逮捕された外国人の初回接見で弁護士が確認すること|在留資格を失うリスクと最初の72時間
2026/10/04
この記事の要点
- 初回接見では、事件の内容だけでなく、在留資格の種類・期限と、刑事処分の結果が在留に及ぼす影響を本人に正しく理解してもらうことを重視します。
- 逮捕から勾留請求までは最大72時間、勾留は原則10日で、延長されると最長20日間です。
- 無期又は1年を超える拘禁刑の実刑や、薬物関係の有罪判決は、退去強制事由に当たりえます(入管法第24条第4号リ・チ)。
- 取調べでの黙秘、日本語調書への署名の拒絶など、初回接見での助言がその後の展開を左右します。
ご家族や知人が逮捕された外国人の方の事件で、最初に重要になるのが初回接見です。弁護士は、逮捕された本人と、立会人なしで面会できます。この最初の面会で何を確認し、何を伝えるかが、その後の事件の進み方と、在留資格の行方を左右します。本稿では、初回接見の内容と、逮捕後の流れを説明します。
初回接見では何を確認しますか?
弁護士が初回接見で確認することは、大きく次の点です。
- 事件の内容。何の容疑で逮捕されたのか、事実関係に争いはあるのか。
- 在留資格の種類と在留期限、在留カードや旅券の所在。
- 前科・前歴や、過去の在留状況。
- 家族・勤務先・学校などの連絡先と、連絡してほしい相手。
- 通訳の必要性と、母語・使用言語。
- 領事機関への連絡を希望するかどうか。
この確認と並行して、取調べでの対応を伝えます。自己の意思に反して供述する必要がないこと、調書に署名を求められても拒絶できることなどです。
逮捕後の最初の72時間は、どのように進みますか?
逮捕後は、短い時間制限の中で手続が進みます。警察は逮捕から48時間以内に被疑者を検察官に送致し、検察官は送致を受けてから24時間以内に勾留を請求しなければなりません。身体を拘束された時から72時間を超えることはできません。
| 段階 | 時間・期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 逮捕・警察での取調べ | 逮捕から48時間以内 | 検察官に送致する |
| 検察官による取調べ | 送致から24時間以内 | 勾留を請求するかを判断する |
| 勾留 | 原則10日 | 裁判官が勾留の可否を判断する |
| 勾留の延長 | 最長でさらに10日 | やむを得ない事由がある場合に延長される |
この間、弁護人は被疑者と立会人なくして接見できます(刑事訴訟法第39条第1項)。ただし、捜査のため必要があるときは、検察官らが接見の日時・場所・時間を指定することがあります(同条第3項)。
在留資格を失うのは、どのような場合ですか?
逮捕されたこと自体で、直ちに在留資格を失うわけではありません。重要なのは、最終的な刑事処分の内容です。
| 刑事処分の結果 | 在留への影響の考え方 |
|---|---|
| 不起訴(起訴猶予など) | 入管法第24条第4号リ・チの対象にはならないが、在留期間の更新等の審査で考慮されるおそれがある |
| 罰金 | 同号リには当たらないが、罪名によっては別の退去強制事由や審査上の問題がある |
| 執行猶予付きの判決 | 同号リの対象からは除かれるが、薬物関係の罪は別(同号チ)。更新審査での考慮もありうる |
| 1年を超える拘禁刑の実刑 | 同号リに当たり、退去強制の対象となりえる |
| 薬物関係法令違反による有罪判決 | 同号チに当たり、退去強制の対象となりえる |
そのため、初回接見の時点で、見込まれる処分と在留への影響を、本人に正しく理解してもらいます。示談や不起訴を目指すのか、実刑を避けるために何をするのかという弁護方針も、この理解を前提に立てます。
勾留中に在留期限が来るときはどうなりますか?
勾留の期間と、在留期限が重なることがあります。この場合、在留期間の更新や変更の手続をどうするかを、早い段階で検討する必要があります。在留期限や在留カードの所在は、初回接見で必ず確認する事項です。
ご家族や知人は、何を準備すればよいですか?
- 逮捕された方の氏名、生年月日、国籍、在留資格を整理する。
- 在留カード、旅券、住所、勤務先の情報を確認する。
- 逮捕された警察署を確認する。分からない場合は、弁護士に相談する。
- 弁護士に、連絡の窓口となる方の連絡先を伝える。
なぜ早く弁護士を選任すべきですか?
逮捕直後は、本人は何が起きているのかを理解できず、不安の中で取調べを受けます。早い時期の供述は、後に重く扱われることがあります。弁護人が早く接見し、取調べでの対応を助言することで、不利な調書が作られることを防げます。
当事務所は、外国人の刑事事件で、初回接見から、取調べ立会いの要求、示談、在留資格の見通しの説明まで一貫して対応しています。
よくある質問
逮捕された外国人は、すぐに在留資格を失いますか。
逮捕されただけで、直ちに在留資格を失うわけではありません。最終的な刑事処分の内容が重要です。
初回接見で、弁護士は何をしてくれますか。
事件の内容、在留資格、連絡先の確認と、取調べでの対応の助言を行います。黙秘権や署名拒絶の権利も説明します。
勾留はどのくらい続きますか。
勾留は原則として10日間で、やむを得ない事由があるときは、さらに最長10日間延長されます。
執行猶予が付けば、退去強制を避けられますか。
刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた場合は、入管法第24条第4号リの対象から除かれます。ただし、薬物関係法令違反の有罪判決は別に同号チが問題となります。個別の事案ごとの確認が必要です。
中国語で相談できますか。
当事務所は中国語でのご相談に対応しています。専属通訳が常駐しており、ご家族への説明も中国語で行えます。
ご相談について
逮捕されたご家族がいる場合や、警察から出頭を求められた場合は、早い段階でご相談ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
お電話 050-7587-4639/微信(WeChat)ID matsumura1119/お問い合わせフォーム/中国語でのご相談
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最終更新 2026年10月4日 / 執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所