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原告適格とは|行政事件訴訟法9条の法律上の利益と第三者の出訴資格

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原告適格とは|行政事件訴訟法9条の法律上の利益と第三者の出訴資格

原告適格とは|行政事件訴訟法9条の法律上の利益と第三者の出訴資格

2026/09/04

原告適格とは、ある処分の取消しを求めて訴訟を提起することができる資格をいう。行政事件訴訟法9条は、取消訴訟は、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができると定めている。処分の名宛人には通常認められ、第三者について認められるかどうかが実際の争点となる。

この記事の要点

  • 原告適格は、誰が訴えられるかを画する訴訟要件であり、欠けると訴えは却下される。
  • 基準は法律上の利益であり、事実上の不利益や一般的な関心では足りない。
  • 平成16年改正により、判断にあたっての考慮事項が行政事件訴訟法9条2項に明文化された。
  • 処分の名宛人には原則として認められ、近隣住民や競業者などの第三者が問題となる。
  • 入管の事件では処分を受けた外国人本人が原告となるため、通常は争点にならない。

原告適格とは何か

原告適格は、その処分について訴える資格が誰にあるかを定める要件である。行政の処分は、名宛人だけでなく周囲の人々にも影響を及ぼすが、影響を受けた者すべてに出訴を認めると訴訟が広がりすぎるため、法律上の利益を有する者に限るという枠が設けられている。法律上の利益とは、当該処分の根拠となる法令が、一般的公益の中に吸収させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むと解される利益をいうと理解されている。単なる経済的な打撃や感情的な不快は、これに当たらない。

法律上の利益はどのように判断されるか

行政事件訴訟法9条2項が定める考慮事項に沿って判断する。これは平成16年の改正で加えられたもので、それまでの実務が根拠法令の文言に偏りがちであったことへの是正として設けられた。最高裁は平成17年12月7日の大法廷判決において、この規定に沿って、鉄道の高架化事業の沿線住民の原告適格を認めている。

考慮事項具体的な意味
法令の趣旨及び目的根拠法令が誰の何を守ろうとしているか
考慮されるべき利益の内容及び性質処分にあたって行政が考えるべき利益は何か
関係法令の趣旨及び目的目的を共通にする他の法令も参酌する
害される利益の内容、性質、態様、程度生命、身体への危険か、財産的損失か、回復可能か

第三者の原告適格はどのような場合に認められてきたか

生命や身体の安全に関わる利益については、比較的広く認められてきた。原子炉の設置許可について、事故が起きた場合に重大な被害を直接受けるとされる周辺住民に原告適格を認めた最高裁平成4年9月22日の判決、定期航空運送事業の免許について、航空機の騒音による著しい被害を受ける住民に原告適格を認めた最高裁平成元年2月17日の判決が代表的である。これに対し、事業者の営業上の利益、景観に対する一般的な関心、消費者としての利益といったものについては、否定された例が多い。同じ第三者でも、被害の内容が生命、身体に近づくほど認められやすいという傾向がある。実務では、根拠法令のどの規定が原告の利益を個別に保護しているのかを、条文の構造に即して丁寧に示すことが求められる。

原告適格と処分性、訴えの利益は何が違うか

いずれも本案の審理に入る前に検討される訴訟要件であるが、何を審査するかが異なる。訴状を作成する段階で、この三つを順に検討しておくことが必要である。

要件審査の対象欠けた場合
処分性何を争えるか。行為の性質却下
原告適格誰が争えるか。原告と処分との関係却下
訴えの利益今争う実益があるか。判決の意味却下

外国人の事件で原告適格が問題になるのはどのような場面か

処分を受けた本人が訴える限り原告適格は問題にならないが、家族が訴えようとすると壁になる。退去強制令書の発付や在留期間更新の不許可の名宛人は外国人本人であり、日本人配偶者や日本国籍の子は、家族としての生活を壊されるという重大な不利益を受けながら、処分の名宛人ではないという理由で訴えの入口に立てないことがある。裁判例はこの点に消極的な傾向があり、学説からは、家族が共同で営む生活そのものを法律上の利益として捉えるべきだという批判が示されている。実務としては、本人を原告としつつ、家族の被る不利益を本案の主張として全面的に展開し、別途、家族固有の損害について国家賠償請求を検討するという構成をとることが多い。

よくあるご質問

Q1 処分を受けた本人であれば原告適格は問題になりませんか。

処分の名宛人は、原則として原告適格が認められます。争いになるのは、近隣住民や競業者など、処分の相手方ではない第三者が訴える場合です。

Q2 家族が本人の代わりに取消訴訟を起こせますか。

家族であるというだけでは、原則として原告適格は認められません。訴えるのは処分を受けた本人であり、家族は訴訟の当事者ではなく、事情を述べる立場になります。本人が未成年である場合や、意思能力に問題がある場合の代理は別の問題です。

Q3 原告適格が否定されるとどうなりますか。

訴えは却下され、処分が違法かどうかの判断はされません。控訴して争うほかに、原告適格が認められる別の当事者を立てる、当事者訴訟や国家賠償請求に切り替えるといった対応を検討することになります。

Q4 行政事件訴訟法が改正されて認められやすくなったのですか。

平成16年の改正で、法律上の利益の有無を判断する際の考慮事項が明文化され、関係法令の趣旨や被害の内容、程度まで考慮すべきことが明らかになりました。これにより、従前より広く認められる場面が増えています。

関連する用語として、処分性訴えの利益取消訴訟もあわせてご確認ください。

おわりに

誰が訴えられるかという問題は、事件の実質に入る前に結論を左右してしまう。処分の影響を最も強く受ける人が、名宛人でないという理由だけで締め出されないよう、主張の立て方を工夫する必要がある。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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