差入れとは|差し入れできる物と窓口での手続、断られたときにできること
2026/09/04
差入れとは、留置施設や刑事施設に収容されている者に対し、外部の者が現金や物品を交付することをいう。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律に基づき、施設の規律及び秩序の維持などの観点から、差し入れられる物の種類や数量には制限が設けられている。
この記事の要点
- 差し入れられるのは現金、衣類、書籍などであり、食品や飲料は原則として認められない。
- 差入れは施設の検査を受け、規律及び秩序の維持などの観点から制限されることがある。
- 接見等禁止の決定が付くと物の授受も禁じられうるが、糧食の授受は禁じられない。
- 差し入れた現金は領置金として管理され、日用品や書籍の購入に充てられる。
差入れとは何か
差入れとは、収容されている人に対して外部から現金や物品を届けることをいう。留置施設や拘置所での生活では、身の回りの品を自分で買いに行くことができない。そのため、家族や弁護人が届ける差入れが、生活を支える手段になる。
もっとも、何でも自由に届けられるわけではない。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律は、施設の規律及び秩序の維持や、被収容者の処遇上の必要から、物品の授受を制限し、また検査することを認めている。
何を差し入れることができるか
現金、衣類、書籍が中心である。飲食物や電子機器は認められない。細かな運用は施設によって異なるため、事前の確認が必要になる。
| 区分 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現金 | 領置金として管理される | 上限が定められていることがある |
| 衣類 | 下着、靴下、上着など | ひもや金具の付いたものは認められないことがある |
| 書籍 | 書籍、雑誌、辞書 | 手元に置ける数に制限がある |
| その他 | 眼鏡、写真など | 枚数や種類に制限がある |
| 認められない物 | 食品、飲料、たばこ、電子機器、刃物類 | 窓口で受け付けられない |
差入れの手続はどう進むか
施設の窓口で受付をする。平日の日中に限られていることが多く、身分を確認できる書類の提示と、差入票への記入を求められる。届けられた物は職員の検査を経て本人に渡されるため、その場で本人の手元に届くわけではない。
郵送による差入れを受け付けている施設もあるが、対象となる物は限られる。遠方にお住まいのご家族の場合は、事前に施設へ確認するか、弁護人を通じて手配することをお勧めする。
差入れが制限されるのはどのような場合か
施設の規律及び秩序を害するおそれがある場合や、罪証隠滅につながるおそれがある場合である。物品そのものが危険な場合だけでなく、書き込みのある書籍のように、外部との連絡の手段になりうる物も制限される。
さらに、刑訴法81条に基づく接見等禁止の決定が付されている場合には、弁護人以外の者との間で書類その他の物を授受することが禁じられることがある。ただし、同条は糧食の授受を禁じることはできないと定めている。信書の発受についても、これとは別に定めがある。
現金の差入れはどのように使われるか
差し入れられた現金は領置金として施設が管理し、本人の請求に基づいて、日用品や書籍、便箋や切手の購入に充てられる。石けんや下着のように、衣類として差し入れるより購入したほうが早い物もある。
他方で、領置金を示談金や罰金の支払に充てることは通常できない。示談の資金は、ご家族から弁護人の預り金として送金していただくのが一般的である。
差入れを断られたときはどうすればよいか
まず、断られた理由を確認することである。物品の種類による制限なのか、数量の制限なのか、接見等禁止の決定によるものなのかによって、取りうる手段が異なる。
接見等禁止の決定が理由である場合には、裁判所に対してその一部の解除を申し立てる、あるいは準抗告を申し立てるという方法がある。施設の運用による制限である場合には、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律に基づく苦情の申出を検討する。いずれの場合も、いつ、何を、誰が断られたのかを記録に残しておく必要がある。
外国人の事件で差入れが問題になるのはどのような場面か
ご家族が国外にいる場合、差入れの手段が限られることが問題になる。窓口での差入れができず、郵送に頼らざるをえないが、国外からの郵送には日数がかかる。現金についても、海外からの送金を本人に届けることは容易ではなく、国内の知人や弁護人を介する必要が生じる。
また、外国語の書籍や辞書は、内容の確認に時間を要し、本人の手元に届くまで日数がかかることがある。宗教上の理由による物品についても、施設ごとに取扱いが異なる。何が必要かは接見でなければ分からないことが多いため、通訳を伴う接見の際に具体的に確認しておくことが実際的である。
よくあるご質問
Q1 食べ物や飲み物を差し入れられますか。
原則としてできません。食事は施設から支給され、自分の費用で購入できる物品も施設が定めた範囲に限られています。手作りの食品や市販の飲料を持ち込むことは、衛生や安全の観点から認められていません。
Q2 現金はいくらまで差し入れできますか。
上限は施設によって異なります。差し入れた現金は領置金として管理され、日用品や書籍、切手などの購入に充てられます。示談金や罰金の支払に充てることは通常できません。
Q3 郵送で差し入れできますか。
施設によって取扱いが異なります。書籍や現金については郵送を受け付けている施設もありますが、衣類は窓口に限るという運用もあります。遠方にお住まいの場合は、事前に施設へ確認していただくのが確実です。
Q4 本は何冊まで差し入れできますか。
手元に置ける数に上限があるため、一度に多くを差し入れても保管されるだけになることがあります。冊数の上限は施設によって異なりますので、必要なものから順に差し入れるのがよいと思われます。
Q5 外国語の本や辞書は差し入れできますか。
差し入れ自体はできますが、内容の確認に時間がかかり、本人の手元に届くまで日数を要することがあります。辞書は認められることが多い一方、事件に関わる内容を含む書籍は制限されることがあります。
おわりに
差入れは、外の生活とのつながりを保つ数少ない手段である。何が認められるかは施設によって差があり、断られた理由が本人にも家族にも分からないまま終わることがある。理由を確かめ、記録に残すところから対応が始まる。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
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