在留資格の更新が不許可になったら、日本に残る方法はあるのか:再申請・取消訴訟・在留特別許可の使い分け
2026/10/06
弁護士 松村大介(舟渡国際法律事務所・第一東京弁護士会・登録番号59077)
更新日:2026年10月6日
在留資格の更新不許可とは、在留期間更新許可申請(入管法21条2項)に対し、法務大臣が「更新を適当と認めるに足りる相当の理由」(同条3項)があるとは認めず、許可しない処分をいう。結論から述べる。更新が不許可になっても、日本に残る道が閉ざされるわけではない。道は四つある。期間内の再申請、別の在留資格への変更、不許可処分の取消訴訟、そして、出国準備期間を過ぎて不法残留の状態になったうえで、退去強制の手続の中で在留特別許可を求める方法である。最後の方法は代償が大きいが、家族関係や在日期間によっては、不許可処分を争うより見込みのある場合がある。その見込みは、入管庁の公表事例を使って、ある程度まで事前に検証できる。
この記事の要点
- 不許可の通知を受けたら、在留カードの期限ではなく、通知された出国準備の在留期間が31日か、30日以下かを確認する。30日以下だと、期間内に再申請しても特例期間が働かない(入管法20条6項括弧書、21条4項)。
- 不許可の理由が資料の不足や誤解にあるなら、期間内の再申請が最も早い。当事務所の取扱例では、不許可の後に資料を補って再申請し、12日で更新が許可された。
- 出国準備期間を過ぎると、不法残留(入管法24条4号ロ、70条1項5号)になる。その代償として、刑事責任、収容、就労不可、在留特別許可が出なかった場合の上陸拒否期間(5年又は10年)がある。
- それでも在留特別許可を選ぶ場面はある。公表事例には、不法残留期間が短く、日本人や定住者の家族がいて、許可された事例がある。他方で、事業の実態が認められなかった事例や、出国準備期間内に出国しなかった事例は不許可になっている。
- どの道を選ぶかは、不許可の理由、家族関係、在日期間、出国準備期間の残り日数で決まる。通知を受けた日のうちに、通知書を持って弁護士に相談するのがよい。
更新が不許可になったら、最初に何を確認すべきか
結論:確認するのは、在留カードの期限ではなく、不許可の通知で示された出国準備の在留期間である。31日なら再申請の余地が残り、30日以下なら国内での再申請は実際上機能しない。
在留期間の更新を申請している間は、期間が満了しても直ちに不法残留にはならない。入管法は、次のように定めている(21条4項により、更新申請にも準用される)。
「第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。」
(入管法20条6項)
この「特例期間」は、不許可の処分がされた時に終わる。そして、期限が過ぎている場合には、出国準備のための「特定活動」の在留期間が付与されるのが通常である。当事務所の経験では、この期間が31日とされる場合と、30日以下とされる場合がある。前者であれば、その期間内に再申請をすることで、再び特例期間の保護を受けられる。後者の場合、括弧書きの「三十日以下の在留期間を決定されている者」に当たり、特例期間は働かない。
| 通知を受けた時の状況 | 起こること | 取り得る手 |
|---|---|---|
| 在留期限が残っている段階で不許可になった | 期限までは適法に在留できる | 期限内に再申請、在留資格の変更申請、取消訴訟の準備 |
| 期限後に不許可になり、出国準備の在留期間が31日 | 31日以内なら、再申請で特例期間が働く | 資料を補った再申請、在留資格の変更申請 |
| 期限後に不許可になり、出国準備の在留期間が30日以下 | 国内での再申請に特例期間が働かない | 変更申請の可否の検討、取消訴訟、出国、又は期間経過後の在留特別許可 |
| 出国準備の在留期間も過ぎた | 不法残留になる | 出頭申告、退去強制手続での在留特別許可、又は出国命令 |
再申請で残れる場合とは、どのような場合か
結論:不許可の理由が資料の不足や誤解にあるなら、理由を確認して資料を補い、期間内に再申請するのが最も早い。
更新の許可は、「当該外国人が提出した文書により」判断される(入管法21条3項)。判断の基礎が提出された文書に限られている以上、何を提出するかで結論が変わり得る。
当事務所が取り扱った例では、就労系の在留資格を持つ依頼者が更新を不許可とされた。依頼者は、勤怠の記録、給与の振込履歴、社会保険の加入記録、業務上作成した文書といった客観的な資料を追完して再申請した。申請から12日で更新が許可された。この事例の詳細と、この経過を「撤回」と呼べない理由は、別の論説で述べた。
不許可の通知書には、通常、具体的な理由が書かれていない。理由を知るには、本人又は代理人が入管に出向き、審査官から口頭で説明を受けるほかない。その機会は限られるため、何を聞き、何をメモするかを決めてから出向くべきである。
不許可処分そのものを争うことはできるのか
結論:審査請求はできないが、取消訴訟を提起できる。ただし、勝訴までの間の在留の扱いは、執行停止が認められるかどうかなどで変わり、慎重な検討が必要である。
在留期間の更新や在留資格の変更の不許可には、行政不服審査法による審査請求の道がない。同法7条1項10号が、「外国人の出入国又は帰化に関する処分」に同法2条・3条の規定を適用しないと定めているからである。残る法的な手段は、不許可処分の取消訴訟である。
裁判所の審査は、法務大臣の裁量を前提にしている。最高裁は、マクリーン事件判決で、法務大臣の判断が「全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたものとして違法となる」と述べた(最大判昭和53年10月4日民集32巻7号1223頁)。裁量が広いことと、司法審査が及ばないこととは別である。在留資格の更新不許可を、公表されたガイドラインと許可の傾向に照らして争う理論は、別の論説で整理した。
訴訟には時間がかかる。その間に在留期間や出国準備期間が経過すると、訴訟を提起しただけでは不法残留の状態は解消しない。執行停止の可否や、期間経過後の訴えの利益は、事案ごとに検討する必要がある。
別の在留資格に変更できる場合はあるのか
結論:更新の要件は満たさなくても、別の在留資格の要件を満たす場合は、変更の申請を検討する。
在留資格を有する外国人は、法務大臣に対し、在留資格の変更を申請できる(入管法20条)。許可の判断は、更新と同じく、提出された文書により「変更を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかでされる(同条3項)。日本人や永住者との婚姻、日本で生まれ育った子との同居など、身分や家族関係に基づく在留資格の要件を満たす場合が典型である。この申請も、出国準備の在留期間が31日であれば、その期間内にすれば特例期間が働く。30日以下の場合は、働かない点に注意する必要がある。
出国準備期間を過ぎたら、どうなるのか。在留特別許可はどのような制度か
結論:出国準備期間を過ぎると、不法残留の状態になり、退去強制の対象になる。ただし、退去強制の対象になった外国人にも、法務大臣が在留を特別に許可する制度(在留特別許可)がある。
在留期間を経過して残留する者は、退去強制の対象になる。
「ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項(第二十六条の三第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者」
(入管法24条4号ロ)
刑事責任も問われ得る。
「次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」「五 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(……)を経過して本邦に残留する者」
(入管法70条1項5号)
入管庁も、自ら出頭した(出頭申告をした)としても、不法残留の状態が解消するわけではないと説明している。
「不法残留等の状態が解消されるわけではなく、法務大臣から特別に在留が認められない限り、入管法に違反している状態に変わりはなく、原則として就労も認められていない」
(出入国在留管理庁「出入国在留管理に関するQ&A」Q1)
在留特別許可は、退去強制対象者に対し、法務大臣が在留を特別に許可する制度である。
「法務大臣は、外国人が退去強制対象者に該当する場合であつても、次の各号のいずれかに該当するときは、当該外国人からの申請により又は職権で、法務省令で定めるところにより、当該外国人の在留を特別に許可することができる。」
(入管法50条1項本文)
申請の時期と方法には、制限がある。
「前項の規定による許可(以下この条において「在留特別許可」という。)の申請は、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人が、法務省令で定める手続により、法務大臣に対して行うものとする。」
(入管法50条2項)「在留特別許可の申請は、当該外国人に対して退去強制令書が発付された後は、することができない。」
(同条3項)
つまり、不法残留になった後、直ちに申請書を出せるわけではない。出頭申告をして違反調査を受け、収容令書による収容又は監理措置の決定を受けた段階で、申請ができる。許可の判断は、入管法47条3項の認定や48条8項の判定に服し、又は異議の申出が理由がないと裁決された後にされる(同法50条4項)。出頭申告をしたあとの具体的な流れ(収容令書の発付の有無、監理措置の決定、申請の時期)は、事案によって異なる。
不法残留に入る代償は何か
結論:刑事責任、収容、就労の制限、そして在留特別許可が出なかった場合の上陸拒否期間という、四つの不利益を負い得る。この道は、見込みを検証してから選ぶべきである。
| 不利益 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 刑事責任 | 入管法70条1項5号 | 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科。処分の見込みは、不法残留期間の長さなどで左右されるため、個別に確認が必要 |
| 収容 | 入管法の退去強制手続 | 収容令書による収容、又は監理措置の決定(入管法50条2項) |
| 就労の制限 | 入管庁Q&A Q1 | 出頭申告をしても、原則として就労は認められない |
| 上陸拒否期間 | 入管法5条1項9号 | 退去強制で出国した場合、前歴がなければ退去の日から5年(ハ)、前歴があれば10年(ニ)。出国命令で出国した場合は出国の日から1年(ホ) |
上陸拒否期間の違いは重要である。出国命令の制度は、「第二十七条の規定による違反調査の開始前に、速やかに本邦から出国する意思をもつて自ら出入国在留管理官署に出頭した者」などの要件を満たす場合に使える(入管法24条の3第1号イ)。違反調査の開始後でも、「第四十七条第三項の規定による通知を受ける前に」出国の意思を表明すれば、同号ロにより対象になり得る。在留特別許可を求めて手続に入る場合でも、出国命令を選べる時期には制限があるため、選択の順序を誤ると、後戻りできなくなる。
在留特別許可の見込みは、どう検証するのか
結論:ガイドラインの要素に照らして、家族関係、不法残留期間、出頭申告の有無、消極要素を整理し、公表事例の許可例・不許可例と並べて検討する。
入管庁のガイドラインは、判断の手法を次のように定めている。
「積極要素として考慮すべき事情が消極要素として考慮すべき事情を明らかに上回る場合には、在留特別許可をする方向で検討」
(出入国在留管理庁「在留特別許可に係るガイドライン」)
積極要素の「その他の事情」には、次の記載がある。
「当該外国人が、不法滞在を申告するため、自ら地方出入国在留管理官署に出頭したこと」
(同ガイドライン)
消極要素には、不法残留の期間の長さが挙げられている。
「不法に滞在する期間が長期であることなどは、在留管理秩序を侵害する程度が大きいといえ、消極要素として考慮」
(同ガイドライン)
更新が不許可になった直後に出頭申告をすれば、不法残留期間は短い。この点は、在留特別許可を考える際の出発点になる。そのうえで、家族関係などの積極要素がどこまであるかを見る。当事務所が、入管庁の公表事例(平成26年分〜令和7年分)の原典PDFで確認した、出頭申告・不法残留の事例のうち、この検討の参考になるものを挙げる。
| 公表年分 | 結果 | 在日期間・違反期間 | 家族等 | 特記事項(原文)等 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年 | 許可(定住者・1年) | 約10年3月・約2月 | 婚姻約7年6月、子4人(未成年者)、配偶者「定住者」 | 刑事処分なし |
| 令和元年 | 許可(経営・管理・1年) | 約22年7月・約5月 | 「本邦に生活基盤がある」 | 「在留期間更新許可申請を失念したもの。」 |
| 平成29年 | 許可(日本人の配偶者等・3年) | 約6年11月・約7月 | 婚姻約6年11月、子1人(未成年者) | 「在留期間更新許可申請を失念したもの。」 |
| 令和6年(施行後) | 許可(母は特定活動・1年) | 約9年3月・約1年7月 | 子は本邦出生・2歳、内夫(子の父)が「永住者」 | 子は永住者の配偶者等(1年) |
| 令和6年(施行後) | 不許可 | 約13年3月・約4月 | 配偶者も不法残留(約8年9月・約8月)、本邦出生の子2人 | 「本邦での事業継続を理由に在留を希望していたが、事業の実態が認められなかったもの。」 |
| 平成30年 | 不許可 | 約10年10月・約8月 | 配偶者も不法残留、本邦出生の子(2歳)も不法残留 | 「在留資格変更許可申請が許可されず,その後,出国準備期間として認められた在留期限内に出国しなかったもの。」 |
| 令和6年(施行前) | 不許可 | 約4年2月・約1年1月 | 婚姻約1年、子1人(未成年者)、配偶者「技術・人文知識・国際業務」 | 刑事処分なし |
(出典:出入国在留管理庁「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」各年分。令和元年・平成29年の許可事例は、更新申請を失念した事案であり、更新が不許可になった事案ではない。違反期間が短い事案での扱いを見る参考として掲げた。)
この表から読み取れることは三つある。
第一に、違反期間が数月と短く、在日期間が長く、家族がいる事案では、許可されている。令和7年の事例は、違反期間約2月で、定住者の配偶者と未成年の子4人がいる家族に、定住者の在留資格が付与された。
第二に、違反期間が短くても、許可されない事案がある。令和6年(施行後)の不許可事例は、違反期間約4月である。事業の継続を在留の理由にしていたが、「事業の実態が認められなかった」と特記されている。更新が不許可になった理由が、事業や就労の実態の欠如だった場合、その事実が在留特別許可の判断でも問題になり得ることを示唆している。
第三に、平成30年の不許可事例は、まさに「変更許可申請が許可されず、出国準備期間内に出国しなかった」事案である。この類型で公表されている事例は、当事務所が確認した範囲で、この1件だけである。配偶者と2歳の子もすでに不法残留であり、家族の在留の基盤が弱い事案だった。この事例が、出国準備期間を過ぎて残留した場合の許否を一般的に示すものとは言えない。しかし、この道が、必ず許可される道ではないことは、はっきり示している。
不許可処分を争うのと、在留特別許可を求めるのと、どちらが効果的か
結論:不許可の理由に争う余地があるなら、まず再申請か取消訴訟を検討する。他方、家族関係や定着性が強く、更新の要件(活動の実態など)を満たすのが難しい場合には、在留特別許可を求める方が見込みのある場合がある。
| 場面 | 先に検討すべき道 | 理由 |
|---|---|---|
| 不許可の理由が、資料の不足や誤解にある | 期間内の再申請 | 提出文書で判断される(入管法21条3項)ので、資料を補えば結論が変わり得る |
| 不許可が、事実の誤認や、公表された基準・許可の傾向からの逸脱によるもので、争う余地がある | 取消訴訟 | 裁量の逸脱・濫用を理由に、処分自体の違法を争える |
| 更新の要件(活動の実態など)を満たすのは難しいが、日本人や定住者の家族、本邦で育った子がおり、在日期間も長い | 在留特別許可 | 更新の要件ではなく、家族関係や定着性などの積極要素で判断される(入管法50条5項) |
| 出国準備期間が30日以下で、国内での再申請ができない | 取消訴訟、又は期間経過後の在留特別許可 | 特例期間が働かないため、時間との勝負になる |
どちらの道にも、時間と不確実性がある。入管庁自身も、在留特別許可の結果が出るまでの期間は、「一つ一つのケースがそれぞれ異なっており、……結果が出るまでの期間について一概に申し上げることはできません」としている(入管庁Q&A Q35)。
在留特別許可を選ぶ最大の理由は、判断の軸が変わることである。更新の審査は、現に有する在留資格に応じた活動を行っているかどうかを中心に見る。在留特別許可の審査は、「在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなつた経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となつた事実及び人道上の配慮の必要性」(入管法50条5項)を総合して見る。更新の要件を満たさなくなった外国人でも、家族や定着の事情が強ければ、後者の枠組みでは評価され得る。
もっとも、この道は、不法残留という違法な状態を経る点で、取消訴訟とは性質が違う。事前に見込みを検証せずに選んではならない。
いつ、誰に相談すべきか
結論:不許可の通知を受けたその日に、通知書を持って、入管手続と刑事手続の両方を扱う弁護士に相談するのがよい。出国準備期間の残り日数が、選べる道を決めるからである。
出国準備の在留期間が31日であれば、再申請や変更申請に使える日数は、実質的には数週間しかない。30日以下であれば、国内での再申請は機能しない。相談の際は、次のものを持参するとよい。
- 不許可の通知書(出国準備の在留期間が分かるもの)と、在留カード
- これまでの申請書類の控えと、提出した資料
- 家族関係を示す資料(婚姻証明書、子の出生証明書、在学証明書など)
- 在日期間と就労状況を示す資料(納税証明書、給与明細、社会保険の記録など)
不法残留に入る前に弁護士に相談する意味は大きい。出頭申告の方法や時期、出国命令の選択、刑事処分への備えは、いずれも、不法残留になる前の準備で結果が変わるためである。当事務所は、中国語での相談に対応している。
この記事の限界はどこにあるのか
結論:公表事例は抜粋であり、個別の事案の結論は、事実関係の詳細で変わる。
第一に、入管庁の事例集は、各年それぞれ約20件前後の抜粋であり、全件ではない。公表されていない事案について、同種の事案が許可された例や、不許可になった例が絶対にない、とまでは言えない。
第二に、出国準備の在留期間が31日とされるか30日以下とされるかの基準は、入管庁の公表資料では確認できていない。この記事は、条文(入管法20条6項括弧書)と、当事務所の取扱いの経験に基づいている。
第三に、在留特別許可の申請の時期や、出頭申告後に収容されるかどうかは、個別の事案ごとの運用に左右される。この記事の記載は、条文と入管庁の公表資料の範囲にとどまる。
よくある質問
Q1 在留資格の更新が不許可になったら、すぐに出国しなければなりませんか。
直ちに出国しなければならないわけではありません。不許可の後には、出国準備のための在留期間が付与されるのが通常です。その期間内に、再申請や在留資格の変更申請をすることができる場合があります。ただし、期間が30日以下の場合は、特例期間が働かないため、国内での再申請は実際上機能しません。
Q2 出国準備期間を過ぎて日本に残ると、どうなりますか。
不法残留の状態になり、退去強制の対象になります(入管法24条4号ロ)。刑事責任(同法70条1項5号。3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科)も問われ得ます。
Q3 不法残留になった後でも、在留特別許可を受けられますか。
受けられる場合があります。法務大臣は、退去強制対象者に該当する外国人にも、在留を特別に許可することができます(入管法50条1項)。ただし、申請は収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人が行うものとされています(同条2項)。許可されるかどうかは、家族関係、在日期間、不法残留期間、素行などを総合して判断されます。
Q4 不許可処分に対して、不服申立てはできますか。
審査請求はできません(行政不服審査法7条1項10号)。争う方法は、不許可処分の取消訴訟です。
Q5 出頭申告をすれば、在留特別許可は認められますか。
認められるとは限りません。出頭申告は、ガイドラインが積極要素として挙げている事情ですが、それだけで許可されるわけではありません。出頭申告・不法残留の事案でも、事業の実態が認められなかった事例や、出国準備期間内に出国しなかった事例は不許可になっています。
Q6 自分の場合に、在留特別許可がどのくらい見込めるか知りたいです。
家族関係、在日期間、不法残留期間、不許可になった理由、刑事処分の有無によって変わります。通知書と資料をお持ちのうえ、弁護士にご相談ください。
出典
- 出入国管理及び難民認定法20条・21条・24条・24条の3・50条・70条・5条(e-Gov法令検索、令和8年10月6日確認)
- 行政不服審査法7条1項10号
- 出入国在留管理庁「在留特別許可に係るガイドライン」https://www.moj.go.jp/isa/deportation/resources/08_00035.html
- 出入国在留管理庁「在留特別許可申請について」https://www.moj.go.jp/isa/deportation/procedures/08_00044.html
- 出入国在留管理庁「出入国在留管理に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/isa/deportation/guide/tetuduki_taikyo_qa.html
- 出入国在留管理庁「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」平成26年分〜令和7年分(原典PDFで確認)
- 最大判昭和53年10月4日民集32巻7号1223頁(マクリーン事件)
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執筆者
松村大介(弁護士、舟渡国際法律事務所、第一東京弁護士会所属、登録番号59077)
中国語圏の依頼者の刑事弁護と、入管・在留に関する行政訴訟を主な業務としています。
事務所サイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
代表電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
最終更新日:2026年10月6日