みなし再入国許可とは|1年以内の再入国に許可申請が要らなくなる制度
2026/09/04
みなし再入国許可とは、有効な旅券と在留カードを持つ中長期在留者等が、出国の際に意思表示をすることにより、再入国許可を受けたものとみなされる制度をいう。平成24年7月の新しい在留管理制度の開始に伴って設けられた仕組みであり、出国後1年以内(特別永住者は2年以内)に再入国する場合に限って利用することができる。あらかじめ地方出入国在留管理局へ再入国許可の申請をする必要がなく、手数料もかからない。
この記事の要点
- 出国後1年以内に再入国する場合に使え、特別永住者のみ2年以内とされている。
- 出国の際に再入国出国用の記録カードで意思を表示し、在留カードを提示する必要がある。
- 在留期間の満了日が出国後1年以内に来るときは、その満了日までに再入国しなければならない。
- 海外で期間を延長することはできず、期限までに戻らなければ在留資格を失う。
- 在留資格の取消手続中の者など、制度を利用できない者が定められている。
みなし再入国許可とは何か
みなし再入国許可とは、短期間の出国について事前の申請を不要とした簡易な仕組みである。在留資格を持つ外国人が日本から出国すると原則としてその在留資格は失われるため、従来は出国前に再入国許可を受けておく必要があった。もっとも、一時帰国や短期の出張のたびに申請を求めるのは負担が大きい。そこで入管法上、有効な旅券と在留カードを所持する中長期在留者等については、出国の際に再入国の意思を表示すれば、再入国許可を受けたものとみなす取扱いが定められている。
対象となるのは、中長期在留者のほか特別永住者などであり、帰省、親族の冠婚葬祭、短期の出張、観光旅行といった一時的な出国が典型的な利用場面である。
みなし再入国許可を利用できるのはどのような人か
結論として、有効な旅券と在留カードを所持し、出国時に意思を表示できる中長期在留者等が対象である。利用できる期間は身分によって異なる。
| 対象者 | 必要な携帯書類 | 再入国までの期間 |
|---|---|---|
| 中長期在留者(就労資格・留学・家族滞在・永住者等) | 有効な旅券と在留カード | 出国の日から1年以内 |
| 特別永住者 | 有効な旅券と特別永住者証明書 | 出国の日から2年以内 |
| 在留カードとみなされる外国人登録証明書を持つ者 | 有効な旅券とその証明書 | 出国の日から1年以内 |
他方で、在留資格の取消手続中の者、出国確認の留保の対象となっている者、難民旅行証明書の交付を受けて出国しようとする者などは、この制度を利用することができない。
みなし再入国許可の手続はどう進むか
結論として、出国審査の場で再入国出国用の記録カードにチェックを入れ、在留カードとともに提示するだけで足りる。事前の申請も手数料も不要である。
空港では、出国審査の前に置かれている再入国出国用のカードに氏名等を記入し、みなし再入国許可による出国を希望する旨の欄にチェックを入れ、入国審査官に旅券と在留カードを提示する。チェックを入れ忘れたまま出国審査を通過すると、みなし再入国許可による出国として扱われないおそれがあり、出国後に是正を求めることは容易ではない。
みなし再入国許可の有効期間はどのくらいか
結論として、出国の日から1年(特別永住者は2年)であるが、在留期間の満了日がそれより先に来る場合は満了日までとなる。
例えば、在留期間の満了日が令和8年3月1日である者が令和7年10月1日に出国した場合、1年後ではなく令和8年3月1日までに再入国しなければならない。この点を一律に1年間と誤解して滞在を延ばし、在留資格を失う例は少なくない。
また、みなし再入国許可には期間の延長という制度がない。病気や航空便の欠航などのやむを得ない事情があっても、期限が延びることは原則としてない。長期の滞在が見込まれるときは、出国前に通常の再入国許可を取得しておくべきである。
期限までに再入国できないとどうなるか
結論として、在留資格は消滅し、あらためて査証を取得して新規に入国し直すほかない。
在留資格が失われると、それまでの在留期間は原則として通算されず、永住許可の要件である継続在留年数の計算にも影響する。就労資格であれば在留資格認定証明書の交付申請からやり直すことになり、再来日までに数か月を要することもある。期限に間に合わないおそれが生じた時点で、早期に相談することが望ましい。
みなし再入国許可と再入国許可は何が違うか
結論として、申請の要否、期間の長さ、延長の可否、対象者の範囲が異なる。使い分けの目安は次の表のとおりである。
| 比較項目 | みなし再入国許可 | 再入国許可(通常) |
|---|---|---|
| 事前の申請 | 不要(出国時の意思表示のみ) | 必要(地方出入国在留管理局へ申請) |
| 手数料 | 不要 | 必要(1回限りのものと数次のものとで異なる) |
| 有効期間 | 1年以内(特別永住者は2年以内) | 最長5年(特別永住者は6年)の範囲で許可される期間 |
| 在外での延長 | できない | 在外公館で延長できる場合がある |
| 在留期間との関係 | 在留期間の満了日を超えられない | 在留期間の満了日を超えられない |
1年を超える海外赴任や、帰国の時期が読みにくい事情がある場合には、通常の再入国許可を選ぶのが安全である。
外国人の事件でみなし再入国許可が問題になるのはどのような場面か
結論として、刑事事件の捜査中や退去強制手続の係属中に出国しようとする場面で、深刻な問題が生じやすい。
捜査機関が関心を持っている事件の関係者については、出国確認の留保という手続が取られることがある。この場合、みなし再入国許可を利用することはできず、空港で出国を差し止められる。捜査を受けている自覚があるときは、出国の可否をあらかじめ弁護人に確認しておく必要がある。
また、在留資格の取消手続が始まっている場合や、退去強制手続の対象となっている場合も、この制度の対象外である。不法残留の状態にある者は、そもそも在留カードによる出国ができない。あわせて在留カードの記載内容と有効期間も確認しておきたい。
よくあるご質問
Q1 みなし再入国許可で出国した後、海外で期間を延ばすことはできますか。
できません。延長の制度がないため、期限までに必ず再入国する必要があります。長期の滞在が見込まれる場合は、出国前に通常の再入国許可を取得してください。
Q2 在留期限が出国の半年後に来ます。1年以内なら大丈夫ですか。
大丈夫ではありません。在留期間の満了日が出国後1年より前に来る場合は、その満了日までに再入国しなければなりません。
Q3 出国のときに在留カードを持って行くのを忘れました。どうなりますか。
在留カードの提示ができないと、みなし再入国許可による出国として扱われず、在留資格を失うおそれがあります。空港で気付いた場合は、出国審査の前に係員に申し出てください。
Q4 在留期間の更新を申請中ですが、出国してもよいですか。
在留期間の満了日までに再入国できるかどうかで扱いが変わります。満了日を過ぎても審査が続く、いわゆる特例期間中の出国は取扱いが異なるため、出国前に地方出入国在留管理局にご確認ください。
Q5 警察から取調べを受けている最中ですが、一時帰国できますか。
出国確認の留保により空港で止められることがあり、逮捕状が用意されている場合には、その場で身柄を拘束されることもあります。まず弁護人にご相談ください。
おわりに
この制度は便利である反面、期限を1年と思い込んで在留期間の満了日を見落とす例が後を絶たない。生活の基盤を失うことにつながるため、出国の予定が立った段階で在留期間の満了日を確かめておきたい。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
本記事の簡体字版はこちらをご覧ください。
執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京にて行政事件に関する対応
----------------------------------------------------------------------