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拘禁刑とは|令和7年施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

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拘禁刑とは|令和7年施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

拘禁刑とは|令和7年施行の新しい自由刑と外国人の在留への影響

2026/09/04

拘禁刑とは、刑事施設に拘置して自由を奪う刑罰をいう。令和4年改正刑法により新設され、令和7年6月1日から施行されている。それまで刑法が定めていた2種類の自由刑、すなわち刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる刑と、作業を伴わない刑とが、拘禁刑という一つの刑に統合された。

この記事の要点

  • 拘禁刑は令和7年6月1日から施行された自由刑であり、従来の2種類の自由刑を一本化したものである。
  • 作業は刑の必要的な内容ではなくなり、改善更生のために必要な作業又は指導を行わせることができるとされた。
  • 有期の拘禁刑は原則として1月以上20年以下であり、無期の拘禁刑も定められている。
  • 外国人については、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられたことが退去強制事由となり得る。
  • もっとも、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は、その退去強制事由から除かれている。

拘禁刑とは何か

拘禁刑とは、受刑者を刑事施設に拘置する自由刑である。刑法は、刑の種類として死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を定めており、拘禁刑はそのうち身体の自由を奪う中心的な刑罰に位置づけられる。

令和4年に成立した改正刑法は、それまで並存していた2種類の自由刑を統合した。従来は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる刑と、作業を伴わない刑とが区別されていたが、実際にはその区別が処遇の内容に十分に反映されておらず、受刑者ごとの特性に応じた処遇を妨げているとの指摘が重ねられてきた。改正はこの指摘を受けたものであり、令和7年6月1日から施行されている。

したがって、同日以後に犯された罪について言い渡される自由刑は拘禁刑である。

拘禁刑の内容はどのようなものか

拘禁刑の中核は刑事施設への拘置であり、作業はその必要的な内容ではない。改正後の刑法は、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができると定めている。

これにより、高齢の受刑者について作業以外の処遇に重点を置くことや、若年の受刑者について再犯防止の指導に時間を割くことが、制度上明確に位置づけられた。もっとも、実務上は多くの受刑者が引き続き作業に従事しており、拘禁刑になったことで刑が軽くなるという性質のものではない。

拘禁刑の刑期はどのくらいか

有期の拘禁刑は、原則として1月以上20年以下である。法律上の加重をする場合には30年まで引き上げることができ、減軽をする場合には1月未満に下げることもできる。このほか無期の拘禁刑があり、無期については仮釈放が問題となる。

刑の種類期間又は金額備考
無期拘禁刑期間の定めなし仮釈放が認められる場合がある
有期拘禁刑1月以上20年以下加重により30年まで、減軽により1月未満も可能
拘留1日以上30日未満刑事施設に拘置する短期の自由刑
罰金1万円以上完納できない場合は労役場留置
科料1000円以上1万円未満軽微な犯罪に科される財産刑

拘禁刑に執行猶予が付くのはどのような場合か

執行猶予は、刑法が定める要件を満たす場合に、刑の全部又は一部の執行を一定期間猶予する制度である。刑法25条は、3年以下の拘禁刑等を言い渡す場合において、前科の状況その他の要件を満たすときに、1年以上5年以下の期間、刑の全部の執行を猶予することができると定めている。

猶予期間を取り消されることなく経過すれば、刑の言渡しは効力を失う。外国人の事件では、実刑となるか執行猶予となるかが在留資格の帰趨を直接左右するため、被害弁償、示談、身元引受け、再犯防止の環境整備といった量刑資料を、起訴前の段階から積み上げておく必要がある。

拘禁刑を受けた外国人の在留資格はどうなるか

結論として、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合には退去強制事由に当たり得るが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれる。入管法24条4号リがこれを定めている。

もっとも、これがすべてではない。薬物に関する事件は、入管法24条4号チにより、刑の重さや執行猶予の有無を問わず退去強制事由に当たり得る。また、入管法24条4号の2は、一定の犯罪について別表第一の在留資格をもって在留する者を対象とする退去強制事由を定めている。さらに、退去強制事由に当たらない場合であっても、在留期間の更新や在留資格の変更が認められず、結果として在留を継続できなくなることがある。刑事事件の見通しを立てる際には、刑の重さだけでなく、罪名と在留資格の種類を併せて確認しなければならない。

外国人の事件で拘禁刑が問題になるのはどのような場面か

最も多いのは、量刑の見通しと在留の見通しを同時に立てなければならない場面である。日本の刑事手続では、起訴されるかどうか、起訴された場合に実刑となるかどうかによって、その後の入管手続の入口がまったく異なる。

そのため、身体拘束された段階から、黙秘権の行使をどうするか、保釈による釈放を目指すかといった刑事弁護の方針を、在留への影響とあわせて検討することになる。通訳を介した取調べでは、本人が述べたつもりのない内容が調書に残ることもあるため、供述調書の作成過程にも注意を払う必要がある。

よくあるご質問

Q1 拘禁刑になると必ず刑務所で作業をしなければならないのですか。

作業は刑の必要的な内容ではなくなりました。改正後の刑法では、受刑者の改善更生と円滑な社会復帰を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができるとされています。実際には多くの受刑者が作業に従事していますが、その人の年齢や特性に応じて、作業よりも教育や指導に重点を置く処遇も可能になっています。

Q2 執行猶予が付いた場合も前科になりますか。

有罪判決を受けた事実は残りますので、前科にはなります。もっとも、猶予期間を無事に経過すれば刑の言渡しは効力を失います。在留資格との関係でも、執行猶予が付くかどうかで結論が大きく変わりますので、量刑の見通しは早い段階で検討する必要があります。

Q3 1年を超える拘禁刑でも、執行猶予が付けば退去強制されませんか。

入管法24条4号リの退去強制事由からは、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。ただし、薬物に関する事件は、刑の重さや執行猶予の有無を問わず別の退去強制事由に当たり得ますし、在留資格の更新や変更が認められないという形で在留に影響が及ぶこともあります。

Q4 拘禁刑と罰金のどちらになるかは、いつ決まりますか。

起訴の段階で、検察官が略式手続による罰金を求めるのか、正式な公判請求をするのかを決めます。公判請求がされた場合は、判決で刑の種類と重さが決まります。したがって、起訴前の段階でどのような資料を検察官に提出するかが結論を左右します。

Q5 令和7年5月31日以前に確定した判決は、どう扱われますか。

改正前に言い渡された刑は、改正後もその効力が維持され、経過措置に従って執行されます。過去の判決の記載自体が書き換えられるわけではありません。古い裁判例を引用するときは、当時の刑の名称のまま引用したうえで、現行法では拘禁刑に相当することを注記します。

おわりに

拘禁刑の導入は刑の名称の変更にとどまらず、処遇の考え方の転換を含むものである。しかし、外国人の当事者にとって切実なのは、刑の名称よりも、実刑か執行猶予か、そして在留を続けられるかという点である。刑事手続と在留資格の問題は、はじめから一体のものとして検討する必要がある。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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