が並行して検討することが欠かせません。
家族は何をすればよいのですか。
まず留置先の警察署を確認し、できるだけ早く弁護士に接見を依頼してください。被疑者国選弁護制度は勾留状が出た後に利用できますが(刑事訴訟法37条の2)、逮捕から勾留までの最初の72時間は対象外です。この72時間に、取調べへの対応方針を本人に伝えられるかどうかが、その後を大きく左右します。差入れ(衣類・現金・書籍)は、接見等禁止が付いていても可能な場合が多いです。
よくある質問
逮捕されたら、必ず起訴されるのですか。
いいえ。逮捕されても、嫌疑不十分や起訴猶予で不起訴になる事件は少なくありません。示談の成立、被害弁償、反省の状況などが考慮されます。
逮捕されてから、家族はいつ面会できますか。
通常は勾留が決まった後です。ただし接見等禁止決定が付くと、家族も面会できません。弁護人は逮捕直後から面会できます。
日本語が話せなくても、取調べは受けるのですか。
取調べには通訳人が付くのが通常です。通訳の内容が正確か、供述調書が本人の言葉どおりかを、弁護人が接見で確認することが重要です。
勾留されずに釈放されることはありますか。
あります。検察官が勾留請求をしない場合や、裁判官が勾留請求を却下した場合には、逮捕から72時間以内に釈放されます。釈放を求める手段は逮捕された場合に釈放させる方法で解説しています。
罰金で終わった場合でも、在留に影響しますか。
罰金も前科です。退去強制事由に当たる場面は限られますが、在留期間の更新や永住許可の審査では考慮されます。詳しくは略式命令が在留資格に与える影響をご覧ください。
根拠条文・出典
- 日本国憲法38条1項
- 刑事訴訟法37条の2、39条1項、60条1項、81条、88条、198条2項、203条、205条、207条、208条、247条、248条、461条、461条の2(e-Gov法令検索で確認)
- 出入国管理及び難民認定法24条4号チ・4号リ・4号の2
- 領事関係に関するウィーン条約36条
関連する解説
ご相談窓口
舟渡国際法律事務所は、外国人の刑事事件と入管手続を同じ弁護士が一貫して担当します。全国の警察署へ出張接見し、中国語の接見には事務所の中国語専属通訳または中国律師が同行します。
- 微信(WeChat)ID:matsumura1119(夜間・土日も受付)
- 電話:050-7587-4639
- お問い合わせフォーム / 中国人の刑事事件・在留のご相談
最終更新日:2026年10月15日 / 執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)