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中国語の通訳は誰が手配するのですか|取調べ・法廷・接見で異なります

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中国語の通訳は誰が手配するのですか|取調べ・法廷・接見で異なります

中国語の通訳は誰が手配するのですか|取調べ・法廷・接見で異なります

2026/09/05

中国籍の方が刑事事件の当事者になったとき、ご本人もご家族も最初に不安に思うのが言葉の問題です。取調べで自分の言い分が正しく伝わるのか、法廷で何が話されているのかわかるのか、弁護士とどう打ち合わせるのか。日本の刑事手続では、場面ごとに通訳を手配する主体が異なります。誰が手配し、誰が費用を負担するのかを知ると、どこに注意すべきかが見えてきます。

本記事の要点

  • 取調べの通訳は警察・検察が手配し、被疑者に費用の負担はありません。
  • 公判の通訳人は裁判所が選任します(刑事訴訟法175条)。
  • 弁護人との接見や打合せの通訳は弁護人が手配します。捜査機関の通訳人とは別の人です。
  • 国選弁護では接見の通訳費用が一定の範囲で支給され、私選では原則として依頼者の負担です。
  • 令和6年の被告人通訳事件は4,649人・41言語で、中国語は726人(15.6%)と第2位でした。

結論:場面ごとに手配する人が違います。取調べは捜査機関が、法廷は裁判所が、弁護人との接見・打合せは弁護人が、それぞれ通訳を手配します。この3つは別々の通訳であり、同じ人が兼ねるわけではありません。

取調べの通訳は誰が手配しますか

警察官・検察官が自ら通訳人を手配します。被疑者やご家族が探す必要はなく、費用も負担しません。

ただし、捜査機関が依頼する通訳人は必ずしも法律用語の専門家ではありません。供述調書は日本語で作成され、通訳人を介して読み聞かせたうえで署名・指印を求められます。中国語で話した内容が日本語の文章になる過程でニュアンスが変わっても、後から検証することは容易ではありません。取調べの録音・録画が行われる事件(刑事訴訟法301条の2)では、記録媒体で通訳の正確性を確認できる場合があります。調書の内容に納得できないときは署名を拒むことができ、外国人刑事・在留Q&Aでも触れているとおり、この点は後の結果を左右します。

裁判の通訳人は誰が選びますか

裁判所が選任します。裁判所では日本語を用いることとされ(裁判所法74条)、国語に通じない者に陳述をさせる場合には通訳人に通訳をさせなければならないと定められています(刑事訴訟法175条)。法廷通訳人は裁判所の名簿から選ばれ、公判前に事件記録を確認したうえで法廷に立ちます。費用は、自由権規約14条3項(f)が無料で通訳の援助を受けることを保障しており、実務上、被告人に負担させない運用がとられています。

弁護人と話すときの通訳は誰が用意しますか

弁護人が独自に手配します。ここが最も見落とされやすい点です。捜査機関の通訳人や法廷通訳人は、弁護人と被疑者・被告人の打合せには関与しません。弁護人が接見(警察署等での面会)に通訳人を同行させ、あるいは通訳人を介して打合せを行います。弁護人との接見は立会人なしに行うことができ(刑事訴訟法39条1項)、通訳人は弁護人の補助者として同席するため、話した内容が捜査機関に伝わることはありません。示談交渉や入管手続の書類作成も、この通訳を通じて進みます。

通訳の費用は誰が負担しますか

場面によって異なります。

場面手配する主体費用の負担内容の秘密
取調べ警察・検察公費(本人の負担なし)内容は捜査記録になる
公判・法廷裁判所実務上、被告人に負担させない公開の法廷での発言
弁護人との接見・打合せ弁護人国選は一定の範囲で公費、私選は依頼者の負担秘密交通権により守られる
家族との一般面会面会する側面会者の負担となることがある職員の立会いがある

被疑者国選・被告人国選の場合、弁護人が接見に通訳人を同行させたときの通訳料は、一定の要件と範囲のもとで日本司法支援センター(法テラス)から支給されます。もっとも回数や単価には基準があり、必要な通訳を十分に確保できないことがあります。私選では原則として依頼者の負担ですが、通訳を事務所内で確保している場合には負担は小さくなります。

通訳の質は結果にどう影響しますか

事実認定そのものを左右します。第一に方言の問題です。中国語には普通話のほか広東語、上海語、福建語などがあり、対応できる通訳人の数は言語によって大きく異なります。第二に法律用語の問題です。故意、過失、共謀、示談、勾留、在留特別許可といった語には、中国の法制度に対応する概念がないか、意味がずれていることがあります。第三に供述のニュアンスです。悪いことだとは思っていなかったという趣旨の説明が、日本語の調書では認識していたと読める表現になることがあります。中国人の刑事事件・在留のご相談では、この検証作業が弁護活動の中心の一つになります。

中国語の通訳はどのくらい必要とされていますか

令和6年の統計では、通常第一審で通訳を要した被告人は4,649人(前年比20.7%増)で、通訳言語は41言語に及びました。ベトナム語1,794人(38.6%)が最も多く、中国語は726人(15.6%)で第2位です。中国語が最も多いという理解は、現在の統計とは異なります。当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応します。弁護士紹介もご覧ください。

よくある質問

広東語や上海語しか話せない場合はどうなりますか

その言語に対応できる通訳人を手配する必要があり、人数が限られるため時間がかかることがあります。普通話がある程度わかる場合でも、本人が最も自然に話せる言語で通訳を受けられるよう求めるべきです。

通訳の訳が違うと感じたらどうすればよいですか

その場で異議を述べ、弁護人に伝えてください。調書の内容に納得できなければ署名を拒むことができます。公判では、通訳の正確性そのものを争うこともできます。

家族との面会にも通訳をつけられますか

弁護人以外との一般面会には職員の立会いがあり、日本語以外で話す場合には制限や通訳の手配を求められることがあります。弁護人の接見にはこうした制限がなく、同席する通訳人も守秘義務を負います。ご家族が中国におられる場合は、弁護人が窓口となって状況を共有する形が現実的です。

中国にいる家族と直接連絡を取ってもらえますか

微信(WeChat)で中国本国のご家族と直接やり取りしています。お問い合わせからご連絡ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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