送検とは|身柄送検と書類送検の違い、送検までの時間制限とその後の流れ
2026/09/04
送検とは、司法警察員が捜査した事件を、書類及び証拠物とともに検察官に送致することをいう。刑訴法246条は、司法警察員は犯罪の捜査をしたときは速やかに事件を検察官に送致しなければならないと定めており、これを全件送致主義という。
この記事の要点
- 送検は事件を警察から検察官に引き継ぐ手続であり、起訴を意味するものではない。
- 身体を拘束したまま送るのが身柄送検、書類だけを送るのが書類送検である。
- 逮捕された場合、送検は逮捕から48時間以内に行わなければならない。
- 検察官が指定した軽微な事件については、例外として微罪処分で終わることがある。
送検とは何か
送検とは、警察が捜査した事件を、書類と証拠物とともに検察官に引き継ぐ手続である。刑訴法246条は、司法警察員は犯罪の捜査をしたときは速やかに事件を検察官に送致しなければならないと定めている。日本では、警察が独自に事件を終わらせることは原則として認められておらず、全ての事件を検察官に送るのが建前である。
送検という語は法律上の用語ではなく、送致を意味する実務上の言い方である。報道で用いられる書類送検も同様であり、いずれも起訴を意味しない。
身柄送検と書類送検は何が違うか
身体を拘束したまま送るかどうかが違いである。逮捕された事件では、被疑者の身柄と書類を併せて検察官に送る。逮捕されていない在宅の事件では、書類と証拠物だけを送る。
| 項目 | 身柄送検 | 書類送検 |
|---|---|---|
| 身体の拘束 | あり | なし |
| 送致の時間制限 | 逮捕から48時間以内 | 法律上の制限はない |
| その後の手続 | 勾留請求又は釈放 | 検察官が捜査のうえ処分を決める |
| 処分までの期間 | おおむね20日以内 | 数か月に及ぶこともある |
| 本人の生活 | 拘束が続く | 日常生活を続けられる |
送検までの時間はどれだけ制限されているか
逮捕された場合、送検までの時間は厳格に制限されている。刑訴法203条は、司法警察員が被疑者を逮捕したときは、48時間以内に書類及び証拠物とともに被疑者を検察官に送致する手続をしなければならないと定めている。
送致を受けた検察官は、刑訴法205条により、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ逮捕のときから72時間以内に、勾留を請求するか被疑者を釈放しなければならない。逮捕から勾留までの流れが3日ほどで決まるということであり、この間の弁護活動が結論を大きく左右する。
送検された後はどう進むか
送検後は、検察官が捜査を引き継ぎ、起訴するかどうかを判断する。身柄事件では、勾留が認められると原則として10日間、延長が認められるとさらに最大で10日間の身体拘束が続き、その期間内に処分が決まる。
在宅事件では期間の定めがなく、数か月を要することもある。処分は、公判請求、略式命令の請求、不起訴処分のいずれかである。不起訴のうち最も多いのは、嫌疑は認められるが訴追を必要としないとする起訴猶予である。
送検されると必ず起訴されるのか
そうではない。送検は事件を引き継ぐ手続にすぎず、起訴するかどうかの判断は検察官が別に行う。検察官は、犯罪の軽重や情状に加え、犯罪後の情況を考慮して処分を決めるとされている。
したがって、送検の前後を通じて、被害の回復、再犯防止の環境、本人の反省といった事情を整えて示すことに意味がある。示談が成立していれば、それが不起訴の判断につながることもある。
送検されない場合はあるか
ある。刑訴法246条のただし書は、検察官が指定した事件については送致を要しないと定めており、これに基づく処理が微罪処分である。被害が軽微で、被害が回復され、被害者が処罰を求めていないといった条件がそろった場合に限られる。
ただし、微罪処分で終わった場合でも、捜査の対象となった記録は残る。前科は付かないが前歴は残るという点は、在留資格の審査との関係で意味を持つことがある。
外国人の事件で送検が問題になるのはどのような場面か
刑事手続と入管手続が同時に進むため、送検の段階から在留への影響を考えておく必要がある。入管法上、国や地方公共団体の職員は、職務の遂行に当たって退去強制事由に該当すると思われる外国人を知ったときは通報しなければならないとされている。刑事手続の中で在留資格に関わる事情が明らかになれば、入管に情報が伝わることを前提に備えなければならない。
また、身体を拘束されている間に在留期間が経過してしまい、不法残留の状態が生じることがある。勤務先への連絡が途絶えて雇用契約が解除され、在留資格に該当する活動を失うこともある。刑事処分の見通しだけでなく、在留の維持という観点からの初動が必要になる。
よくあるご質問
Q1 送検されたら必ず起訴されますか。
そうではありません。送検は、警察が事件を検察官に引き継ぐ手続にすぎません。起訴するかどうかを決めるのは検察官であり、送検された事件の中には起訴猶予などの不起訴処分で終わるものが相当数あります。
Q2 書類送検とはどういう意味ですか。
身体を拘束しないまま、書類と証拠物だけを検察官に送ることをいいます。逮捕されていない在宅の事件がこれに当たります。刑事事件としての手続は続いていますので、起訴されない見込みだという意味ではありません。
Q3 送検された後、いつ家族と会えますか。
勾留が決まると、原則として家族の面会が可能になります。ただし、接見等禁止の決定が付されると、弁護人以外との面会ができなくなります。その場合でも弁護人との接見は制限されません。
Q4 送検されると入管に知られますか。
入管法上、国や地方公共団体の職員は、職務の遂行に当たって退去強制事由に該当すると思われる外国人を知ったときは通報しなければならないとされています。したがって、在留資格に関わる事情があれば、入管に情報が伝わることを前提に備える必要があります。
Q5 送検される前に弁護士に依頼する意味はありますか。
あります。逮捕から送検、勾留請求までは3日ほどしかなく、この間の対応が結論を大きく左右します。取調べへの対応方針を決め、勾留を避けるための意見書を検察官や裁判官に出すには、早い段階での選任が必要です。
おわりに
送検という言葉は重く響くが、事件が警察から検察官に移っただけであり、処分はこれから決まる。むしろ問題は、逮捕から送検、勾留請求までの時間が短いことにある。外国人の事件では、この短い期間に在留への影響まで見通す必要がある。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
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