舟渡国際法律事務所

弁護士が解説する接近禁止命令の活用法

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弁護士が解説する接近禁止命令の活用法

弁護士が解説する接近禁止命令の活用法

2025/10/19

【重要】ストーカーに関するご相談は一律10万円(税別)の有料相談のみとなっております。無料相談は対応しておりませんのでご注意ください。

この記事の要点

  • 「接近禁止命令」は、配偶者暴力防止法に基づく保護命令の一つで、被害者の申立てにより地方裁判所が発します(同法10条1項、期間は1年)。
  • 同居していない交際相手や、一方的に好意を寄せる相手からのつきまといには、ストーカー規制法の警告(警察本部長等)と禁止命令等(都道府県公安委員会)で対応します。
  • 禁止命令等の効力は1年で、必要があれば1年ずつ延長できます(ストーカー規制法5条8項、9項)。
  • 保護命令に違反すると2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です。禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合も同じで、その他の禁止命令等の違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(同法19条、20条)。
  • どちらの制度を使えるかは、相手との関係と被害の内容によって決まります。

つきまといや交際相手からの暴力に悩む方から、「接近禁止命令を出してほしい」というご相談を受けることがあります。もっとも、接近禁止命令という名称は配偶者暴力防止法の保護命令を指し、ストーカー規制法には禁止命令等という別の制度が用意されています。本記事では、2つの制度の違いを押さえたうえで、申立てや申出の手順、命令が出た後の対応を解説します。

※本記事は、2026年9月10日に、根拠法令と命令を発する機関を明記する形で全面的に改訂しました。

目次

    ストーカー被害に直面したあなたへ:接近禁止命令とは何か?

    接近禁止命令は、配偶者暴力防止法に基づき、地方裁判所が被害者の申立てにより、配偶者等に対して、1年間、被害者の身辺につきまとうことや、住居、勤務先など通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止する命令です(同法10条1項)。対象となる相手は、配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手です。

    これに対し、同居していない交際相手や面識の乏しい相手によるつきまといは、ストーカー規制法の対象となります。同法には、警察本部長等による警告(4条)と、都道府県公安委員会による禁止命令等(5条)が設けられています。

    接近禁止命令の申請手順と必要な要件を弁護士が詳しく解説

    保護命令は、被害者が地方裁判所に申し立てます。配偶者から身体に対する暴力、または生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対する加害の告知による脅迫を受け、更に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められることが要件です。申立書には、配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談した事実などを記載し、相談していない場合は、公証人の面前で宣誓した供述書を添付します。

    ストーカー規制法の禁止命令等は、つきまとい等をして相手方に不安を覚えさせ、更に反復してするおそれがあると認めるときに、被害者の申出により、または職権で、公安委員会が発します(同法5条1項)。発する前には原則として聴聞が行われますが、緊急の必要があるときは、事前の聴聞を経ずに発することができます(同条2項、3項)。

    実際に接近禁止命令を活用した事例で見る効果と注意点

    命令の効果は、違反に刑事罰が伴う点にあります。命令が出た後に相手が接近したり、禁止された行為を繰り返したりすれば、警察が刑事事件として対応することができます。

    注意したいのは、命令によって禁止される行為の範囲が異なることです。保護命令の接近禁止命令は物理的な接近を禁止するもので、電話やSNSによる連絡を止めるには、電話等禁止命令をあわせて申し立てる必要があります。また、保護命令の申立書の写しは相手方に送達されるため、避難先の住所を知られないよう配慮が必要です。

    接近禁止命令の取得後にできること:安全な生活を取り戻すために

    命令が出た後は、命令書の写しを手元に置き、違反があればすぐに警察に通報できるようにしておきます。接触があった日時、場所、態様を記録し、着信の履歴やメッセージの画面を保存しておくことも大切です。

    記録は、違反事件の証拠になるだけでなく、期間が満了した後に保護命令を改めて申し立てたり、禁止命令等の延長を求めたりする際の資料にもなります。職場や子どもの学校など、相手が現れるおそれのある場所には、必要に応じて事情を伝えておくと安心です。

    ストーカー被害からの解放へ:接近禁止命令で安心を守るための総まとめ

    2つの制度を整理すると、次のとおりです。

    項目保護命令(接近禁止命令など)禁止命令等
    根拠法配偶者暴力防止法ストーカー規制法
    発する機関地方裁判所都道府県公安委員会
    手続の始まり被害者の申立て被害者の申出または職権
    対象となる相手配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手好意の感情やそれが満たされないことへの怨恨の感情を充足する目的でつきまとい等をする者
    期間1年(期間満了後は改めて申し立てる)1年(1年ずつ延長できる)
    違反した場合2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金違反してストーカー行為をした場合は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、その他の違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

    被害を防ぐために知っておきたいその他の法的手段と対策

    命令のほかにも、次のような手段があります。第1に、ストーカー行為そのものが犯罪であり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます(ストーカー規制法18条)。第2に、警察本部長等に対し、被害を自ら防止するための援助を求めることができます(同法7条)。

    第3に、民事上、人格権に基づく接近禁止などの仮処分や、損害賠償の請求を検討することができます。第4に、GPS機器や紛失防止タグを承諾なく取り付けて位置情報を取得する行為も、位置情報無承諾取得等として規制の対象とされています(同法2条3項)。

    弁護士が教えるストーカー被害時にすぐ取るべき行動と相談先

    まず身の安全を確保し、危険が差し迫っているときは、ためらわずに110番通報してください。そのうえで、つきまといや連絡の記録、送られてきたメッセージ、写真などを保存します。相談先は、ストーカー被害であれば警察署、配偶者や同居の交際相手からの暴力であれば配偶者暴力相談支援センターや警察です。

    どの制度を使うべきか、証拠をどう整えるかは、事案によって異なります。証拠の整え方や手続の選択に迷われたときは、弁護士にご相談ください。

    よくある質問

    Q 同居していない交際相手に、接近禁止命令を出してもらえますか。
    配偶者暴力防止法の保護命令は、配偶者、元配偶者、生活の本拠を共にする交際相手を対象としています。同居していない交際相手によるつきまといには、ストーカー規制法の警告や禁止命令等で対応することになります。

    Q 禁止命令等は、警告を受けた後でなければ出されないのですか。
    そうではありません。ストーカー規制法5条1項は警告を経ることを要件としておらず、警告を経ずに禁止命令等が発せられることがあります。

    Q 命令の期間が過ぎたら、どうなりますか。
    禁止命令等は、継続の必要があると認められれば1年ずつ延長できます(同法5条9項)。保護命令は、期間満了後に改めて申し立てることになります。

    Q 命令に違反されたら、何をすればよいですか。
    命令書の写しを示して、速やかに警察に相談してください。接触の日時や態様の記録、メッセージの画面なども保存しておいてください。

    関連する用語解説
    接近禁止命令とは/不起訴処分とは/勾留とは

    最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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