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中国籍の方の離婚とは|日本で離婚する手続と準拠法(協議・調停・裁判)を中国語対応の弁護士が解説

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中国籍の方の離婚とは|日本で離婚する手続と準拠法(協議・調停・裁判)を中国語対応の弁護士が解説

中国籍の方の離婚とは|日本で離婚する手続と準拠法(協議・調停・裁判)を中国語対応の弁護士が解説

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

中国籍の方の離婚とは、夫婦の一方または双方が中国籍である場合の離婚で、どの国の法律で離婚の可否や条件を判断するか(準拠法)、日本と中国のどちらの手続で離婚を成立させるか、そして離婚後の在留資格をどうするかが同時に問題になる離婚をいいます。日本に住んでいれば日本で手続できる場合が多い一方、中国側の婚姻登記への反映は別に手当てが必要です。

この記事の要点

  • 離婚の準拠法は、夫婦の本国法が同一ならその法、なければ常居所地法が同一ならその法、いずれもなければ夫婦に最も密接な関係がある地の法で、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であれば日本法です(法の適用に関する通則法27条・25条)。
  • 日本法による離婚は、協議離婚(民法763条)、家庭裁判所の調停(家事事件手続法244条・257条)、裁判離婚(民法770条・人事訴訟法)の順に進みます。
  • 未成年の子がいるときは親権者(民法819条)、面会交流と養育費(民法766条)、財産分与(民法768条)を決める必要があります。
  • 離婚により「日本人の配偶者等」「家族滞在」などの在留資格は前提を失い、配偶者としての活動を一定期間行わないと在留資格取消し(入管法22条の4)の対象になります。
  • 日本で成立した離婚を中国の婚姻登記や戸口に反映させるには、認証や人民法院での承認など中国側の手続が別途必要です。

こんな場面で問題になります

  • 中国籍同士の夫婦が日本で長く暮らしていて、日本の市役所に離婚届を出してよいのか、中国に帰って民政局で手続すべきなのか分からない。
  • 日本人の夫と中国籍の妻が別居中で、夫が離婚にも話合いにも応じないまま、妻の在留期限が迫っている。
  • 中国籍の夫が中国に帰国したまま連絡が取れず、日本に残された妻が離婚と子の養育費を決めたい。
  • 日本語の離婚届に署名を求められたが内容を理解できず、財産分与や親権の取決めをしないまま署名してよいか迷っている。
  • 中国で結婚登記をしただけで日本には婚姻届を出していない夫婦が、日本でどのように離婚すればよいか悩んでいる。

中国籍の方の離婚にはどの国の法律が適用されますか

通則法27条が準用する25条の順序で決まり、中国籍同士の夫婦なら中国法、日本人と中国籍の夫婦で日本人側が日本に常居所を有していれば日本法が準拠法になります。

法の適用に関する通則法27条は、離婚について25条を準用し、夫婦の本国法が同一であるときはその法、それがないときは夫婦の常居所地法が同一であればその法、いずれもないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法によると定めています。ただし書で、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは日本法によるとされているため、日本に住む日本人と中国籍の方の離婚は日本法です。中国籍同士の夫婦は本国法が同一なので中国法が準拠法となり、離婚の可否や条件は中国法で判断されますが、手続そのものは日本の市区町村や家庭裁判所で行えます。準拠法と手続を行う国は別の問題です。

中国籍同士の夫婦は日本の市区町村に離婚届を出せますか

準拠法である中国法が夫婦の合意による離婚を認めているため、日本の市区町村で協議離婚の届出が受理される扱いが一般的ですが、中国側でその離婚をどう扱うかは別に確認が必要です。

日本の協議離婚は、夫婦が離婚に合意し、成年の証人の署名を得た離婚届を市区町村に提出して成立します(民法763条・764条、戸籍法)。外国人同士の場合、届出を受理するかどうかは準拠法が協議離婚を認めているかで判断され、中国法は夫婦の合意による離婚を認めているので受理される運用です。ただし、中国では合意による離婚は民政局の婚姻登記機関で行う制度のため、日本の役所で成立した離婚がそのまま中国側の登記に反映されるとは限らず、認証を受けた書類で中国側の手続をとる必要があります。逆に、相手に勝手に離婚届を出されるおそれがあるときは、戸籍法27条の2に基づく不受理申出を市区町村にしておくことができます。

相手が離婚に応じないときはどのように進みますか

家庭裁判所に離婚調停を申し立て(調停前置、家事事件手続法257条)、調停が成立しなければ離婚訴訟(人事訴訟法)で民法770条1項の離婚原因を主張します。

日本では、離婚について裁判を起こす前に家庭裁判所の調停を経なければなりません(家事事件手続法257条)。相手が中国にいて出席できない場合は、成立の見込みがないとして不成立となり、訴訟に進みます。離婚訴訟は人事訴訟法に基づき家庭裁判所で審理され、民法770条1項が定める不貞行為、悪意の遺棄、生死不明が一定期間続いていること、婚姻を継続し難い重大な事由などの離婚原因が必要です。相手が中国に居住している場合は、日本の裁判所に国際裁判管轄があるか(人事訴訟法3条の2、家事事件手続法3条の13)が最初に問題となり、原告が日本に住所を有し、かつ相手が行方不明であるなど一定の場合に日本で審理できます。訴状の送達は中国の当局を通じた司法共助によるため相当の期間がかかります。

離婚のときに決めなければならないことは何ですか

未成年の子の親権者、面会交流と養育費、財産分与、年金分割、慰謝料の有無で、それぞれ準拠法が異なり得ます。

日本法では、未成年の子がいる夫婦は離婚の際に親権者を定めなければならず(民法819条)、改正民法の施行により離婚後も父母の双方を親権者とする共同親権を選ぶことができるようになりました。子の監護について必要な事項として面会交流や養育費も定めます(民法766条)。財産分与(民法768条)では中国にある預金や不動産も対象になり得ますが、中国側での執行は別問題です。親子間の法律関係は、子の本国法が父または母の本国法と同一であればその法、そうでなければ子の常居所地法によります(通則法32条)。

決める事項日本法の根拠準拠法の考え方中国籍の方の注意点
離婚そのもの民法763条・770条通則法27条・25条中国籍同士は中国法、日本人配偶者が日本に常居所なら日本法
親権者の指定民法819条通則法32条(親子間の法律関係)子が中国籍か日本籍かで準拠法が変わり得る
面会交流・養育費民法766条通則法32条、扶養義務の準拠法に関する法律一方が帰国した後の履行確保が課題
財産分与民法768条離婚の準拠法(通則法27条)中国にある財産の把握と執行が難しい
慰謝料民法709条不法行為の準拠法(通則法17条)証拠の翻訳と証拠能力の確認が必要

日本で成立した離婚は中国でも有効ですか

自動的に反映されることはなく、離婚届受理証明書や判決書に認証を受けて中国側の手続をとる必要があり、裁判離婚については人民法院での承認手続が問題になります。

日本の離婚が中国側に反映されなければ、中国では婚姻中のままで、再婚や不動産の処分に支障が出ます。協議離婚の場合は、離婚届受理証明書に外務省の認証(アポスティーユ)を受け、中国語訳を付けて中国側の機関に提出するのが一般的な流れです。裁判離婚や調停離婚の場合、中国では外国の裁判所による離婚判決について人民法院に承認を申し立てる手続があり、離婚の成立部分は承認される例がある一方、財産分与や養育費の部分は別に扱われることがあります。日中間では相互の保証(民事訴訟法118条)の有無が争われ、金銭の支払を命じる判決の承認・執行は認められにくい状況が続いているため、中国にある財産を分ける必要があるときは、最初から中国で手続をとる方が確実なこともあります。

離婚すると在留資格はどうなりますか

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」は離婚で前提を失うため、定住者や就労資格への変更(入管法20条)を離婚前から準備する必要があります。

入管法22条の4は、配偶者の身分での活動を継続して一定期間行わないで在留している場合を取消事由としており、離婚後そのまま放置すると取消しの対象になります。離婚は入管への届出事項でもあります。日本人との間の子を養育している、婚姻期間が相当に長く日本に生活基盤がある、といった事情があれば定住者への変更が検討され、専門的な職務に就いているなら就労資格への変更もあり得ます。永住者はこの影響を受けません。

中国籍の方に特有の留意点

  • 在留資格への影響:離婚が成立した日から在留資格の問題が動き出します。調停や訴訟の途中で在留期限が来る場合は、係属中であることを示す資料を添えて更新(入管法21条)を申請します。
  • 言語と通訳:申立書や陳述書は日本語で作成し、微信の記録など中国語の証拠には訳文が必要で、翻訳の正確さが結果を左右します。
  • 中国側の登記と戸口:日本で離婚しても中国側は婚姻中のままです。中国での再婚や財産処分の予定があれば、認証や承認の手続を早めに進めます。
  • 帰国の可能性:帰国してから中国で手続をとる選択肢もありますが、日本に残る配偶者や子との関係で日本の裁判所の管轄の有無が変わり、送達にも時間がかかります。
  • 日本に婚姻届を出していない場合:中国で有効に成立した婚姻は日本でも有効で、離婚の手続は可能です。中国の結婚証とその訳文を準備します。
  • 配偶者からの暴力:保護命令(配偶者暴力防止法10条)の申立ては国籍を問わず可能で、暴力を理由に別居した事情は在留資格取消しの「正当な理由」としても主張できます。

弁護士に相談すべき場面

  • 相手が離婚や話合いに応じず、調停や訴訟を考えているとき。
  • 相手または自分が中国にいて、どちらの国で手続すべきか判断がつかないとき。
  • 未成年の子がいて、親権や面会交流、養育費の取決めが必要なとき。
  • 中国にある財産を財産分与の対象にしたいとき、または中国側の手続との関係を整理したいとき。
  • 離婚後の在留資格の見通しが立たず、離婚届を出す時期を決めかねているとき。

舟渡国際法律事務所では、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。離婚・親権・相続などの家事事件と、それに伴う在留資格の問題を一体で扱い、必要に応じて刑事弁護・行政訴訟にも対応します。行政事件の取扱いは複数の学術誌に掲載され研究の対象となっています。

よくある質問

中国籍同士の夫婦ですが、日本の市役所で離婚できますか

準拠法である中国法が夫婦の合意による離婚を認めているため、日本の市区町村で協議離婚の届出が受理される扱いが一般的です。ただし中国側の婚姻登記に反映させるには、認証を受けた書類で中国側の手続が別途必要です。

相手が中国に帰国して連絡が取れません。日本で離婚できますか

原告が日本に住所を有し、相手が行方不明であるなど一定の場合には日本の裁判所に国際裁判管轄が認められます(人事訴訟法3条の2)。調停は不成立となる見込みが高く、訴訟では中国への送達に相当の期間がかかります。

離婚届に署名する前に決めておくべきことはありますか

未成年の子の親権者(民法819条)は離婚届に記載が必要です。面会交流・養育費(民法766条)、財産分与(民法768条)、慰謝料は届出後でも請求できますが、署名前に公正証書などで取り決めておく方が履行を確保しやすくなります。

離婚すると在留資格はすぐになくなりますか

離婚した日に直ちに在留資格が失われるわけではありませんが、配偶者としての活動を一定期間行わないと在留資格取消し(入管法22条の4)の対象になります。定住者や就労資格への変更(入管法20条)を早めに準備してください。

日本で離婚したことは中国でも自動的に認められますか

自動的には反映されません。協議離婚なら離婚届受理証明書に認証を受けて中国側の機関に提出し、裁判離婚なら人民法院に承認を申し立てる手続が問題になります。

根拠条文・出典

  • 法の適用に関する通則法17条(不法行為)、25条(婚姻の効力)、27条(離婚)、32条(親子間の法律関係)
  • 民法763条・764条(協議離婚)、766条(子の監護に関する事項)、768条(財産分与)、770条1項(裁判上の離婚原因)、819条(離婚後の親権者)、709条(不法行為)
  • 家事事件手続法3条の13(国際裁判管轄)、244条(家事調停)、257条(調停前置)
  • 人事訴訟法2条(人事訴訟の定義)、3条の2(国際裁判管轄)、4条(管轄)
  • 民事訴訟法118条(外国裁判所の確定判決の効力)
  • 戸籍法27条の2(不受理申出)
  • 扶養義務の準拠法に関する法律
  • 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律10条(保護命令)
  • 出入国管理及び難民認定法20条(在留資格の変更)、21条(在留期間の更新)、22条の4(在留資格の取消し)

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ご相談・お問い合わせ

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)
中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。全国からご相談を承ります。
電話:050-7587-4639
微信(WeChat)ID:matsumura1119
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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