執行猶予付き判決を受けた中国籍の方は日本に残れるか|在留資格別に条文で解説
2026/10/10
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所
執行猶予付き判決を受けても日本に残れるかどうかは、在留資格が別表第一か別表第二か、罪名が何かで決まります。薬物犯罪は執行猶予でも退去強制事由に当たり、別表第一の在留資格では窃盗・傷害・詐欺などの一定の罪も執行猶予で退去強制事由に当たります。
この記事の要点
- 薬物犯罪は有罪判決だけで足り、執行猶予でも該当する(24条4号チ)。
- 別表第一の在留資格は、列挙された罪で拘禁刑なら執行猶予でも該当する(24条4号の2)。
- 別表第二(永住者等)は4号の2の対象外で、執行猶予であれば4号リにも当たらないのが原則。
- 退去強制事由に当たらなくても、更新・変更の審査で素行が問題となり得る。
どの場合に、執行猶予でも退去強制事由に当たりますか?
薬物犯罪と、別表第一の在留資格を持つ方の一定の犯罪は、執行猶予でも退去強制事由に当たります。
24条4号チは、麻薬・大麻・覚醒剤・あへん等の薬物関係法令に違反して有罪判決を受けた者を対象とし、執行猶予の有無を問いません。別表第二の在留資格者も対象です。
24条4号の2は、別表第一の在留資格を持つ者が、刑法の住居侵入、通貨・文書・有価証券・支払用カード・印章の偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐・人身売買、窃盗・強盗、詐欺・恐喝、盗品等関与の罪などにより拘禁刑に処せられた場合を対象とします。自動車運転死傷処罰法2条(危険運転致死傷)と6条1項の罪も含まれます。執行猶予の有無は問われません。
| 区分 | 執行猶予付き判決の場合 |
|---|---|
| 薬物犯罪(別表の別を問わない) | 退去強制事由に該当(24条4号チ) |
| 別表第一×4号の2の列挙罪 | 退去強制事由に該当(24条4号の2) |
| 別表第二(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)×列挙罪 | 4号の2は対象外。4号リは全部執行猶予を除外するため、原則として該当しない |
| 別表第一×4号の2に列挙されていない罪(過失運転致死傷、不同意わいせつ等) | 退去強制事由には当たらないが、更新・変更で不許可となる現実的リスクがある |
別表第二の方は安心できますか?
退去強制事由に直ちに当たらないことが多い一方、薬物は別であり、1年を超える実刑や素行の問題には注意が必要です。
24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、全部執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。したがって、別表第二の方が薬物以外の罪で全部執行猶予となった場合、退去強制事由には当たらないのが原則です。もっとも、定住者等は在留期間の更新を要するため、更新の審査で素行が問題とされることがあります。
よくある質問
執行猶予が取り消されたらどうなりますか?
取り消されて刑が執行されても、当初の判決が全部執行猶予であったことに変わりはなく、4号リの扱いは個別の確認が必要です。事案に応じて弁護士に確認してください。
拘禁刑とは何ですか?
令和7年6月1日に、懲役と禁錮が一本化されて新設された刑です。入管法の条文も拘禁刑に読み替えられています。
不起訴なら大丈夫ですか?
有罪判決(刑の言渡し)を受けていないため、これらの条項の前提を満たしません。ただし個別の確認が必要です。
根拠条文・出典
- 出入国管理及び難民認定法24条4号チ・4号リ・4号の2(e-Gov法令検索で条文を確認)
- 令和4年法律第67号(刑法等の一部改正。拘禁刑の新設・令和7年6月1日施行)
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