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領置とは|任意に提出した物の押収と還付・仮還付・仮領置の違い

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領置とは|任意に提出した物の押収と還付・仮還付・仮領置の違い

領置とは|任意に提出した物の押収と還付・仮還付・仮領置の違い

2026/09/04

領置とは、捜査機関が、遺留された物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物について、令状によらずにその占有を取得する処分をいう。差押えと同じく押収の一種であるが、相手方の意思に反して強制的に取り上げるものではない点で差押えと異なる。なお、留置施設や刑事施設が被収容者の金品を保管することも領置と呼ばれており、同じ語が二つの意味で用いられている。

この記事の要点

  • 捜査手続における領置は、任意提出又は遺留を前提とするため、令状を必要としない。
  • いったん領置されると、その後は捜査機関の占有下に置かれ、任意に取り戻すことはできない。
  • 留置の必要がなくなった物は還付され、必要な物は仮還付を求めることができる。
  • 収容の際に施設が金品を預かることも領置と呼ばれ、こちらは処遇上の措置である。
  • 押収に関する処分に不服があるときは、刑訴法430条の準抗告によって争う。

領置とは何か

領置は、令状を用いずに物の占有を取得することができる押収の類型である。捜査機関は、被疑者その他の者が遺留した物、又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物を領置することができるとされている。任意の提出が出発点であるため令状は不要であるが、いったん領置された後は捜査機関の占有下に置かれ、提出した者が自由に取り戻すことはできない。この点で、単に見せただけの状態とは法的な意味が大きく異なる。任意提出書と領置調書が作成されるのが通常である。

領置と差押えは何が違うか

物の占有を取得する点は共通し、令状の要否と相手方の意思の扱いが異なる。いずれも押収であるから、いったん占有が移った後の還付、仮還付、不服申立てについては同じ規律に服する。

項目領置差押え
令状不要原則として必要
取得の前提任意提出又は遺留相手方の意思に反してもよい
取得後の占有捜査機関の占有。取り戻すには還付の手続が必要同左
不服申立て刑訴法430条の準抗告同左

領置された物はいつ返してもらえるか

留置の必要がなくなったときに還付されるのが原則である。押収した物で留置の必要がないものは、事件の終結を待たずに還付しなければならないとされており、所有者などの請求があれば仮還付をすることもできる。仮還付は、所有権を確定的に戻すものではなく、捜査上必要になれば再び提出を求められる前提で、一時的に返還する扱いである。実務では、生活や仕事に不可欠な物、たとえば業務用の車両、営業に使う機器、在留に関する書類などについて、必要性を具体的に説明して仮還付を求めることになる。還付を受ける権利を放棄する書面に安易に署名すると、その物は戻らなくなるため注意を要する。

留置施設における領置とは何か

こちらは捜査ではなく処遇上の措置であり、施設が被収容者の金品を預かって保管することをいう。逮捕されて留置施設に収容されると、現金、衣類、時計、指輪などの所持品は施設が領置し、居室に持ち込める物は制限される。領置された現金からは、日用品の購入や書籍の代金の支払をすることができる。釈放されるときに、領置されていた金品は返還される。差入れによって外部から届いた物のうち、本人に交付されないものを施設が一時的に保管する扱いは仮領置と呼ばれ、これも処遇上の措置である。

領置に不服がある場合はどうするか

捜査手続における領置については、裁判所に対する準抗告によって争う。検察官、検察事務官又は司法警察職員がした押収に関する処分に不服がある者は、刑訴法430条により、その処分の取消し又は変更を請求することができる。還付の請求をしたのに応じられない場合も、この手続によることになる。これに対し、施設が処遇として行う領置や仮領置に不服があるときは、刑事収容施設法の不服申立て、すなわち審査の申請や苦情の申出によることになり、系統が異なる。どちらの意味の領置が問題になっているのかを最初に切り分けることが大切である。

外国人の事件で領置が問題になるのはどのような場面か

身分に関する書類と通信機器の扱いが、日本人の事件よりも重い意味を持つ。旅券や在留カードが領置されると、在留期間の更新や変更の申請、住居の契約、就労の継続に支障が生じる。写しの交付を求め、あるいは仮還付を求めて、手続を止めないようにする必要がある。携帯電話は、本国の家族や勤務先との唯一の連絡手段であることが多く、領置によって連絡が完全に途絶えることがある。また、不法就労によって得たとされる現金が領置され、後に没収や追徴の対象として扱われる場面もあるため、当該現金の出所を説明できる資料を早い段階で整えておくことが重要である。

よくあるご質問

Q1 領置された携帯電話はいつ返してもらえますか。

捜査上必要がなくなった時点で還付されるのが原則ですが、実際には事件が終わるまで返還されないことが多いです。生活や仕事に必要であることを具体的に説明して仮還付を求める方法がありますので、弁護人にご相談ください。

Q2 在留カードやパスポートを領置されると、在留の手続はどうなりますか。

更新や変更の申請に支障が生じますので、写しの交付や仮還付を求めることになります。在留カードは常時携帯が義務付けられていますが、捜査機関に領置されている間は、その事実を説明できるようにしておく必要があります。

Q3 所有権を放棄すれば早く帰れますか。

所有権放棄書に署名しても身体拘束の期間が短くなるわけではありません。放棄すると物は返ってきませんので、内容を理解しないまま署名しないでください。署名を求められたときは、まず弁護人に相談してください。

Q4 領置に納得できないときは争えますか。

捜査機関がした押収に関する処分については、刑訴法430条により、その取消し又は変更を求める準抗告を裁判所に申し立てることができます。還付の請求をしても応じられない場合も同様です。

Q5 留置場で預けたお金は使えますか。

領置されている現金から、日用品の購入や書籍の代金などに充てることができます。手続は施設の窓口を通じて行い、残額は釈放の際に返還されます。

関連する用語として、苦情の申出一般面会被疑者ノートもあわせてご確認ください。

おわりに

領置は、任意に差し出したという外形をとりながら、その後の返還は捜査機関の判断に委ねられる。生活や在留の手続に必要な物であればあるほど、早い段階で仮還付を求める意味がある。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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