解決事例
【詐欺】共犯とされた詐欺被疑事件で否認し、不起訴処分を獲得|身柄解放・示談・在留資格対策を並行
【詐欺】共犯とされた詐欺被疑事件で否認し、不起訴処分を獲得|身柄解放・示談・在留資格対策を並行
相談前
依頼者は、日本で会社の役員として働く外国籍の男性です。日本で婚約者と同居し、結婚式の準備も進めておりました。
ある日、かつての従業員が詐欺の容疑で逮捕されたとの情報に接しました。依頼者は、必要であれば自分の口で警察に事情を説明しなければならないと考え、弁護人を選任したうえで、自ら警察署に出頭しました。ところが、依頼者は、従業員や氏名不詳者らと共謀して、メッセージアプリで投資を勧誘し、金銭をだまし取ったとの詐欺の被疑事実で、身体を拘束されることになりました。依頼者は、この被疑事実を認めておりません。
勾留には、弁護人以外の人との面会や手紙のやり取りを禁止する接見等禁止も付されました。同居する婚約者とも会えない状況でした。外国籍の方にとって、詐欺事件で起訴され有罪になることは、前科がつくだけでなく、在留資格の喪失にもつながり得ます。依頼者は、日本での生活を失うかもしれないという不安を抱えておられました。
相談後
受任後、次の四つの活動を並行して進めました。
第1に、被疑事実を認めない(否認する)方針のもとで、弁護活動を進めました。
第2に、身体拘束からの解放に向けた活動です。検察官の勾留請求に対しては、却下を求める意見書を提出しました。依頼者が自ら出頭した経過、定まった住居と仕事があること、身元を引き受ける人がいることを、資料を添えて示しました。勾留が決まった後は、勾留と接見等禁止に対する準抗告を申し立て、さらに、婚約者との接見等禁止の一部解除を求める申立てを行いました。これらの申立てがすべて認められたわけではございません。
第3に、被害者とされる方との示談です。依頼者は被疑事実を認めておりませんので、示談に応じることが罪を認めたものと受け取られてはなりません。そこで、示談書には、示談の締結や解決金の支払が被疑事実を認めるものではないことを双方が確認する条項を入れました。そのうえで、被害者とされる方の宥恕を得る形で示談を成立させました。
第4に、在留資格への影響への備えです。起訴された場合に在留資格がどうなるかを、依頼者の在留資格の種類に即して整理しました。万が一、有罪判決を受けて退去強制手続に進んだ場合に在留特別許可を求めることまで見据えて、対策を整えました。
こうした弁護活動を重ねた結果、本件は不起訴処分で終結しました。依頼者は、起訴されることも、前科がつくこともなく、日本での生活を続けられることになりました。
松村 大介 弁護士からのコメント
否認事件では、身体拘束からの解放と示談が、うまく噛み合わないことがあります。示談金を払えば罪を認めたことになるのではないか、という懸念が当事者にも捜査機関にも生じるためです。本件では、被疑事実を認めるものではないことを示談書そのものに明記して、この問題を整理しました。否認しながら示談を成立させることは、書き方次第で可能です。
外国籍の方の刑事事件では、刑事手続の結論が在留資格に直結します。有罪判決を受けてから対策を考えるのでは遅く、起訴されない結論を目指す段階から、在留資格への影響を見据えて弁護方針を立てる必要がございます。当事務所は、刑事弁護と入管手続とを一体のものとして扱っております。
共犯者とされる人が逮捕された、警察から連絡が来た、というときは、早い段階でご相談ください。中国語でのご相談にも対応しております(微信(WeChat)ID:matsumura1119)。
※依頼者・関係者のプライバシー保護のため、事件の内容は一部抽象化しております。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
よくあるご質問
Q.罪を認めていない場合でも、被害者とされる方と示談できますか。
A.できる場合がございます。示談書に、示談の締結や解決金の支払が被疑事実を認めるものではないことを確認する条項を入れる方法があります。ただし、示談の書き方を誤ると、罪を認めたものと受け取られるおそれがありますので、弁護士にご相談のうえで進めてください。
Q.接見等禁止とは何ですか。家族とも会えなくなりますか。
A.勾留されている被疑者について、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるとして、弁護人以外の人との面会や書類・物の受渡しを禁止する裁判です(刑事訴訟法207条1項、81条)。接見等禁止が付くと、家族や婚約者とも面会できなくなります。一部の人についてだけ解除を求める申立てをすることができます。
Q.外国籍の者が詐欺事件で有罪になると、在留資格はどうなりますか。
A.在留資格の種類と刑の重さによって異なります。たとえば、就労系の在留資格など入管法別表第1の在留資格で在留する方は、詐欺罪などの特定の罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても退去強制事由に該当し得ます(入管法24条4号の2)。別表第2の在留資格の方でも、1年を超える実刑判決を受けた場合には退去強制事由に該当し得ます(同条4号リ)。起訴される前の段階で不起訴を目指すことが重要です。
Q.不起訴になった場合、その理由を知ることはできますか。
A.検察官に対し、不起訴処分の告知書の交付を請求することができます(刑事訴訟法259条)。処分の理由は、嫌疑がないのか、嫌疑が不十分なのか、起訴を猶予するのかによって、今後の在留手続などへの意味合いが異なります。
執筆者情報
松村 大介(まつむら だいすけ)
弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)
舟渡国際法律事務所
外国籍の方の刑事弁護・入管事件(退去強制・在留特別許可・監理措置)に注力。中国語でのご相談に対応しております。
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