解決事例
【大麻の所持・使用】自首の成立が量刑上評価され、執行猶予付き判決を獲得
【大麻の所持・使用】自首の成立が量刑上評価され、執行猶予付き判決を獲得
相談前
依頼者は、大麻の所持及び使用(麻薬及び向精神薬取締法違反)の疑いで逮捕・勾留されました。所持については、他人が置いていった箱の中身を知らなかったという依頼者の説明があり、故意の有無そのものが争点となる事案でございました。
依頼者は外国籍の方であり、薬物法令違反による有罪判決は、執行猶予が付された場合であっても退去強制事由に該当いたします。刑事事件の結論が、そのまま日本で生活を続けられるかどうかに直結する状況でございました。そのような中で、私選弁護人としてご依頼をいただきました。
相談後
受任後直ちに接見を重ね、依頼者のご説明を正確に把握したうえで、まず防御権とご家族との連絡経路の確保に着手いたしました。接見等禁止決定が付されておりましたので、ご両親との接見及び物の授受の一部解除を求める上申書を提出し、あわせて準抗告を申し立てました。
捜査段階では、所持の故意を認めるに足りる証拠がないことを、情況証拠による故意認定の枠組みを示した最高裁判例に照らして詳細に分析した意見書を検察官に提出し、不起訴処分を求めました。
起訴後は、保釈請求により身柄の解放を実現し、依頼者が社会内で生活を立て直しながら公判に臨むことができる体制を整えました。
公判では、事件当日、依頼者が体調不良を覚えて自ら助けを求め、みずから捜査機関の前に姿を現したという発端の経過を、客観的な資料に基づいて具体的に主張立証いたしました。あわせて、初犯であること、営利性・組織性がまったくないこと、ご両親による監督の体制が現に機能していること、薬物を持ち込んだ知人との関係を断ったことを、それぞれ資料をもって示しました。
その結果、判決は拘禁刑1年6月・執行猶予3年とされ、その量刑の理由において、自首が成立することが評価されました。
松村 大介 弁護士からのコメント
薬物事犯には被害者がおりません。そのため、財産犯や暴力犯のように、示談によって処分や量刑を動かすという手段がございません。だからこそ、事件の入口にある小さな事実を丹念に拾い上げ、それに法的な意味を与える作業が、決定的に重要になります。
本件で最も重視したのは、依頼者が自ら助けを求めたという発端の事実でございました。摘発されたのではなく、自ら姿を現したという経過は、単に「態度が良い」という話ではございません。刑法42条1項の自首は任意的減軽事由であり、自ら申告して訴追に委ねたという事実は、本人の規範意識が失われていないことの徴表として、量刑上正面から評価されるべきものでございます。判決がこの点を量刑の理由に掲げたことは、依頼者にとって、刑の重さそのものを超えた意味を持ちます。
外国籍の方の薬物事件には、さらに考えなければならないことがございます。薬物法令違反による有罪判決は、執行猶予が付されても退去強制事由に該当いたします。したがって、弁護活動は判決で終わりません。判決書に何が書かれたかが、その後の在留特別許可の手続において、そのまま疎明資料になるのでございます。当事務所は、刑事弁護と入管手続とを一つの流れとして扱い、判決の内容それ自体を次の段階の武器とすることを、常に意識しております。
外国籍の方の刑事事件では、取調べにおける通訳を介した供述の正確性という問題も重なります。ご本人にもご家族にも、日本の手続の見通しが立たない不安がございます。お困りのことがございましたら、どうぞご相談ください。