解決事例
【在留特別許可】私文書偽造で執行猶予付き判決を受けた外国籍の方が、日本人配偶者との生活を守り在留特別許可を獲得
【在留特別許可】私文書偽造で執行猶予付き判決を受けた外国籍の方が、日本人配偶者との生活を守り在留特別許可を獲得
相談前
依頼者は、留学生として来日し、大学を卒業した後、就労系の在留資格で働いてきた外国籍の男性です。配偶者と結婚し、夫婦の共有名義で自宅も購入して、日本で生活の基盤を築いておられました。
ところが、報酬を得て他人の委任状を作成・郵送したことが、有印私文書偽造・同行使の罪に問われ、起訴されました。さらに、別の窃盗の事実についても追起訴が見込まれる状況でした。
就労系の在留資格(入管法別表第1)で在留する方は、文書偽造の罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても退去強制事由に該当し得ます(入管法24条4号の2)。刑事事件の結果が、そのまま日本での家族生活を失うことにつながりかねない状況でした。
相談後
まず刑事事件では、追起訴が見込まれた窃盗の事実について、不起訴処分を求める意見書を提出しました。この事実は追起訴されず、審理の対象は当初の起訴事実に限られました。公判では、依頼者の関与の程度などを主張し、判決は執行猶予付きとなりました。配偶者には情状証人として出廷していただき、今後の監督を誓約していただきました。依頼者は上訴審まで争いました。
次に入管手続です。判決の確定後、配偶者が日本国籍を取得されたため、「日本人の配偶者」としての事情を前面に出して在留特別許可を申請しました。申請理由書では、婚姻の実体(共有不動産と連帯債務、交際から婚姻までの経過、写真資料等)を客観的な資料で示しました。また、事情聴取では、判決で認定された事実と整合する説明ができるよう準備しました。
退去強制事由そのものには争いがありませんでしたので、口頭審理の請求はせず、在留特別許可の判断を早く受ける方針をとりました。その結果、申請から約5か月半で、在留特別許可(在留資格「日本人の配偶者等」)を得ることができました。
松村 大介 弁護士からのコメント
出入国在留管理庁が公表している在留特別許可の事例集(平成26年から令和7年分)を当事務所で確認した限りでは、文書偽造系の罪名で許可された例は見当たりません。その中で許可に至った要因は、起訴前・公判段階で罪名と量刑を絞り込んだこと、配偶者の国籍取得の時期を踏まえて申請の類型を整理したこと、婚姻の実体を客観的資料で立証したことにあると考えています。
外国人の刑事事件では、刑事手続の結果が入管手続の帰趨を決めます。起訴前の段階から、判決後の入管手続まで見通した弁護が必要です。当事務所は、刑事弁護と在留特別許可の申請を一貫して担当しております。中国語でのご相談にも対応しております(微信(WeChat)ID:matsumura1119)。
依頼者・関係者のプライバシー保護のため、事件の内容は一部抽象化しております。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
よくあるご質問
Q.執行猶予付きの判決でも、退去強制の対象になりますか。
A.在留資格の種類と罪名によります。就労系や留学などの入管法別表第1の在留資格の方は、窃盗・詐欺・文書偽造などの特定の罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても退去強制事由に該当し得ます(入管法24条4号の2)。
Q.退去強制事由に該当しても、日本に残れる可能性はありますか。
A.在留特別許可を受けられる場合があります。入管法50条5項は、家族関係、素行、在留期間などの考慮事情を定めています。日本人の配偶者がいることや、婚姻の実体は重要な事情です。
Q.在留特別許可の審査にはどのくらい時間がかかりますか。
A.事案によって大きく異なり、半年前後から1年以上かかることもあります。本件では、申請から約5か月半で許可が出ました。
Q.刑事事件の段階から入管のことを考える必要がありますか。
A.必要です。不起訴になるか、罰金か拘禁刑か、執行猶予が付くかによって、入管法上の扱いが変わります。起訴前の段階からご相談ください。