解決事例
偽造有印公文書行使事件で不処分を獲得 ── 中国人留学生の少年事件 ──
偽造有印公文書行使事件で不処分を獲得 ── 中国人留学生の少年事件 ──
依頼者
中国人留学生(少年)
罪名
偽造有印公文書行使(追加で詐欺罪が立件される可能性のあった事案)
管轄
東京家庭裁判所
結果
不処分(2026年5月14日)
1 事案の概要と問題の所在
依頼者は、日本に在留する中国人留学生で、氏名不詳者から「簡単な仕事」として偽造有印公文書の行使行為に関わるよう指示を受け、その関与を強要されました。共犯者との関係や利得関係次第では、詐欺罪の共同正犯としての立件も予想される事案でした。
罪名・関与の態様によっては、家庭裁判所から検察官送致(少年法第20条による逆送)がなされ、起訴・有罪となれば在留資格喪失という最悪の結末も現実的に懸念される事件でした。中国人留学生がSNS等を通じて闇バイト・特殊詐欺に巻き込まれる類型として典型的な事案でもありました。
2 当事務所の対応方針
本件において最も重視したのは、依頼者の在留資格への影響を最小限に抑え、少年法の枠内で保護処分(特に処分歴の残らない不処分)にて事件を終結させることでした。
(1)捜査段階 ── 原則として黙秘を徹底
共犯関係の認定範囲や故意の内容について不利な供述をすることのリスクを回避するため、捜査の早期段階から黙秘で対応する方針を指示しました。これにより、詐欺罪等の追送致・追起訴のリスクを抑制しました。
(2)家庭環境の整備
依頼者の両親及び日本在住の叔母による監督体制を構築し、要保護性が解消していることを家庭裁判所に対して示しました。
(3)本国への帰国手続の準備
観護措置期間中に帰国便を確保し、処分後すみやかに帰国できる態勢を整備しました。
(4)家庭裁判所との折衝
本件は不処分と保護観察のいずれの処分も考えられる事案でしたが、保護観察処分となった場合、間もなく帰国するため処分執行が実質的に不可能となること、要保護性が既に解消していることなどを意見書において丁寧に主張しました。
3 結果
2026年5月14日、東京家庭裁判所において不処分決定を獲得。依頼者は翌15日、予定どおり本国へ帰国いたしました。
4 本件のポイント
不処分決定は、保護処分歴として記録に残らないため、将来的に依頼者が再来日して在留資格を取得する道を残すことができました。中国人留学生の少年事件においては、罪名・捜査機関の対応次第で在留資格喪失の重大なリスクを伴うため、捜査段階の初動と方針判断が極めて重要となります。
本件は、「黙秘」を基本方針として捜査段階の供述リスクを管理しつつ、家庭裁判所段階では保護者監督体制の整備と帰国準備を並行して進め、裁判所との丁寧な交渉によって不処分という最善の結果を得た事例です。
5 同種事案でお困りの方へ
外国人留学生の少年事件・刑事事件においては、事件の早期段階で適切な方針を立てることで、処分結果や在留資格への影響を大きく左右することが可能です。当事務所は、中国語対応を含め、外国人事件に積極的に取り組んでおりますので、お早めにご相談ください。