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ご家族が逮捕された中国人の方へ|最初の72時間にすべき7つのこと

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ご家族が逮捕された中国人の方へ|最初の72時間にすべき7つのこと

ご家族が逮捕された中国人の方へ|最初の72時間にすべき7つのこと

2026/09/05

ある日突然、日本で暮らすご家族と連絡が取れなくなる。電話はつながらず、どこの警察署にいるのかも分かりません。日本の捜査機関には、中国本国のご家族へ連絡する義務がないからです。それでも最初の72時間の動き方で、その後の見通しは実際に変わります。ご家族にできることを七つ挙げます。

本記事の要点

  • 逮捕から72時間以内に、勾留を請求するか釈放するかが決まります(刑事訴訟法203条1項・205条1項)。ここが最初の分岐点です。
  • 起訴前にご本人と立会人なしで会えるのは弁護人だけで、接見等禁止決定が付くとご家族は面会も手紙も差入れもできません。
  • やるべきことは、留置先と罪名の特定に始まり、弁護人の選任から連絡上の注意まで、順に七つあります。
  • 令和6年の来日外国人刑法犯の共犯事件率は41.1%で日本人の12.5%の約3.3倍であり、接見等禁止が付くことを前提に準備すべきです。

1. どの警察署にいて、罪名は何かを特定できていますか

最初にすべきはこの二つの確認です。留置先の警察署名と罪名に、ご本人の氏名と生年月日が加われば、弁護人はその日のうちに接見に向かえます。逆にこの情報がないと、貴重な時間が失われます。

手がかりは身近にあります。同居のご家族やルームメイト、勤務先の同僚、学校の担任などが、いつどこで連れて行かれたかを知っていることが多いためです。警察署に在監の有無を問い合わせる方法もありますが、事件の内容までは教えてもらえないのが通常です。

2. 弁護人を選任し、直ちに接見してもらいましたか

72時間のうちに実効性のある行動は、事実上これに尽きます。刑事訴訟法39条1項により、弁護人は立会人なしで、回数や時間の制限を受けずにご本人と会えます。外から情報を届け、中の状況を外へ出せる経路は弁護人以外にありません。

この段階で弁護人が行うのは、黙秘権と署名押印に関する助言、事実関係の聴取、勾留を避けるための意見書の提出です。勾留の裁判に対する準抗告(同法429条1項2号)なども期限が短く、ご家族だけでは動かせません(中国人の刑事事件・在留のご相談)。

3. 接見等禁止が付くことを前提に、伝言の経路を確保していますか

共犯者がいる事件では、裁判官が勾留と同時に接見等禁止決定を出すことが少なくありません(刑事訴訟法81条、207条1項による準用)。令和6年中の来日外国人による刑法犯の共犯事件率は41.1%で、日本人の12.5%の約3.3倍でした(警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢」)。

特殊詐欺、資金洗浄、不法就労、薬物の運搬といった類型では、接見等禁止が付くものと考えて準備するのが現実的です。ご家族の伝言は弁護人を介しますので、伝えたいことを整理しておいてください。弁護人は一部解除を申し立てることもできます。

4. 被害者のいる事件では、示談と弁償の準備を始めていますか

示談の成否は処分を大きく左右します。令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%で、およそ半数は起訴されずに終わっています(法務省「令和7年版犯罪白書」)。

問題は時間です。中国から日本への送金は外貨管理上の手続を伴い、着金まで日数を要します。逮捕から起訴・不起訴までは通算23日しかなく、罪名と被害額が分かった時点で準備してください。示談交渉は弁護人が行いますが、原資の手当てはご家族の役割です。

5. 身元引受人を決めましたか

釈放を求める場面でも不起訴を求める場面でも、身元引受人の存在は繰り返し問われます。勤務先の上司、学校の関係者、在日のご親族などに、書面で監督の意思を示していただく形をとります。

令和6年の検察統計(全国籍ベース)では勾留請求91,358件が許可され、却下は4,154件でした。単純に計算すると許可率は95.7%です(国籍別の内訳は公表されていません)。だからこそ受け皿の準備が意味を持ちます。

6. 在留カードや契約書などの資料を集めていますか

次の資料は、釈放、不起訴、その後の在留手続の各場面で繰り返し使います。72時間のうちに集めておいてください。

時間の目安手続上の出来事ご家族がすべきこと
逮捕から48時間以内警察が事件と身柄を検察官へ送る(刑事訴訟法203条1項)留置先と罪名の特定、弁護人の選任
逮捕から72時間以内検察官が勾留を請求するか釈放するかを決める(同法205条1項)身元引受人の確保、在留カード等の用意
勾留請求の当日または翌日裁判官の勾留質問雇用契約書・在学証明・住居の資料の収集
勾留(原則10日)連日の取調べ。接見等禁止が付くことがある示談金の送金手続の開始
勾留の延長(最長10日)やむを得ない事由があると認められたとき謝罪文・家族関係資料の準備
逮捕から通算23日以内公判請求、略式命令請求、または不起訴在留期限の確認と入管手続の相談

7. 連絡の取り方と在留期限に注意していますか

最後は、してはいけないことです。事件関係者や共犯とされている方と、通信アプリで事件について連絡を取らないでください。罪証を隠滅するおそれがあると評価され、勾留の延長や接見等禁止の理由になり得ます。

あわせて在留期限を確認してください。身柄拘束中に在留期間が満了すると、更新を申請できないまま不法残留になります。令和7年の退去強制令書発付7,722人のうち5,778人が不法残留でした(出入国在留管理庁「出入国管理統計」)。刑事処分より先に在留の問題が動き出すこともあります(外国人の刑事事件と在留)。

よくある質問

逮捕されたことは、いつご家族に知らされますか

何時間以内に家族へ通知するという規定は日本にはありません。現実的な経路は、弁護人を通じる方法か、ご本人が留置施設から出す手紙です。手紙は検閲を経るため日数がかかり、接見等禁止が付いていれば出せません。

領事館に連絡すれば弁護してもらえますか

逮捕された外国人には、自国の領事機関への通報と領事による接見を求める権利があります(領事関係に関するウィーン条約36条1項(b))。もっとも領事は弁護活動をする立場になく、取調べへの対応や示談交渉は行えません。

当番弁護士や国選弁護人では足りませんか

いずれも有用な制度です。ただし当番弁護士の接見は原則一回、被疑者国選弁護人の選任は勾留が決まった後です。逮捕直後の72時間に動くこと、中国語の通訳を弁護人側で確保することを重視される場合には、私選での対応に意味があります。

起訴される前に保釈で出ることはできますか

できません。保釈を請求できるのは起訴された後で、中国の取保候審に相当する制度は捜査段階にありません。起訴後は権利保釈の除外事由(刑事訴訟法89条)に当たらなければ認められ、当たる場合でも裁量保釈(同法90条)の余地があります。

中国本土にいる家族でも弁護士に依頼できますか

できます。ご家族が窓口となり、最終的にご本人が委任の意思を示す形をとります。当事務所は微信(WeChat ID:matsumura1119)でご家族と直接やり取りし、外国人事件専属の中国語通訳が在籍しています(外国人刑事・在留Q&A)。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。急を要する場合はお問い合わせからご連絡ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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