私選弁護人とは|逮捕直後から選任できる弁護人と費用・通訳体制の考え方
2026/09/04
私選弁護人とは、被疑者若しくは被告人本人又はその家族等が、自ら費用を負担して選任する弁護人をいう。国選弁護人と異なり、逮捕された直後から選任することができ、依頼する弁護士を自分で選ぶことができる。
この記事の要点
- 私選弁護人は逮捕の直後から選任でき、資力の要件はない。
- 本人のほか、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹等も独立して選任することができる。
- 費用は着手金、報酬金、実費のほか、外国語の事件では通訳費用が必要になる。
- 国選弁護人が付いている場合でも、私選への切替えは可能である。
- 外国人の事件では、通訳体制と在留資格への見通しを備えているかが選任時の要点になる。
私選弁護人とは何か
私選弁護人とは、被疑者又は被告人の側が費用を負担して選任する弁護人である。刑事訴訟法は、被疑者及び被告人がいつでも弁護人を選任できることを定めており、身体拘束の有無や手続の段階を問わない。
選任することができるのは本人だけではない。法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹も、独立して弁護人を選任することができるとされている。本人と連絡が取れない逮捕直後の段階では、この規定が実際に大きな意味を持つ。
私選弁護人はいつから選任できるか
結論として、逮捕された直後から選任できる。被疑者国選弁護が勾留後でなければ利用できないのに対し、私選弁護人にはそのような制限がない。
逮捕から勾留までの間は最大で72時間あり、この期間に取調べが集中する。取調べの初期に作成された供述調書は、その後の手続を通じて影響を及ぼし続ける。したがって、この段階で弁護人の助言を得られるかどうかは、結論を左右する要素になる。
私選弁護人と国選弁護人は何が違うか
結論として、選任できる時期、選択の可否、費用の負担者、通訳の手配の柔軟性が違う。
| 項目 | 私選弁護人 | 国選弁護人 |
|---|---|---|
| 選任できる時期 | 逮捕の直後から | 勾留された後 |
| 弁護人の選択 | 依頼者が選べる | 選べない |
| 資力要件 | なし | あり |
| 費用 | 依頼者が負担 | 原則として国が負担 |
| 選任権者 | 本人、配偶者、直系の親族等 | 本人の請求による |
| 通訳の手配 | 事務所の体制に応じて柔軟に行える | 制度上の枠内で行われる |
私選弁護人の費用はどのように決まるか
費用は、着手金、報酬金、実費及び日当から構成されるのが一般的である。着手金は結果にかかわらず受任の際に必要となる費用であり、報酬金は事件の結果に応じて生じる。
外国語による事件では、これに通訳費用が加わる。接見のたびに通訳が同行する場合、その回数が費用に影響する。金額は、身体拘束の有無、否認するかどうか、公判の見込み回数、裁判員裁判か否かによって大きく異なるため、受任の前に見積りを示し、委任契約書で範囲を明確にすることが必要である。
私選弁護人はどのように選任するか
手続は、相談、委任契約の締結、選任届の提出という順に進む。身体拘束されている場合は、弁護人となろうとする者として接見に行き、本人の意思を確認したうえで選任届を捜査機関又は裁判所に提出する。
身体拘束されている本人と外部の家族との連絡が難しい場合、弁護人が両者をつなぐ役割を果たす。特に接見等禁止の決定が付いている事件では、家族が面会できないため、弁護人だけが唯一の連絡の経路になる。
外国人の事件で私選弁護人を選ぶときの要点は何か
要点は、通訳の体制と、在留資格への影響を見通せるかどうかである。刑事手続の結論は、退去強制事由への該当性や在留期間の更新の可否に直結する。
そのため、量刑を軽くすることだけを目標にするのではなく、不起訴処分の獲得や罪名の評価まで含めて、在留への影響を意識した方針を立てる必要がある。取調べの場面では供述調書が通訳を介して作成されるため、その正確性を確認できる体制も重要になる。当事務所では、接見、取調べへの対応、打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えている。
よくあるご質問
Q1 家族が本人に代わって弁護人を選任できますか。
できます。刑事訴訟法上、被疑者や被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができるとされています。海外にいるご家族から依頼を受け、日本にいるご本人に接見するという流れも実務上珍しくありません。
Q2 費用はどのくらいかかりますか。
着手金、報酬金、実費のほか、外国語の事件では通訳費用がかかります。金額は事案の内容、身体拘束の有無、否認するかどうか、裁判員裁判かどうかによって大きく異なりますので、依頼の前に見積りと委任契約書で確認してください。
Q3 国選弁護人が付いていても私選に切り替えられますか。
切り替えられます。私選弁護人が選任されると、国選弁護人は解任されるのが通常です。逆に、私選弁護人が辞任した後に国選を求める場合は、資力要件その他の要件を満たす必要があります。
Q4 外国にいる家族はどうやって依頼すればよいですか。
電話や通信アプリでの相談から始め、委任契約と着手金の支払を経て受任するのが一般的です。当事務所では中国語での連絡に対応しています。逮捕直後は情報が限られますので、逮捕の日時、警察署名、罪名の3点を可能な範囲でお知らせください。
Q5 弁護人は何人まで選任できますか。
複数選任することができます。裁判員裁判や争点の多い事件では、複数の弁護人が分担して弁護活動を行うことがあります。ただし、公判段階では主任弁護人を定めることとされています。
おわりに
弁護人を選ぶという行為は、身体を拘束された本人にとっては極めて難しい。実際には、離れた場所にいる家族が短い時間の中で判断することになる。費用の見通しと連絡の方法を最初に確認しておくことが、その後の負担を軽くする。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
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