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国際相続とは|中国籍の被相続人・相続人がいる相続手続と準拠法(通則法36条)を中国語対応の弁護士が解説

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国際相続とは|中国籍の被相続人・相続人がいる相続手続と準拠法(通則法36条)を中国語対応の弁護士が解説

国際相続とは|中国籍の被相続人・相続人がいる相続手続と準拠法(通則法36条)を中国語対応の弁護士が解説

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

国際相続とは、亡くなった方(被相続人)や相続人の国籍、あるいは財産の所在地が複数の国にまたがる相続をいいます。日本では相続は被相続人の本国法によるため(法の適用に関する通則法36条)、中国籍の方が亡くなれば原則として中国民法典の相続編が基準となり、日本人が亡くなって中国籍の相続人がいる場合は日本法で処理します。いずれの場合も、中国にいる相続人の身分を証明する書類、中国にある財産の手続、相続税の扱いが日本国内だけの相続と大きく異なります。

この記事の要点

  • 相続の準拠法は被相続人の本国法です(通則法36条)。中国籍の方の相続は中国民法典の相続編によりますが、反致(通則法41条)により日本法が適用される場合があります。
  • 日本人の被相続人に中国籍の相続人がいる場合は日本法によりますが、中国には日本の戸籍に当たる制度がないため、相続人の確定と身分証明に中国の公証書が必要になります。
  • 遺言の成立と効力は遺言者の本国法(通則法37条)、遺言の方式は遺言の方式の準拠法に関する法律によります。中国籍の方も日本で公正証書遺言(民法969条)を作成できます。
  • 相続税の納税義務は国籍ではなく住所と財産の所在地で決まり(相続税法1条の3)、日本に住所のある相続人は国外の財産も課税対象になり得ます。
  • 相続放棄は家庭裁判所への申述を一定期間内に行う必要があり(民法915条)、中国にいる相続人も例外ではありません。

こんな場面で問題になります

  • 日本で長く暮らしていた中国籍の父が亡くなり、日本の預金と自宅のほか中国にも不動産があるが、相続人の一部は中国にいる。
  • 日本人の夫が亡くなり、中国籍の妻が日本の自宅の名義変更をしたいが、夫の前妻との子や中国の親族との話合いが進まない。
  • 中国にいる両親が亡くなり、日本に住む子が中国の不動産と預金を相続したいが、日本からどう手続すればよいか分からない。
  • 日本の不動産を相続した中国在住の相続人が、法務局から求められる書類をそろえられない。
  • 中国籍の被相続人に多額の借金があり、相続放棄をしたいが、中国にいる相続人を含めてどうすればよいか迷っている。

国際相続の準拠法はどのように決まりますか

日本では相続は被相続人の本国法によるため(通則法36条)、中国籍の方が亡くなれば中国法、日本人が亡くなれば日本法が準拠法です。

法の適用に関する通則法36条は、相続は被相続人の本国法によると定めており、日本は動産と不動産を区別せず相続全体を一つの法で処理する立場をとっています。したがって中国籍の方の相続では、誰が相続人になるか、相続分はどうか、遺産分割はどう行うかが中国民法典の相続編によって判断され、日本の家庭裁判所で手続をする場合も裁判所は中国法を適用します。ただし通則法41条は、本国法によるべき場合にその国の法に従えば日本法によるべきときは日本法によると定めており(反致)、中国の国際私法の規定内容によっては、日本にある財産や日本に常居所があった方の相続に日本法が適用されることがあります。反致の成否は財産の種類や被相続人の生活の本拠によって結論が分かれるため、最初に確認すべき点です。

中国籍の方が日本で亡くなったとき、何から始めますか

死亡届(戸籍法86条)と在留カードの返納(入管法19条の15)を済ませたうえで、相続人を確定するための中国側の身分証明書類を集めることから始めます。

外国人が日本で亡くなった場合も市区町村への死亡届が必要で、在留カードは返納します。日本人の相続では戸籍謄本で相続人を確定しますが、中国には戸籍謄本に当たる公的な証明書がないため、相続人の範囲は、中国の公証処が発行する親族関係公証書や出生・婚姻・死亡に関する公証書、戸口簿、出生医学証明などを組み合わせて立証します。日本の金融機関や法務局は、これらの書類の日本語訳と、各相続人の署名を中国の公証処で証明した書類を求めるのが通例です。相続人の範囲や相続分は中国民法典の相続編によるため、日本の実務で当然とされる順位や割合と異なることがあり、金融機関への説明にも準拠法の整理が必要です。

日本人が亡くなり中国籍の相続人がいる場合はどう進めますか

準拠法は日本法で、中国籍の配偶者や子も日本の民法どおり相続人になりますが、遺産分割協議書への署名や印鑑証明書の代わりに中国での公証が必要になります。

日本人の相続では、配偶者(民法890条)と子(民法887条)が相続人となり、国籍は関係ありません。相続人全員で遺産分割協議(民法907条)を行いますが、中国に住む相続人は日本の印鑑証明書を取れないため、協議書への署名を中国の公証処で証明してもらい、日本語訳を添えて法務局や金融機関に提出します。日本に住民登録のある中国籍の相続人は印鑑証明書を使えます。相続人の一人と連絡が取れない場合は、不在者財産管理人(民法25条)の選任や、家庭裁判所の遺産分割調停(家事事件手続法)を利用しますが、中国在住の相続人への送達は司法共助により相当の期間を要します。被相続人に債務がある場合の相続放棄は、中国にいる相続人も家庭裁判所に一定期間内に申述する必要があります(民法915条)。

場面準拠法相続人の確定に使う書類主な留意点
中国籍の被相続人・日本の財産中国民法典の相続編(反致により日本法の場合あり)親族関係公証書、戸口簿、公証書の訳文反致の確認、金融機関への準拠法の説明
中国籍の被相続人・中国の財産中国民法典の相続編中国の公証処での相続権公証日本の書類にアポスティーユと中国語訳が必要
日本人の被相続人・中国籍の相続人日本法(通則法36条)戸籍謄本、中国在住者の署名公証印鑑証明書の代替、送達に時間
遺言がある場合成立・効力は遺言者の本国法(通則法37条)公正証書遺言、検認(民法1004条)方式は作成地の法でも有効になり得る

遺言はどの国の法律で作ればよいですか

遺言の成立と効力は遺言者の本国法(通則法37条)、方式は遺言の方式の準拠法に関する法律により広く有効と認められるため、中国籍の方も日本の公正証書遺言を作成できます。

遺言の方式の準拠法に関する法律は、遺言が行為地法、遺言者の本国法、住所地法、常居所地法、不動産所在地法のいずれかに適合すれば方式として有効と定めており、日本の公証役場で作成した公正証書遺言(民法969条)は方式の面で有効で、日本語を理解できない方は通訳を介して作成できます(民法969条の2)。遺言の内容がどこまで有効かは遺言者の本国法で判断されるため、中国籍の方の遺言では中国民法典の相続編に照らした検討が必要です。中国にある不動産や預金については、日本の遺言を中国で使うために認証と翻訳が必要になり、中国の公証処で別に公証遺言を作成しておく方が実務上円滑なことがあります。両国に財産がある方は、財産ごとに遺言を分け、遺言執行者(民法1006条)を定めておくと相続人の負担を減らせます。

相続税はどの国で課税されますか

日本の相続税は国籍ではなく、相続人と被相続人の住所、財産の所在地によって納税義務の範囲が決まり(相続税法1条の3)、日本に住所のある相続人は中国にある財産も課税対象になり得ます。

相続税法は、相続人が日本に住所を有するか、被相続人が日本に住所を有していたか、在留資格の種類と在留期間はどうかといった事情で、全世界の財産に課税されるか日本国内の財産だけに課税されるかを分けています。中国籍であっても日本に住所があれば、中国の不動産や預金を含めて申告が必要になることがあり、逆に中国在住の相続人が日本の財産だけを相続する場合は国内財産に限られるのが基本です。申告には法定の期限があり、中国の財産の評価と書類の取寄せに時間がかかるため、早い段階で税理士と連携します。中国側の課税の有無は別途確認が必要です。

中国にある財産はどのように相続しますか

中国の不動産や預金は中国の法律と手続で名義変更や払戻しを行うため、中国の公証処での相続権公証と、日本の書類の認証・翻訳が必要です。

準拠法が日本法であっても、中国にある財産の名義変更や払戻しは中国の登記機関や銀行の手続によります。中国では相続人が公証処で相続権の公証を受け、その公証書で不動産登記や預金の払戻しを行うのが一般的で、日本側で作成した遺産分割協議書、戸籍謄本、死亡の証明には外務省のアポスティーユと中国語訳が必要です。日本の家庭裁判所の遺産分割審判や判決を中国で直接執行することは、相互の保証(民事訴訟法118条)の問題から難しいため、中国の財産については最初から中国側の手続を前提に協議をまとめる方が現実的です。中国の律師と連携して両国の手続を並行して進めます。

中国籍の方に特有の留意点

  • 身分関係の立証:中国には戸籍謄本に当たる書類がないため、親族関係公証書などで相続人の範囲を立証します。一人の相続人が欠けた遺産分割協議は無効になるため、相続人の範囲の確認は最初に徹底します。
  • 在留資格:相続手続のために来日する中国在住の相続人は短期滞在で入国できますが、日本の財産を相続したこと自体は在留資格の根拠にはなりません。日本に住む相続人の在留資格には影響しません。
  • 言語と翻訳:日本の法務局・金融機関・裁判所に出す中国語の書類には訳文が必要で、訳文の正確さが受理の可否を左右します。遺産分割協議書は日中両言語で作成すると、中国側の手続にも使えます。
  • 中国の家族との連絡と送達:遺産分割調停を申し立てる場合、中国在住の相続人への送達は司法共助によるため相当の期間がかかります。協議で解決できるなら、微信などで連絡を取り合い、公証を使って書面を整える方が早いことが多いです。
  • 帰国の可能性:日本の財産を処分して帰国する場合、不動産の売却や預金の送金には相続登記と税務の手続を終えておく必要があります。
  • 判決の承認:日本の審判・判決を中国で、中国の判決を日本で執行することは相互の保証の問題から難しく、両国の手続を別々に設計します。

弁護士に相談すべき場面

  • 中国籍の方が亡くなり、準拠法や反致の確認から相続人の範囲まで整理が必要なとき。
  • 相続人の一部が中国にいて、署名の公証や送達の見通しを立てたいとき。
  • 日本と中国の両方に財産があり、遺言の作成や遺産分割の設計を一度に行いたいとき。
  • 被相続人に債務があり、相続放棄や限定承認の期限が迫っているとき。
  • 相続人の間で争いがあり、遺産分割調停や審判を検討しているとき。

舟渡国際法律事務所では、中国語での相談に対応しています(専属通訳が常駐)。離婚・親権・相続などの家事事件と、それに伴う在留資格の問題を一体で扱い、必要に応じて刑事弁護・行政訴訟にも対応します。行政事件の取扱いは複数の学術誌に掲載され研究の対象となっています。

よくある質問

中国籍の父が日本で亡くなりました。日本法と中国法のどちらで相続しますか

相続の準拠法は被相続人の本国法である中国法(中国民法典の相続編)です(通則法36条)。ただし反致(通則法41条)により日本法が適用される場合があり、財産の種類や生活の本拠によって結論が分かれるため最初に確認します。

中国にいる相続人は印鑑証明書がありません。遺産分割協議はできますか

できます。遺産分割協議書に署名し、その署名が本人のものであることを中国の公証処で証明してもらい、日本語訳を添えて法務局や金融機関に提出します。

中国籍でも日本で遺言を作れますか

作れます。日本の公正証書遺言(民法969条)は方式として有効で、日本語が分からない方は通訳を介して作成できます(民法969条の2)。内容の有効性は本国法で判断されるため、中国法に照らした検討が必要です。

中国籍の相続人は日本の相続税を払う必要がありますか

国籍ではなく、相続人と被相続人の住所や財産の所在地で納税義務の範囲が決まります(相続税法1条の3)。日本に住所のある相続人は中国の財産も課税対象になり得るため、早めに税理士と確認してください。

中国にいる相続人も相続放棄できますか

できます。家庭裁判所に一定期間内に申述する必要があり(民法915条)、中国からでも代理人を通じて手続できます。期限の計算は相続の開始を知った時からですので、早めに相談してください。

根拠条文・出典

  • 法の適用に関する通則法36条(相続)、37条(遺言)、41条(反致)
  • 遺言の方式の準拠法に関する法律
  • 民法25条(不在者の財産の管理)、887条・890条(相続人)、907条(遺産分割協議)、915条(相続の承認・放棄の期間)、969条・969条の2(公正証書遺言)、1004条(検認)、1006条(遺言執行者)
  • 家事事件手続法(遺産分割調停・審判)
  • 民事訴訟法118条(外国裁判所の確定判決の効力)
  • 相続税法1条の3(相続税の納税義務者)
  • 戸籍法86条(死亡届)、出入国管理及び難民認定法19条の15(在留カードの返納)
  • 不動産登記法(相続登記)
  • 中国民法典の相続編

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ご相談・お問い合わせ

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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