就労資格証明書とは|転職の際に行える仕事の範囲を確かめる任意の制度
2026/09/04
就労資格証明書とは、日本に在留する外国人が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書として、本人の申請に基づいて交付される証明書をいう。取得は義務ではなく、交付を受けていないことを理由に不利益な取扱いをしてはならないとされている。
この記事の要点
- 就労資格証明書は、行える仕事の範囲を公的に確かめておくための任意の制度である。
- 転職の際に、新しい職務が在留資格に当たるかを事前に確認できる。
- 雇う側にとっても、確認をしたことを示す資料になる。
- 交付されても、次回の在留期間更新が保証されるわけではない。
- 転職時には、契約機関に関する届出を14日以内に行う義務がある。
就労資格証明書とは何か
就労資格証明書とは、現在の在留資格でどのような報酬活動ができるのかを、入管が証明する文書である。在留カードには在留資格の名称と就労の可否は記載されるが、具体的にどの職務までが認められるのかまでは書かれていない。そこで、本人の申請により、行える活動の範囲を確かめておく仕組みが設けられている。転職に際して、新しい勤務先での職務が現在の在留資格の範囲に収まるかどうかを、更新の時期を待たずに確認できる点に意味がある。
何のために取得するか
次回の在留期間更新の際に生じうる食い違いを、あらかじめ避けるためである。転職後に職務内容が在留資格に当たらないと判断されると、その間の活動が問題とされ、更新が認められないおそれがある。証明書の交付を受けておけば、少なくとも申請時点の職務については在留資格の範囲内であることが確かめられる。雇用する側にとっても、確認を尽くしたことを示す資料になり、不法就労助長罪の問題を避けることにつながる。
転職したときに必要な手続は何か
届出は義務、証明書は任意という区別を押さえておく必要がある。転職に伴う手続を整理すると次のとおりである。
| 手続 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 契約機関に関する届出 | 所属する機関が変わったことを入管に届け出る | 変更から14日以内。義務である |
| 就労資格証明書の交付申請 | 新しい職務が在留資格に当たることを確認する | 任意。転職後速やかに |
| 在留資格変更許可の申請 | 職務が現在の在留資格に当たらない場合に必要となる | その職務を始める前に |
| 在留期間更新許可の申請 | 期間の満了に際して改めて審査を受ける | 満了日のおおむね3か月前から |
就労資格証明書の申請はどう行うか
住居地を管轄する地方出入国在留管理局に申請する。申請に当たっては、新しい勤務先との雇用契約書、職務内容を説明する資料、勤務先の登記事項証明書や決算文書などを提出することが一般的である。交付には手数料が必要とされている。審査には一定の期間を要するため、在留期間の満了が近い場合には、更新の申請と時期が重ならないよう注意が必要である。
就労資格証明書がなくても働けるか
働ける。現在の在留資格で認められた活動の範囲内であれば、証明書がなくても就労は適法である。入管法上も、証明書の交付を受けていないことを理由として不利益な取扱いをしてはならないとされている。したがって、証明書の提出を採用の絶対の条件とすることは、この趣旨に沿わない。もっとも、職務が在留資格の範囲を超えていれば、証明書の有無にかかわらず資格外活動の問題が生じる。
就労資格証明書と在留資格変更許可・在留期間更新許可は何が違うか
証明書は現状を確かめるものであり、他の二つは在留の内容そのものを変える処分である。
| 項目 | 就労資格証明書 | 在留資格変更許可 | 在留期間更新許可 |
|---|---|---|---|
| 性質 | 任意の証明 | 申請に対する処分 | 申請に対する処分 |
| 効果 | 行える活動の範囲を示す | 在留資格が変わる | 在留期間が延びる |
| 取得しない場合 | 不利益な取扱いは禁じられている | 資格外活動などの問題が生じる | 在留の根拠を失う |
交付されない場合はどうなるか
新しい職務が現在の在留資格に当たらないと判断された可能性を検討することになる。この場合、そのまま働き続ければ資格外活動の問題が生じ、次回の更新にも影響する。対応としては、在留資格変更許可を申請する、職務内容を在留資格の範囲に見直す、別の受入先を探すといった方法が考えられる。いずれにせよ、在留期間の満了までにどの手続を選ぶかを決めておく必要がある。
外国人の刑事事件や在留資格の問題で就労資格証明書が関わるのはどのような場面か
資格外活動や不法就労助長が疑われた場面で、確認の経過を示す資料として意味を持つ。雇用主が摘発された事案では、在留カードの確認だけでなく、職務内容が在留資格の範囲内かどうかを確かめていたかが問われることがある。働く側にとっても、証明書の交付を受けていた事実は、その職務が認められる範囲であると信じたことの裏づけになりうる。刑事事件の弁護においても、こうした資料の有無が説明の説得力を左右する。
関連する語として、資格外活動許可、在留期間更新許可、在留カードも併せてご覧ください。
よくあるご質問
Q1 就労資格証明書がないと働けませんか。
そのようなことはありません。取得は義務ではなく、証明書を持っていないことを理由に不利益な取扱いをしてはならないとされています。あくまで、行える活動の範囲をあらかじめ確認しておくための制度です。
Q2 転職したら、まず何をすればよいですか。
契約機関に関する届出を14日以内に行ってください。そのうえで、新しい職務の内容が現在の在留資格に当たるかどうかを確認し、必要に応じて就労資格証明書の交付申請や在留資格の変更を検討します。
Q3 就労資格証明書が交付されれば、次回の更新は確実ですか。
確実とはいえません。証明書は、その時点で行える活動の範囲を示すものであり、将来の更新を保証するものではありません。更新の審査では、素行や納税など他の事情も併せて判断されます。
Q4 交付されなかった場合はどうなりますか。
新しい勤務先での職務が現在の在留資格に当たらないと判断された可能性があります。その場合は、在留資格の変更を申請するか、職務内容を見直すかを検討する必要がありますので、早めにご相談ください。
Q5 会社から就労資格証明書の提出を求められました。応じなければなりませんか。
提出は義務ではありません。もっとも、雇う側は不法就労助長罪を避けるために確認を求めることがあります。証明書があれば説明が容易になりますので、取得しておく実益はあります。
おわりに
就労資格証明書は任意の制度であるため、取得しないまま転職し、次の更新の際に初めて職務内容が問題になるという例が見られる。数か月から数年後に、当時の働き方をさかのぼって説明することは容易ではない。転職の時点で確認しておけば済んだはずのことが、在留の可否を左右する争点になってしまう。仕事が変わるときは、在留資格との関係を一度確かめていただきたい。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
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