永住許可とは|三つの要件と原則10年の在留、特例と不許可後の対応
2026/09/04
永住許可とは、在留期間の制限を受けずに日本に在留することを認める許可をいう。入管法22条は、永住許可の要件として、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることを定めている。
この記事の要点
- 永住者には在留期間の定めがなく、就労の制限もない。
- 要件は素行善良、独立生計、国益適合の三つであり、ガイドラインが判断基準を示している。
- 国益適合要件として、原則10年以上の継続在留が求められる。
- 配偶者や実子、定住者、高度専門職については在留年数の特例がある。
- 永住者であっても退去強制事由に該当すれば退去強制の対象となる。
永住許可とは何か
永住許可とは、在留期間の更新を繰り返す必要がなくなり、活動の内容にも制限を受けない地位を認めるものである。就職や転職、起業の自由度が高まり、住宅ローンの審査などでも有利に働くことが多い。生活の安定という点で、外国人にとって最も重要な在留資格である。
もっとも、永住許可を受けても日本国籍を取得するわけではない。あくまで在留資格の一つであり、退去強制事由に該当すれば退去強制の対象となる。日本を出国する際には再入国許可またはみなし再入国許可が必要であり、在留カードの有効期間の更新も必要である。
永住許可の要件は何か
結論として、素行善良、独立生計、国益適合の三つであり、それぞれの内容はガイドラインが具体化している。
| 要件 | 主な内容 |
|---|---|
| 素行が善良であること | 法令を遵守し、住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること |
| 独立の生計を営むに足りる資産又は技能 | 公共の負担とならず、将来にわたり安定した生活が見込まれること |
| 国益に合すること | 原則10年以上の継続在留、公的義務の履行、最長の在留期間での在留、公衆衛生上の観点 |
各要件の詳細は、素行が善良であることおよび独立生計要件の解説を参照されたい。日本人、永住者または特別永住者の配偶者および子については、素行要件と独立生計要件は求められない。
原則10年の在留はどのように数えるか
結論として、引き続き10年以上日本に在留していることが必要であり、そのうち就労資格または居住資格をもって5年以上在留していることが求められる。
ここでいう引き続きとは、在留資格が途切れていないことをいう。出国していた期間があっても、再入国許可またはみなし再入国許可により在留資格を維持していれば、通算は途切れないのが原則である。もっとも、長期間の出国が繰り返されている場合には、生活の本拠が日本にあるといえるかが問われる。
留学から就労資格に移った場合、留学期間も在留期間として算入されるが、就労資格での5年という部分は別に満たす必要がある。この点を誤解して申請時期を早まる例が多い。
在留年数の特例にはどのようなものがあるか
結論として、日本人等の配偶者や実子、定住者、難民として認定された者、高度専門職の者については、10年を待たずに申請できる場合がある。
| 類型 | 在留年数の目安 |
|---|---|
| 日本人、永住者または特別永住者の配偶者 | 実体を伴う婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上在留 |
| 日本人、永住者または特別永住者の実子等 | 引き続き1年以上在留 |
| 定住者 | 定住者となってから引き続き5年以上在留 |
| 難民の認定を受けた者 | 認定後、引き続き5年以上在留 |
| 高度専門職に該当する活動を行う者 | ポイントに応じて3年または1年 |
特例に当たる場合でも、他の要件を満たす必要がある点は変わらない。婚姻の実体がない場合には、年数を満たしていても許可されない。
永住許可の手続と期間はどのくらいか
結論として、地方出入国在留管理局に申請し、標準処理期間は4か月とされているが、実際にはこれを超えることが多い。
申請には、身元保証書、住民票、課税証明書および納税証明書、年金や健康保険の納付状況を示す資料、理由書などを添える。審査中に在留期間が満了する場合は、別途、在留期間の更新申請をしておく必要がある。永住許可の申請をしていることは、在留期間の更新を不要とする理由にはならない。
なお、令和6年の法改正により、永住者について公的義務の不履行等を理由とする在留資格の取消しに関する規定が設けられた。施行の時期や運用の詳細は今後の政令等によることとなるため、最新の情報を確認する必要がある。
永住許可が不許可になるとどうなるか
結論として、現在の在留資格のまま在留を続けることになり、事情を整えたうえで再申請することができる。
不許可となった場合、その理由について説明を受けられる運用がされている。理由が納税や社会保険料の未納であれば、納付を済ませ、一定期間の履行実績を積んでから再申請することが考えられる。理由が在留年数の不足であれば、年数を満たしてから申請することになる。理由を確かめないまま短期間で再申請しても、同じ結論になりやすい。
外国人の刑事事件は永住許可にどう影響するか
結論として、罰金であっても素行要件との関係で不利に働き、申請の時期を大きく後ろにずらすことになる。
拘禁刑の実刑判決を受けた場合は、退去強制事由に該当することもある。執行猶予付きの判決であっても、猶予期間の満了後さらに一定期間を経なければ素行要件を満たさないとされる。したがって、外国人の刑事弁護では、まず不起訴処分を目指し、これが難しい場合でも処分の軽減を図ることが、その後の在留に直結する。
また、勾留が長引いて失職すれば、独立生計要件にも影響が及ぶ。刑事手続の初期段階から、在留への影響を踏まえた方針を立てることが重要である。
よくあるご質問
Q1 永住許可を受ければ在留カードは不要になりますか。
不要にはなりません。永住者にも在留カードが交付され、有効期間が定められています。有効期間が満了する前に更新の申請をする必要があります。
Q2 永住者でも退去強制されることがありますか。
あります。永住者も在留資格の一つですので、退去強制事由に該当すれば手続の対象となります。日本国籍を取得した場合とは異なる点にご注意ください。
Q3 審査にはどのくらいかかりますか。
標準処理期間は4か月とされていますが、実際にはこれを超えることが少なくありません。審査中に在留期間が満了する場合は、別途、更新の申請をしてください。
Q4 不許可になった理由を教えてもらえますか。
不許可の理由について説明を受けられる運用がされています。理由を確認しないまま再申請しても同じ結論になりやすいため、必ず確認してください。
Q5 永住許可と帰化は何が違いますか。
永住許可は在留資格であり、国籍は元のままです。帰化は日本国籍を取得する手続で、原則として元の国籍を離れることになります。手続の所管も入管と法務局とで異なります。
おわりに
永住許可は、生活の安定という点で大きな意味を持つ一方、要件の一つでも欠ければ不許可となる。とりわけ刑事処分と公的義務の未納は、時間の経過を待たなければ回復しにくい。申請の時期そのものが結論を左右するため、早い段階で見通しを立てておきたい。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
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