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薬物事件は執行猶予でも在留資格を失う|入管法第24条第4号チの構造と在留特別許可

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薬物事件は執行猶予でも在留資格を失う|入管法第24条第4号チの構造と在留特別許可

薬物事件は執行猶予でも在留資格を失う|入管法第24条第4号チの構造と在留特別許可

2026/09/07

薬物事件で執行猶予付きの判決を受けた方から、実刑ではなかったのだから日本に残れるはずだ、というお話をうかがうことがある。しかし、この理解は入管法の条文と一致しない。

薬物犯罪は、入管法第24条第4号チにより、有罪の判決を受けたこと自体が退去強制事由になる。刑の重さも、執行猶予が付いたかどうかも、条文の要件になっていない。窃盗や傷害であれば無期又は1年を超える拘禁刑の実刑でなければ退去強制されないところ、薬物だけは扱いが異なる。

本記事では、どの罪名とどの薬物がこの規定の対象になるのか、退去強制の効力がいつ生じるのか、そして在留を維持する法的手段として残された在留特別許可について、条文に即して整理する。

本記事の要点

  • 薬物犯罪は、入管法第24条第4号チにより、執行猶予付きの判決でも、罰金刑でも退去強制事由になる。
  • 対象は、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、麻薬特例法、刑法第2編第14章の違反である。
  • 危険ドラッグ(指定薬物)の医薬品医療機器等法違反は、この列挙に入っていない。
  • 退去強制手続が実際に動き出すのは判決が確定した後であり、控訴と上告はその時期を後ろに動かす。
  • 在留を維持する法的手段は、入管法第50条の在留特別許可に限られる。出国命令の制度は使えない。

1 執行猶予でも在留資格を失う理由

入管法第24条第4号チは、退去強制事由として、昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者を挙げている。

ここで注意していただきたいのは、条文が有罪の判決を受けた者としか書いていないことである。刑の種類も、刑期の長さも、執行猶予の有無も、要件になっていない。したがって、覚醒剤の自己使用で拘禁刑1年6月、執行猶予3年という典型的な判決を受けた場合でも、判決を受けたその事実によって第4号チに該当する。

これを他の犯罪と比べると差がはっきりする。薬物以外の一般的な犯罪は、同じ第24条第4号の中のリで扱われる。リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としつつ、ただし書で、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者と、一部執行猶予で実刑部分が1年以下の者を除いている。つまり、薬物以外の犯罪は、執行猶予が付けば退去強制事由にならない。

区分 入管法第24条第4号チ(薬物) 同号リ(薬物以外の一般犯罪)
要件 有罪の判決を受けたこと 無期又は1年を超える拘禁刑に処せられたこと
執行猶予 除外されない(該当する) ただし書により除外される
罰金刑 該当する 該当しない
刑期の下限 定めなし 1年超

薬物事件の弁護において、執行猶予を得ることが目標として不十分だと申し上げているのは、この条文構造によるものである。在留を守るという観点からは、目指すべきは不起訴処分であり、公判に至った場合には、そもそも第4号チに該当する罪名で有罪とされないための争い方を検討することになる。

2 対象となる薬物犯罪の罪名

第4号チが指す六つの法令のうち、実務で問題になる主な罪名と法定刑を整理する。いずれも自由刑は令和7年6月1日以後、拘禁刑に一本化されている。

法律 主な罪名(条文) 法定刑
覚醒剤取締法 輸入・輸出・製造(第41条) 1年以上の有期拘禁刑。営利目的は無期又は3年以上の拘禁刑
覚醒剤取締法 所持・譲渡し・譲受け(第41条の2) 10年以下の拘禁刑。営利目的は1年以上の有期拘禁刑
覚醒剤取締法 使用(第41条の3第1項第1号) 10年以下の拘禁刑
麻薬及び向精神薬取締法 ヘロイン等の輸入・輸出・製造(第64条) 1年以上の有期拘禁刑
麻薬及び向精神薬取締法 ヘロイン等以外の麻薬の輸入・輸出・製造、麻薬原料植物の栽培(第65条) 1年以上10年以下の拘禁刑
麻薬及び向精神薬取締法 麻薬の所持・譲渡し・譲受け(第66条) 7年以下の拘禁刑
麻薬及び向精神薬取締法 麻薬の施用(第66条の2)。大麻の使用はここに含まれる 7年以下の拘禁刑
麻薬及び向精神薬取締法 向精神薬の輸入等(第66条の3)、譲渡し等(第66条の4) 5年以下・3年以下の拘禁刑
大麻草の栽培の規制に関する法律 大麻草のみだりな栽培(第24条) 1年以上10年以下の拘禁刑
あへん法 けしの栽培、あへんの採取、あへん等の輸出入(第51条) 1年以上10年以下の拘禁刑
あへん法 あへん・けしがらの譲渡し・譲受け・所持(第52条) 7年以下の拘禁刑
麻薬特例法 業として行う不法輸入等(第5条) 無期又は5年以上の拘禁刑及び1,000万円以下の罰金
麻薬特例法 薬物犯罪収益等隠匿(第6条)、同収受(第7条) 10年以下・7年以下の拘禁刑又は罰金
麻薬特例法 規制薬物としての物品の輸入等(第8条) 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
麻薬特例法 規制薬物の濫用等のあおり・唆し(第9条) 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
刑法第2編第14章 あへん煙輸入等、あへん煙吸食器具輸入等(第136条以下) 各条の定めによる

実務上見落とされやすいのが麻薬特例法の第8条と第9条である。第8条は、規制薬物を輸入する意思で、実際には規制薬物でない物品を輸入した場合、いわゆるにせ薬物の事案を捕捉する規定であり、法定刑には罰金が含まれる。第9条は、規制薬物の濫用や薬物犯罪の実行を公然とあおり、唆した場合の規定で、交流サイトへの投稿が問題になることがある。いずれも麻薬特例法違反であるから、罰金の略式命令であっても第4号チに該当する。中身が本物の薬物でなかったから大丈夫だ、という理解は成り立たない。

3 対象となる薬物の名称と通称

依頼者の方は、法律上の名称ではなく通称でしか薬物を認識していないことが多い。取調べで用いられた呼称と、起訴状に書かれた名称が結び付かないまま手続が進むことは避けなければならない。主なものを対応させる。

法律上の分類と名称 主な通称
覚醒剤(メタンフェタミン、アンフェタミン) シャブ、エス、スピード、アイス、氷、冰毒、クリスタル
大麻(大麻草、大麻樹脂、大麻濃縮物)。令和6年12月12日以後は麻薬として扱われる マリファナ、ガンジャ、ハッパ、草、ウィード、ハシシ、大麻リキッド、ワックス
麻薬(コカイン) コーク、スノー、白い粉
麻薬(ヘロイン、ジアセチルモルヒネ) ペー、ジャンク
麻薬(MDMA、MDA) エクスタシー、X、タマ、バツ
麻薬(LSD) アシッド、ペーパー、紙
麻薬(ケタミン) ケタ、K
麻薬(モルヒネ、コデイン等の医療用麻薬) 処方薬の名称で呼ばれることが多い
向精神薬(フルニトラゼパム、エチゾラム、トリアゾラム等) ロヒプノール、サイレース、デパス、ハルシオン
あへん、けしがら アヘン、ポピー

令和5年12月13日公布の改正法により、令和6年12月12日から、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬に位置付けられた。これにより、従前は処罰規定のなかった大麻の使用が、同法第27条違反として第66条の2の対象になっている。テトラヒドロカンナビノールを含有するリキッドやグミ、ワックスも、大麻として同法の規制を受ける。

4 危険ドラッグ(指定薬物)は扱いが違う

ここは実務上決定的な違いが生じる点である。いわゆる危険ドラッグの多くは、医薬品医療機器等法第2条第15項の指定薬物として規制されており、同法違反の罪となる。亜硝酸イソブチルを含有する製品なども同様である。

そして、医薬品医療機器等法は、入管法第24条第4号チが列挙する六つの法令に含まれていない。第24条第4号の2が定める別表第一の在留資格者に関する特則も、刑法の一定の章と暴力行為等処罰に関する法律などを列挙するだけで、医薬品医療機器等法を含まない。

したがって、指定薬物に関する医薬品医療機器等法違反にとどまる場合、退去強制事由に当たるかどうかは第24条第4号リによって判断され、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑でなければ該当しないことになる。同じ薬物事件として括られていても、罪名がどちらに落ち着くかで在留への影響が根本的に変わる。捜査段階で成分の鑑定結果と罪名を正確に確認しておく実益は大きい。

もっとも、退去強制事由に該当しないことと、在留期間の更新が認められることとは別問題である。素行が善良であることは更新の判断要素であり、有罪判決を受けた事実が更新に影響することはある。

5 退去強制の効力が生じるのは判決の確定時である

第24条第4号チは有罪の判決を受けた者と定めており、確定した有罪判決を指すものと解されている。第5条第1項第9号の2が、判決の宣告と判決の確定とを明確に書き分けていることも、この理解を支える。

実務の流れとしては、判決の宣告を受けただけでは退去強制手続は本格化しない。控訴を申し立てれば判決は確定せず、控訴審の判決に対して上告を申し立てれば、上告審の結論が出るまで確定しない。刑事の上訴は、量刑や事実認定を争うための手続であると同時に、在留を巡る準備の時間を作る手続でもある。

あわせて押さえておくべき条文が三つある。第一に、入管法第62条第3項は、矯正施設の長に対し、刑期の満了などにより釈放されるときは直ちに通報しなければならないと定めている。実刑の場合、出所の場面で入管に引き継がれるのはこの規定による。第二に、第63条第1項は、刑事手続が進行中であっても退去強制手続を並行して行うことができるとし、同条第2項は、退去強制令書の執行は刑事手続の終了後にすると定める。第三に、第50条第3項により、退去強制令書が発付された後は在留特別許可の申請ができない。

したがって、時間を作ること自体には意味があるが、時間を何に使うかがすべてである。上訴期間中に在留の基礎となる事情を積み上げられなければ、確定を遅らせただけに終わる。また、在留期間が満了すれば第24条第4号ロの不法残留として別個に手続が始まりうるため、在留期限の管理は上訴中も欠かせない。

6 出国命令の制度は使えない

不法残留の事案では、自ら出頭して出国命令を受け、収容されないまま出国し、上陸拒否期間を1年にとどめる選択肢がある。しかし薬物事件では、この選択肢が制度上閉ざされている。

入管法第24条の3は、出国命令対象者の要件として、第2号で、第24条第4号ハからヨまでのいずれにも該当しないことを求めている。薬物の第4号チはこのハからヨまでの範囲に含まれるため、薬物で有罪判決を受けた者は出国命令の対象から外れる。結果として、退去強制手続を経ることになり、上陸拒否期間は退去強制歴がなければ5年、あれば10年となる。

7 一度でも刑に処せられると、上陸拒否に期間の定めがない

もう一つ、見過ごされがちな条文がある。入管法第5条第1項第5号は、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者を、上陸拒否事由として掲げている。

この号には期間の定めがない。同項第9号の上陸拒否期間が退去の日から1年、5年、10年と定められているのとは構造が異なり、第5号は、刑に処せられた事実がある限り、その後何年経過しても上陸拒否事由に該当し続ける。執行猶予付きの判決も、罰金の略式命令も、刑に処せられたことに変わりはない。外国の法令に違反した場合も含まれる。

救済の余地がまったくないわけではない。第5条の2は、法務大臣が相当と認めるときは第5号のみによっては上陸を拒否しないこととすることができると定め、第12条第1項第3号は、上陸の特別許可の制度を置いている。しかし、いずれも法務大臣の裁量的な判断であり、当然に認められるものではない。

この点は、いったん日本を出るという選択の重さを決定づける。薬物事件の場合、帰国して出直すという発想が通用しにくい。だからこそ、日本に生活の基盤がある方にとっては、在留特別許可によって在留を維持できるかどうかが、事実上一度きりの機会になる。

8 残された手段は在留特別許可のみである

退去強制事由に該当する外国人が日本に在留を続けられる法的な道は、入管法第50条の在留特別許可に限られる。同条第1項は、永住許可を受けているとき、かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき、人身取引等により他人の支配下に置かれているとき、難民又は補完的保護対象者の認定を受けているとき、その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときに、申請により又は職権で在留を特別に許可することができると定める。薬物事件の多くは、この第5号によることになる。

手続の時期には注意が必要である。第50条第2項により、在留特別許可の申請ができるのは、収容令書により収容された外国人と、監理措置決定を受けた外国人である。それ以前の段階では、法務大臣の職権発動を求める活動という位置付けになる。第3項により退去強制令書の発付後は申請できず、第4項により、認定や判定に服し、又は異議の申出に理由がないと裁決された後でなければ許可はできない。第10項により、不許可の場合には理由を付した書面が交付される。

ここで、薬物事件の依頼者にとって重要な条文の読み方を一つ挙げておく。第50条第1項ただし書は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者と、第24条第3号の2、第3号の3、第4号ハ、第4号オからヨまでに該当する者について、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があるときに限る、という加重要件を課している。

薬物の第4号チは、この加重要件の列挙に含まれていない。つまり、執行猶予付きの判決であれば、加重要件は働かず、第50条第1項本文の通常の判断枠組みで審査される。これに対し、実刑で1年を超える拘禁刑に処せられた場合は、刑の重さを理由にただし書の加重要件が働き、判断の水準が一段上がる。執行猶予か実刑かは、退去強制事由への該当という入口では差を生まないが、在留特別許可の判断枠組みという出口では明確な差を生む。

9 在留特別許可の一般論と、判断の中心にある定着性

入管法第50条第5項は、判断に当たり、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を考慮するほか、内外の諸情勢や不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮するものと定める。出入国在留管理庁の在留特別許可に係るガイドラインは、令和6年3月に改定されている。

これらを実務の感覚に引き直すと、判断の中心にあるのは定着性である。日本社会にどれだけ生活の基盤が根を下ろしているか、その基盤を断つことがどれだけ不合理かが問われる。ガイドラインは、家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性を積極要素として明示し、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けている事情を積極要素として挙げている。

一般論として言えば、日本の小学校、中学校、高等学校を卒業し、前科前歴がないという方であれば、在留特別許可が認められる典型的な例と考えてよい。生活の実体も、言語も、人間関係も日本にしかない方を退去させることの不合理は明白だからである。

薬物事件の依頼者は、この典型例に、素行という消極要素が加わった位置に立つことになる。ガイドラインは刑罰法令違反を消極要素として挙げており、薬物事犯であることは軽くない。したがって、定着性の側をどれだけ具体的に立証できるかが結論を左右する。在学証明や卒業証明、家族の陳述、就労と納税の記録、地域社会との関わりを示す資料を、抽象的な主張ではなく個別の事実として積み上げる作業になる。

数字の感覚も持っておきたい。出入国在留管理庁の公表によれば、令和7年中に退去強制手続等を執った外国人は1万8,442人で、そのうち不法残留が1万7,031人、刑罰法令違反が503人である。同じ年に在留特別許可の申請を許可した件数は1,026件であった。分母と分子の性質が異なるため単純な許可率としては読めないが、許可が例外的な判断であることは押さえておく必要がある。

なお、特別永住者の方は扱いが異なる。入管法特例法第22条第1項により、特別永住者の退去強制は、内乱や外患に関する罪、国交に関する罪、外国の元首等に対する犯罪行為、無期又は7年を超える拘禁刑に処せられ法務大臣が日本国の重大な利益が害されたと認定した場合に限られる。薬物事件で執行猶予付きの判決を受けたことによって退去強制されることはない。

10 結論は刑事弁護の段階で決まる

ここまでの整理から導かれる実務上の帰結は明快である。在留を守るための勝負は、入管の手続に入ってからではなく、刑事手続の段階で始まっている。

第一に、不起訴処分であれば有罪の判決が存在しないから、第24条第4号チに該当しない。薬物事件では自白が事実上の決め手になりやすいが、所持や使用の認識、共犯者との関係、押収手続の適法性など、争える論点は事案ごとに存在する。外国人事件では、取調べで通訳を介したやり取りが調書になるため、被疑者が述べていない認識が調書に固定される危険がある。捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者本人のために動く通訳を確保する意味はここにある。

第二に、罪名がどの法令に落ち着くかを注視する必要がある。指定薬物として医薬品医療機器等法違反にとどまるのか、成分の鑑定により麻薬に該当するとされるのかで、退去強制事由への該当が分かれる。

第三に、量刑段階では、執行猶予の獲得と並行して、在留特別許可を見据えた事実を記録に残しておくことが有益である。家族関係、就学歴、就労状況、再犯防止のための具体的な措置は、刑事の情状であると同時に、その後の在留特別許可の判断における積極要素そのものである。刑事弁護と入管手続を切り離さず、一つの流れとして設計することが求められる。

第四に、在留期限の管理である。刑事手続の途中で在留期間が満了すれば、薬物とは別に不法残留の問題が生じ、選択肢がさらに狭まる。

11 よくあるご質問

Q1 執行猶予の判決を受けました。日本に残れる可能性はありますか。

可能性はあります。執行猶予でも入管法第24条第4号チの退去強制事由には該当しますが、第50条第1項ただし書の加重要件は働かないため、在留特別許可は通常の判断枠組みで審査されます。日本での生活の基盤がどれだけ具体的に立証できるかが中心になります。

Q2 控訴すれば退去強制を止められますか。

止めるというより、判決の確定を先に延ばすことになります。第24条第4号チの有罪の判決は確定した判決を指すと解されており、確定しなければ同号による手続は本格化しません。ただし在留期間が満了すれば不法残留として別の手続が始まりうるため、期限の管理は必要です。

Q3 罰金だけで終わった場合も退去強制事由になりますか。

なります。第24条第4号チは刑の種類を要件としていません。麻薬特例法第8条や第9条のように罰金刑が定められている罪について略式命令を受けた場合も、有罪の判決を受けた者に当たります。

Q4 危険ドラッグでも同じですか。

異なります。指定薬物に関する医薬品医療機器等法違反は第24条第4号チの列挙に含まれていないため、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑でなければ、同条第4号リによる退去強制事由には該当しません。もっとも、在留期間の更新に影響する可能性はあります。

Q5 一度帰国して、あらためて日本に来ることはできますか。

薬物の場合は困難です。入管法第5条第1項第5号は、薬物取締法令に違反して刑に処せられたことのある者を、期間の定めなく上陸拒否事由としています。第5条の2や第12条による例外の余地はありますが、いずれも法務大臣の裁量による判断です。

Q6 永住者ですが、薬物事件でも退去強制されますか。

永住者も第24条第4号チの対象です。永住許可を受けていることは第50条第1項第1号として在留特別許可の考慮事由になりますが、退去強制事由への該当自体は免れません。これに対し、特別永住者の方は入管法特例法第22条第1項により退去強制事由が限定されており、薬物事件はその中に含まれていません。

12 結語

薬物事件は、刑の重さでは測れない形で在留に直結する。執行猶予という結論に安心して入管の手続を待ってしまうと、収容令書の発付を受けてから初めて事の重さに気づくことになりかねない。逆に、刑事の初動から在留を見据えて設計すれば、不起訴、罪名の選択、情状の記録、そして在留特別許可の申請までを一つの線としてつなぐことができる。

当事務所では、松村大介弁護士が、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般にわたってご利用いただけます。外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、外国人事件に注力してきた当事務所にご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、結果を保証するものではありません。個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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