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日本の刑事手続は中国とどう違うのか|誤解しやすい七つの相違を対比表で整理

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日本の刑事手続は中国とどう違うのか|誤解しやすい七つの相違を対比表で整理

日本の刑事手続は中国とどう違うのか|誤解しやすい七つの相違を対比表で整理

2026/09/05

ご家族が日本で逮捕されたと聞いたとき、多くの方は中国の手続に置き換えて事態を理解しようとされます。ところが日中では、同じ漢字の言葉が別の制度を指すことが少なくありません。読み替えの誤りは、そのまま初動の判断の誤りになります。本記事では誤解の多い七つの相違を日本法の側から整理します。中国の制度については、公表された一般的な説明にとどめます。

本記事の要点

  • 日本に捜査段階の保釈はなく、請求できるのは起訴後です。
  • 日本の逮捕は最長72時間の暫定的拘束で、中国の逮捕とは重みが違います。
  • 弁護人は逮捕直後から立会人なしで会え、回数の上限もありません。
  • 认罪认罚从宽に当たる制度はなく、自白は量刑の一事情です。
  • 執行猶予でも在留資格を失うことがあり、缓刑の感覚では見誤ります。

日本と中国の刑事手続は、どこがどう違いますか

違いは身柄拘束・保釈・接見・自白・検察の権限・上訴・執行猶予の七つです。

論点中国で一般に説明される制度日本の制度と注意点
身柄拘束刑事拘留の後、検察の批准を経て逮捕逮捕は最長72時間。その先は裁判官が決める勾留
保釈捜査段階から利用され得る起訴後にしか請求できない
接見看守所で辩护律师が会見逮捕直後から立会人なしで接見できる
自白认罪认罚从宽がある当たる制度はなく量刑の一事情にとどまる
検察人民检察院が批准逮捕を行う検察庁は起訴の可否を決め、勾留は裁判官
上訴二审终审三審制。ただし上告理由は限定
執行猶予缓刑猶予でも退去強制事由になり得る(刑法25条)

日本にも取保候审はありますか

ありません。保釈の規定は起訴された被告人についてのもので、勾留中の被疑者には準用されないからです(刑事訴訟法207条1項ただし書)。もっとも打つ手はあり、勾留請求への意見、準抗告、勾留の取消しや執行停止という方法があります。争うのは金額ではなく、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことです。示談や住居の確保を早く整えられるかが結論を分けます。詳しくは外国人刑事・在留Q&Aをご覧ください。

拘留・逮捕・勾留という言葉は、どう対応しますか

対応させないほうが正確です。日本の逮捕は最長72時間の暫定的な拘束にすぎず、その先を決めるのは裁判官が発する勾留の裁判だからです。中国のご家族に逮捕されたと伝えると、検察の承認を経た段階と受け取られ、不必要に絶望されることがあります。

段階根拠と内容期間決めるのは誰か
逮捕48時間以内に検察官へ送致(刑事訴訟法203条1項)逮捕から72時間以内裁判官の逮捕状
勾留請求送致後24時間以内に請求(同法205条)同上検察官
勾留勾留状の発付(同法207条・60条)10日間裁判官
勾留延長やむを得ない事由があるとき(同法208条2項)さらに10日以内裁判官

起訴前の身柄拘束は原則として最大20日です。中国の感覚で日数を推し量ると実際とずれます。

弁護士はいつから、どのように会えますか

逮捕された直後から会えます。弁護人は立会人なしに被疑者と接見でき(刑事訴訟法39条1項)、回数や時間の上限もありません。共犯事件では接見等禁止の決定によりご家族の面会・手紙・差入れが止まりますが(同法81条)、弁護人には及びません。中国のご家族と本人をつなぐ唯一の経路が弁護人になる場面も珍しくありません。当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、接見に同席します。

认罪认罚从宽のような制度は日本にありますか

一般的な制度としては、ありません。自白や反省、被害弁償は量刑の一事情として考慮されますが、罪を認めることと引き換えに刑の重さを取り決める仕組みではないのです。日本の合意制度(刑事訴訟法350条の2)は他人の刑事事件に協力する類型に限られます。内容を理解しないまま調書に署名すれば、見返りのないまま不利な証拠が残ります。取調べには黙秘権があります(憲法38条1項)。他方、令和6年の法務省犯罪白書によれば来日外国人の起訴猶予率は48.35%です。起訴前に何を検察官へ示せるかが結論を左右します。

検察庁の権限や上訴の回数は、中国とどう違いますか

検察庁は起訴するかどうかを決める機関であり、身柄を拘束してよいかを決めるのは裁判官です。公訴を提起できるのは検察官に限られ(刑事訴訟法247条)、犯罪の軽重・情状等により起訴しないこともできます(同法248条)。この裁量の広さが起訴前の弁護活動に意味を与えます。

上訴は三審制ですが、事実を争えるのは実質的に二審までです。控訴の期間は14日間(同法373条)、上告理由は憲法違反や判例違反などに限られます(同法405条)。事実を争うなら第一審に資源を集中する判断になります。

缓刑と執行猶予は、外国人にとって同じ意味ですか

同じではありません。日本では執行猶予でも在留資格を失うことがあるからです。全部執行猶予は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に1年から5年の猶予期間を定める制度ですが(刑法25条)、入管法は別の物差しで動きます。薬物事件は有罪判決を受けたこと自体で退去強制事由に該当し(入管法24条4号チ)、罰金でも執行猶予でも、在留資格の種類も問いません。別表第一の在留資格の方が窃盗・詐欺・傷害・文書偽造などの列挙罪で拘禁刑に処せられれば、猶予付きでも同条4号の2に該当します。同条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑が要件で、ただし書により全部執行猶予は除かれます。号ごとの違いは退去強制・在留特別許可・監理措置をご覧ください。

誤解を避けるために、最初に何をすべきですか

制度の対応関係を調べるより先に、日本の時間割に合わせて動くことです。起訴前の20日間は準備期間として長くありません。当事務所は執行猶予ではなく起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標に据え、刑事弁護と入管手続を同じ弁護士が一貫して担当します。退去強制事由の判断でも故意・過失を争うべきだと主張し、不法就労助長罪が認定された事件で在留特別許可を得た実績もありますが、結果は個別の事情によります。ご相談は中国人の刑事事件・在留のご相談から承ります。

よくある質問

保釈金を積めば、起訴前でも出られますか

出られません。保釈の規定は被疑者段階に準用されません(刑事訴訟法207条1項ただし書)。起訴前は準抗告等で争います。

家族が中国から来れば、本人に会えますか

接見等禁止の決定がなければ、施設の定める範囲で面会できます。決定があれば来日しても会えず、会えるのは弁護人だけです。

取調べで通訳がついていれば安心ですか

通訳がつくことと訳出が正確であることは別です。調書は日本語で作られ、訳の読み聞かせを経て署名を求められます。当事務所では専属通訳が接見に同席し、供述の経過を記録します。

中国法上の扱いも教えてもらえますか

本記事の中国の制度に関する記述は、公表された一般的な説明にとどめています。中国法上の取扱いは中国の弁護士にご確認ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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