刑事事件と未成年の責任年齢や手続きと家族が今知っておくべき対応策
2026/04/13
この記事の要点
- 14歳に満たない者の行為は罰せられません(刑法41条)。これを刑事責任年齢といいます。
- 少年法の「少年」は20歳未満の者をいい(少年法2条1項)、18歳と19歳は「特定少年」として特例が適用されます(同法62条以下)。
- 罪を犯した少年の事件は、原則としてすべて家庭裁判所に送られ(全件送致主義、同法42条)、家庭裁判所が保護処分などを決めます。
- 家庭裁判所が刑事処分を相当と認めた場合には、検察官に送致され(逆送)、成人と同じ刑事裁判を受けることがあります(同法20条、62条)。
- 14歳未満の少年は刑事裁判を受けませんが、児童相談所の措置や、児童相談所長から送致を受けた家庭裁判所の審判の対象となることがあります(同法3条2項)。
お子さんが事件に関わったとき、ご家族がまず知りたいのは、何歳から刑事責任を問われるのか、これからどのような手続が進むのか、という点です。本記事では、刑法と少年法の条文に沿って、年齢ごとの扱いの違いと、ご家族が取るべき対応を整理します。
※本記事は、2026年9月10日に、条文の根拠を明記する形で全面的に改訂しました。
目次
未成年の刑事事件と責任年齢の真実
刑事事件で問われる未成年の責任年齢とは
刑法41条は、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない」と定めています。これが刑事責任年齢であり、14歳未満の者は、どのような行為をしても刑罰を科されることはありません。
14歳以上であれば刑事責任を問われうる年齢に達しますが、20歳未満の少年については、少年法により、刑罰よりも保護と教育を優先する特別の手続がとられます。
刑事事件は何歳から成立するのかを解説
犯罪として処罰されうるのは、行為の時に14歳以上であった者です。年齢は事件を起こした時点で判断されるため、捜査や審判の途中で誕生日を迎えても、行為時に14歳未満であれば刑罰を科されることはありません。
もっとも、14歳未満の行為であっても、刑罰法令に触れる行為として、児童福祉法や少年法に基づく措置の対象となります。
少年法と刑事事件における年齢の考え方
少年法は、20歳に満たない者を「少年」と定め(少年法2条1項)、家庭裁判所の審判に付す少年を3つに分けています(同法3条1項)。罪を犯した14歳以上の少年(犯罪少年)、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)、将来罪を犯すおそれのある少年(ぐ犯少年)です。
このうち18歳と19歳の少年は、令和4年4月1日施行の改正少年法により「特定少年」と位置づけられ、逆送の範囲や保護処分の内容などに特例が設けられています。
少年法における刑事事件の手続き解説
刑事事件発生時の少年法手続きの流れ
14歳以上の少年が事件を起こした場合、警察の捜査を経て、事件は家庭裁判所に送致されます。軽微な事件では、警察から直接家庭裁判所に送られることもあります。
家庭裁判所は、家庭裁判所調査官による調査を行い、必要があれば少年を少年鑑別所に送って心身の鑑別を行います(観護措置、同法17条)。そのうえで、審判を開くかどうか、どのような処分をするかを決めます。
少年事件の刑事手続きはどう進むのか
捜査段階では、成人の事件と同じく、逮捕、取調べ、証拠の収集が行われます。逮捕された場合は、弁護人を選任することができます。
家庭裁判所に送致された後は、弁護士が「付添人」として少年を支えます。付添人は、非行事実の認定に誤りがないか、少年にとってどのような処分がふさわしいかについて、家庭裁判所に意見を述べ、環境の調整にも取り組みます。
刑事事件と少年事件の違いをわかりやすく解説
成人の刑事事件は、有罪か無罪か、どの程度の刑罰を科すかを決める手続です。これに対し、少年事件の審判は、少年の健全な育成を目的として、少年の立ち直りに必要な処分を決める手続です。
そのため、少年事件では、事件の内容だけでなく、少年の性格、家庭環境、学校や職場の状況などが調べられ、処分の判断に反映されます。審判は原則として非公開です。
14歳を境に変わる刑事事件対応の現実
刑事事件で14歳以上に変わる責任の重さ
14歳を境に、刑罰を科されうるかどうかが変わります。14歳以上の少年は犯罪少年として扱われ、逮捕や勾留の対象となりうるほか、家庭裁判所が刑事処分を相当と認めれば、逆送されて刑事裁判を受けることがあります(少年法20条1項)。
逆送の対象となるのは、拘禁刑以上の刑に当たる罪の事件です。
14歳未満の事件と刑事事件の違いを解説
14歳未満の少年の行為は、刑法41条により罰せられないため、刑事事件として起訴されることはありません。こうした少年は「触法少年」と呼ばれ、警察の調査の後、児童相談所への通告や送致が行われます。
家庭裁判所が触法少年を審判に付すことができるのは、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限られます(少年法3条2項)。
14歳以上が刑事事件で逮捕される可能性
14歳以上であれば、成人と同じ手続で逮捕されることがあります。もっとも、少年の勾留は、やむを得ない場合でなければ請求も発付もできず(少年法43条3項、48条1項)、勾留する場合も少年鑑別所で行うことができます(同法48条2項)。
14歳未満の少年は逮捕されませんが、事件によっては、児童福祉法に基づく一時保護などの措置がとられることがあります。
家族が知るべき未成年刑事事件後の流れ
刑事事件発生後の家族が取るべき対応策
お子さんが逮捕されたと連絡を受けたら、まず、どの警察署にいるのか、どのような疑いがかけられているのかを確認し、早い段階で弁護士に相談してください。
逮捕直後は、ご家族であっても面会が制限されることがあります。弁護士であれば、立会人なしで本人と面会し、取調べへの対応について助言することができます。
未成年が刑事事件を起こした後の手続き
捜査の段階では、逮捕から最長で23日程度、身体を拘束されることがあります。その後、事件は家庭裁判所に送致され、観護措置がとられると、少年鑑別所で原則2週間、更新されれば4週間程度を過ごします(少年法17条3項、4項)。
その間に、家庭裁判所調査官による面接や、ご家族への聴き取りが行われ、審判で処分が決まります。
刑事事件後に家族ができるサポート方法
ご家族にできる最も大きなサポートは、お子さんが戻る環境を整えることです。家庭での生活のあり方、学校や職場との関係、交友関係の見直しなどを話し合い、具体的な計画にしておくことが、審判での判断にも影響します。
被害者がいる事件では、弁護士を通じて謝罪や被害弁償を進めることも重要です。
14歳未満の場合の刑事事件はどう進むか
14歳未満の刑事事件はどう扱われるか解説
14歳未満の少年の行為は、刑罰の対象になりません(刑法41条)。警察は触法少年として調査を行い、その結果に応じて、児童相談所に通告または送致します。
児童相談所は、子どもや家庭への指導、施設への入所などの措置を検討し、家庭裁判所の審判に付すことが適当と認めるときは、家庭裁判所に送致します。
刑事事件で14歳未満が問われる措置とは
14歳未満の少年に対してとられる主な措置は、児童福祉法に基づく措置と、家庭裁判所の保護処分です。児童福祉法上の措置には、児童相談所での指導や、児童自立支援施設への入所などがあります。
家庭裁判所に送致された場合は、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設への送致、少年院送致(特に必要と認める場合に限る)のいずれかの保護処分がされることがあります。
刑事事件と児童相談所送致の手続きの違い
14歳以上の少年の事件は、捜査機関から家庭裁判所に送られるのが原則です。これに対し、14歳未満の少年の事件は、まず児童相談所が扱い、家庭裁判所が審判に付すことができるのは、児童相談所長などから送致を受けたときに限られます(少年法3条2項)。
この点が、14歳の前後で最も大きく異なる手続の違いです。
刑事事件発生時に親が取るべき初動対応
刑事事件発生時に親が最初に行うべき行動
最初に行うべきことは、事実関係の確認と弁護士への相談です。警察からの連絡内容、疑われている行為、お子さんの所在を確認し、取調べが始まる前に助言を受けられるようにします。
お子さんを責める前に、落ち着いて話を聴く姿勢を示すことが、その後の手続を適切に進める土台になります。
未成年が刑事事件を起こした際の親の役割
親の役割は、お子さんの味方でありながら、立ち直りに向けた環境を整えることです。家庭裁判所は、家庭の監督能力を処分の判断で重視します。
家庭でのルール、学校や職場との連携、生活の見直しなど、具体的な取組みを示せるよう準備しておくことが大切です。
刑事事件で親が知っておくべき初動対応法
初動では、次の点を押さえてください。第1に、弁護士に早期に相談すること。第2に、お子さんに事実と異なる内容を認めないよう伝えること(弁護士を通じて伝えるのが確実です)。第3に、被害者がいる場合は、ご家族が直接連絡をとる前に弁護士に相談すること。
第4に、学校や勤務先への連絡の要否と方法も、弁護士と相談して決めることです。
刑事事件時に親が弁護士へ相談する重要性
少年事件では、捜査段階の弁護人と、家庭裁判所での付添人の両方の役割が重要です。早い段階から弁護士が関わることで、取調べへの対応、身体拘束からの早期解放の働きかけ、被害者との示談、家庭環境の調整を一体的に進めることができます。
特定少年の事件や重大な事件では、逆送の可能性を踏まえた対応も必要になります。
刑事事件で親子が冷静になるためのポイント
ご家族が動揺するのは当然ですが、お子さんにとって、ご家族が落ち着いて向き合う姿は大きな支えになります。手続の見通しを弁護士から聞き、次に何が起きるかを知っておくことで、冷静に対応しやすくなります。
外国籍のお子さんの場合は、事件の結果が在留資格にも影響することがあるため、その点も含めてご相談ください。
よくある質問
Q 13歳の子どもが重大な事件を起こした場合、刑事裁判になりますか。
なりません。14歳に満たない者の行為は罰せられないため(刑法41条)、刑事裁判を受けることはありません。児童相談所の措置や、家庭裁判所の保護処分の対象となります。
Q 18歳や19歳は、大人と同じ扱いですか。
18歳と19歳は特定少年として少年法の対象ですが、逆送の対象となる事件が広げられ、起訴された場合には実名報道の禁止が適用されないなど、特例があります(少年法62条、68条)。
Q 保護処分を受けると前科になりますか。
なりません。保護処分は刑罰ではないためです。ただし、逆送されて刑事裁判で有罪となった場合は、前科になります。
Q 少年事件でも弁護士をつけられますか。
つけられます。捜査段階では弁護人として、家庭裁判所に送致された後は付添人として活動します。
最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
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