逮捕とは|3種類の逮捕、48時間と72時間の時間制限、領事通報
2026/09/04
逮捕とは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある被疑者の身体を短時間拘束し、引き続く捜査や勾留の判断につなげるための刑事訴訟法上の処分をいう。逮捕には通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3種類があり、いずれについても厳格な時間制限が定められている。
この記事の要点
- 逮捕には、令状による通常逮捕、緊急逮捕、令状を要しない現行犯逮捕がある。
- 警察は身体を拘束したときから48時間以内に検察官へ送致しなければならない。
- 検察官は身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求するか釈放する。
- 外国人の場合、本国の領事機関への通報が問題となり、国によっては通報が義務とされている。
- 逮捕の段階では国選弁護人が付かないため、当番弁護士や私選弁護人の選任が重要である。
逮捕とは何か
逮捕は、被疑者の身体を一時的に拘束する処分である。罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることに加え、逃亡や証拠の隠滅のおそれがあることが前提となる。捜査のために必要であっても、これらの事情がなければ逮捕は許されない。
逮捕はあくまで短時間の拘束であり、引き続き身体を拘束するには、裁判官による勾留の判断が必要になる。刑事訴訟法は、この段階ごとに時間の制限を設け、身体拘束が漫然と続くことを防いでいる。
逮捕にはどのような種類があるか
種類によって、令状の要否と要件が異なる。日常的に最も多いのは通常逮捕と現行犯逮捕である。
| 種類 | 令状 | 要件 |
|---|---|---|
| 通常逮捕 | 事前に裁判官が発付 | 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること |
| 緊急逮捕 | 逮捕後直ちに請求 | 重い罪について充分な理由があり、急速を要して令状を求められないこと |
| 現行犯逮捕 | 不要 | 現に罪を行い、又は行い終わった者であること。私人も行うことができる |
逮捕された後、どのくらいの時間で何が決まるか
時間の流れは法律で定められている。警察官が逮捕した場合、司法警察員は身体を拘束したときから48時間以内に、書類及び証拠物とともに被疑者を検察官に送致しなければならない(刑訴法203条)。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ逮捕のときから72時間以内に、勾留を請求するか釈放するかを判断する(刑訴法205条)。勾留が認められた場合の期間は原則として10日間であり、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに10日を超えない範囲で延長される(刑訴法208条)。
逮捕されると家族に連絡はいくのか
必ず連絡されるとは限らない。事件の内容によっては、連絡が遅れたり、勾留の際に接見等禁止の決定がされて家族との面会ができなくなったりすることがある。
これに対し、弁護人は立会人なしで被疑者と面会することができる(刑訴法39条)。接見等禁止の決定がされている場合でも、弁護人の面会は妨げられない。ご家族としては、まず弁護人を選任し、本人の状況を確認することが現実的な対応になる。
外国人が逮捕された場合、領事機関への通報はどうなるか
本国の領事機関への通報が問題になる。領事関係に関する条約により、本人が要請した場合には、逮捕や拘禁の事実が領事機関に通報されることとされている。
さらに、日本が個別の国との間で結んでいる領事関係の取決めによっては、本人の希望の有無にかかわらず通報することとされている場合がある。通報を受けた領事館は、面会や通訳に関する援助を行うことがある。もっとも、領事館の関与は弁護活動そのものではないため、弁護人の選任とは別の問題として考える必要がある。
逮捕は在留資格にどう影響するか
逮捕されたこと自体は、退去強制の理由にはならない。不起訴となれば前科は残らない。もっとも、身体を拘束された事実は入管の把握するところとなり得るし、その後の判決の内容によっては在留に直結する。
無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合には、入管法24条4号リの退去強制事由に該当する。薬物に関する事犯については、入管法24条4号チにより、刑の重さにかかわらず退去強制事由とされている。在留期間の更新の審査でも、素行の評価として考慮される。
逮捕された場合、まず何をすべきか
取調べに応じる前に、弁護人と方針を確認することである。供述するかどうかは本人が決められることであり、話したくないことは話さなくてよい。作成された調書の内容に納得できなければ、署名を拒むこともできる。
外国人の事件では、通訳を介した供述が調書にどう記録されているかが、後に大きな意味を持つ。分からないまま署名してしまうと、後から訂正するのは容易ではない。逮捕の段階では国選弁護人が付かないため、当番弁護士の制度を利用するか、私選の弁護人を選任することになる。関連する語として、勾留や接見等禁止も併せて確認しておくとよい。
よくあるご質問
Q1 逮捕されると何日間拘束されますか。
逮捕による拘束は最長でも72時間です。その間に検察官が勾留を請求し、裁判官が認めると、原則としてさらに10日間、延長されると最長でもう10日間の拘束が続きます。合計すると起訴までに23日間となることがあります。
Q2 家族に連絡はしてもらえますか。
警察が必ず連絡するとは限らず、事件によっては連絡が遅れることがあります。弁護人は本人と立会人なしで面会でき、ご家族への伝言も可能です。早い段階で弁護人を選任することが、連絡の面でも意味を持ちます。
Q3 取調べで通訳はつきますか。
日本語を理解できない場合には通訳が用いられます。もっとも、訳し方によって供述の意味が変わることがありますので、内容が正確に伝わっているか確認することが大切です。分からないまま調書に署名しないでください。
Q4 逮捕されただけで強制送還されますか。
逮捕それ自体は退去強制の理由になりません。ただし、判決の内容によっては退去強制事由に該当することがあり、更新の審査でも考慮されます。刑事の見通しと在留の見通しを分けて検討する必要があります。
Q5 当番弁護士とは何ですか。
逮捕された方の求めに応じて、弁護士会が弁護士を派遣する制度です。初回の面会は無料で利用できます。逮捕の段階では国選弁護人が付きませんので、まずはこの制度を利用することが現実的な選択肢になります。
おわりに
逮捕の直後は、本人にも家族にも情報が届かず、見通しが立たない時間が続く。この時期にどのような対応をするかが、その後の処分と在留の見通しを左右する。外国人の事件では、通訳を介したやり取りの正確さも含めて、早い段階で確認しておくことが大切である。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
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