舟渡国際法律事務所

裁判の通訳・翻訳とは|外国語の証拠の訳文と法廷通訳の手配(民事・刑事で中国語の資料を使うときの手順)

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裁判の通訳・翻訳とは|外国語の証拠の訳文と法廷通訳の手配(民事・刑事で中国語の資料を使うときの手順)

裁判の通訳・翻訳とは|外国語の証拠の訳文と法廷通訳の手配(民事・刑事で中国語の資料を使うときの手順)

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

裁判の通訳・翻訳とは、裁判所では日本語を用いるという原則(裁判所法74条)のもとで、外国語で作成された文書を証拠にするときに訳文を添付し(民訴規則138条)、日本語に通じない当事者・証人・被告人のために通訳人を立ち会わせる(民訴法154条、刑訴法175条)一連の手続をいいます。訳文と通訳の質は、裁判所が事実をどう認定するかに直結します。

この記事の要点

  • 裁判所では日本語を用いるため(裁判所法74条)、訴状・準備書面・控訴趣意書などの書面はすべて日本語で作成します。
  • 外国語の文書を証拠として提出するときは訳文を添付しなければならず(民訴規則138条)、刑事でも外国語の書面は翻訳させることができます(刑訴法177条)。
  • 日本語に通じない当事者や証人の尋問には通訳人が立ち会い(民訴法154条)、刑事では国語に通じない者の陳述に通訳人を付けます(刑訴法175条)。
  • 訳文の正確性は相手方が争うことができ、誤訳は事実認定の誤りにつながるため、法律用語を理解した翻訳者と弁護士による確認が欠かせません。

こんな場面で問題になります

  • 中国語で作成した契約書や借用書しかなく、日本の裁判で証拠にするために訳文をどう用意すればよいか分からない。
  • 微信の長いやり取りが証拠の中心で、全部を訳すと膨大になるため、どこまで訳せばよいか迷っている。
  • 中国にいる証人の陳述書を中国語で書いてもらったが、日本の裁判所に出せるのか分からない。
  • 日本語が十分でない本人が当事者尋問を受けることになり、通訳人の手配と費用が心配である。

裁判で使う言語はどう決まっていますか

裁判所法74条により裁判所では日本語を用いるため、書面はすべて日本語で作成し、外国語の文書は訳文を添えて提出し、日本語に通じない人には通訳人を付けます。

裁判所法74条は当事者の国籍や使用言語にかかわらず適用され、訴状や準備書面を中国語で提出することはできません。原文が中国語の契約書や手紙は、原文に訳文を添付して提出します(民訴規則138条)。当事者や証人が日本語に通じないときは裁判所が通訳人を立ち会わせ(民訴法154条)、刑事では国語に通じない者の陳述に通訳人を付け(刑訴法175条)、国語でない文字や符号は翻訳させることができます(刑訴法177条)。中国籍の当事者が日本の裁判に関わるときは、書面の作成、証拠の翻訳、法廷での通訳の三つを計画的に準備することになります。

場面誰が手配するか根拠準備のポイント
訴状・準備書面など書面の作成当事者(代理人弁護士)裁判所法74条本人の中国語の説明を弁護士が日本語の主張に組み立てる
外国語の書証の提出提出する当事者民訴規則138条、刑訴法177条原文と訳文を対照できる形にし、必要部分の抜粋訳も検討
民事の当事者尋問・証人尋問裁判所が通訳人を選任民訴法154条申出のうえ費用を予納、方言・識字の情報を事前に伝える
刑事の公判裁判所が通訳人を選任刑訴法175条母語・方言の指定、弁護側通訳の同席による確認
弁護士との打合せ弁護士刑訴法39条1項(接見)事務所の専属通訳による中国語での打合せ

中国語の証拠の訳文はどのように作りますか

原文の全体または証拠として必要な部分を日本語に訳し、原文と対照できる形で添付します。訳文は当事者側で作成し、翻訳者の氏名を明らかにしておくのが通常です。

民訴規則138条は翻訳者の資格や公的な認証を要求しておらず、実務では当事者や代理人が手配した翻訳者が訳し、証拠説明書に翻訳者を記載します。長文の微信記録や帳簿は、立証に必要な部分の抜粋訳とし、求められれば追加で訳す対応が一般的ですが、都合のよい部分だけを抜き出したと受け取られないよう前後の文脈を含めて訳すことが大切です。中国語の契約書には、日本法にない概念や、同じ漢字で意味が異なる語(違約金と損害賠償、定金と手付など)があり、直訳すると意味がずれることがあります。弁護士が法律上の意味を確認しながら訳語を選び、必要なら訳注を付けます。相手方が訳文の正確性を争った場合は、双方が訳文を出し合い、裁判所が原文に照らして判断します。

中国にいる証人の陳述書や中国の公文書は使えますか

使えます。中国語で作成した陳述書は訳文を添付して提出し、中国の公文書・公証書は原本または認証付きの写しに訳文を添えて提出します。

中国にいる家族や取引先の陳述書は、本人が理解できる中国語で作成し、署名の上で日本語の訳文を添付します。理解しないまま日本語の陳述書に署名すると、尋問で食い違いが生じ信用性を失うおそれがあります。中国で発行された戸口簿、結婚証、営業執照、判決書などの公文書は、原本または公証書付きの写しを用意し、認証が求められる場合があります。いずれも訳文が必要で、固有名詞や日付の表記を統一することが重要です。証人を日本で尋問できない場合には書面尋問(民訴法205条)やウェブ会議による尋問が検討されますが、外国にいる証人には制約があるため、早い段階で弁護士と方法を決めます。

法廷の通訳人はどのように手配され、費用は誰が負担しますか

民事では当事者の申出により裁判所が通訳人を選任し、費用は訴訟費用として申出人が予納するのが通常です。刑事では裁判所が通訳人を選任し、費用を被告人に負担させない運用が一般的です。

民事の尋問で通訳が必要なときは、尋問の申出とあわせて通訳人の立会いを申し出ます。通訳人には鑑定人に関する規定が準用され、宣誓をします(民訴法154条)。刑事の公判では、裁判所が通訳人候補者名簿から被告人の言語に合う通訳人を選任します(刑訴法175条)。いずれの場合も、本人の出身地、母語、方言、簡体字か繁体字か、日本語の理解度を事前に裁判所に伝えておくと、適切な通訳人が選ばれやすくなります。通訳を介する尋問は通常の倍近い時間がかかり、質問は短く区切り、専門用語や比喩を避けることが求められます。

通訳や訳文に誤りがあったらどうしますか

法廷の通訳はその場で指摘して訂正を求め、調書に残します。訳文の誤りは訂正した訳文を提出し直し、相手方の訳文の誤りは準備書面で具体的に指摘します。

法廷での通訳は口頭で行われるため、その場で気づかなければ記録に残りません。当事務所では、中国語の分かる者を法廷に同席させて通訳人の訳と本人の発言を照合し、誤りがあればその場で裁判長に訂正を求めます。調書の記載に誤りがあるときは、異議や訂正の申出をします。書証の訳文に誤りが見つかった場合は訂正版を提出し、どこをなぜ直したかを説明します。相手方の訳文に誤りがあるときは、原文と対照した訳を示して準備書面で指摘します。刑事事件で通訳の誤りが判決に影響した場合は、控訴審で訴訟手続の法令違反や事実誤認として争います。

中国籍の方に特有の留意点

  • 方言と文字:普通話の通訳人では広東語や閩南語などの方言に対応できないことがあります。簡体字・繁体字の別も含め、裁判所に事前に伝えます。
  • 同じ漢字の罠:日本語の書面を漢字で読んで分かったつもりになると、期限や法律効果を取り違えます。訴状・判決書・調書・示談書は中国語で内容を確認してから対応してください。
  • 法律用語の違い:日本法の故意・過失・時効・保証などは中国法の同じ語と範囲が異なります。翻訳者だけでなく弁護士が訳語を確認します。
  • 在留との関係:刑事事件の判決や調書の内容は在留資格(入管法24条4号リ・4号の2など)に直結します。正確な通訳と訳文は、刑事手続の防御と在留の手続の両方に必要です。

弁護士に相談すべき場面

  • 中国語の契約書・微信記録・帳簿を裁判の証拠にしたいが、訳文の作り方や範囲が分からないとき。
  • 日本語が十分でない本人や中国にいる証人の尋問・陳述書の準備が必要なとき。
  • 裁判所や捜査機関の通訳に違和感があり、どう指摘すればよいか分からないとき。
  • 中国の公文書・判決書を日本の裁判で使う必要があるとき。
  • 相手方が提出した訳文の内容が原文と違うと感じるとき。

舟渡国際法律事務所では、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。中国語の証拠の訳文作成と確認、法廷通訳の内容確認、中国にいる関係者との連絡を弁護士と専属通訳が一体で行います。外国人の刑事事件では取調べへの弁護人の立会いを求める方針ですが、立会いが認められることは現状ほとんどありません。刑事弁護と入管事件を一体で扱い、刑事事件では無罪判決(一部無罪)の獲得実績があります。

よくある質問

訳文は翻訳会社や公的な資格のある翻訳者に頼む必要がありますか

民訴規則138条は翻訳者の資格を定めていません。当事者側で用意した訳文で足りますが、正確性を争われたときに備え、翻訳者を明らかにし、法律用語は弁護士が確認します。

微信のやり取りは全部訳さないといけませんか

立証に必要な部分の抜粋訳で提出するのが一般的です。ただし前後の文脈を含めて訳し、相手方や裁判所から求められれば追加で訳します。元データは残しておいてください。

民事裁判の通訳費用は誰が払いますか

通訳人の費用は訴訟費用に含まれ、通訳の立会いを申し出た当事者が予納するのが通常です。刑事の公判通訳は被告人に負担させない運用が一般的です。

中国語で書いた陳述書をそのまま出せますか

原文に日本語の訳文を添付すれば提出できます(民訴規則138条)。本人が理解できる言語で作成し署名することが、尋問での信用性の確保にもつながります。

法廷の通訳が間違っていると感じたらどうすればよいですか

その場で代理人・弁護人を通じて裁判長に訂正を求め、調書に残します。当事務所では中国語の分かる者を同席させて通訳の内容を確認します。

根拠条文・出典

  • 裁判所法74条(裁判所では日本語を用いる)
  • 民事訴訟法154条(通訳人の立会い等)、205条(書面尋問)
  • 民事訴訟規則138条(訳文の添付)
  • 刑事訴訟法39条1項(接見交通)、175条(通訳)、177条(翻訳)
  • 出入国管理及び難民認定法24条4号リ・4号の2(退去強制事由)

関連する解説

ご相談・お問い合わせ

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)
中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

本ページは一般的な情報提供であり、個別の事案の結果を保証するものではありません。

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