中国人の刑事事件で弁護士を選ぶときの8つのチェックポイント
2026/09/05
ご家族が逮捕され、限られた時間の中で弁護人を決めなければならない。多くのご家族が判断材料を持たないまま選択を迫られます。本記事は特定の事務所を推奨するものではありません。中国籍の方の刑事事件という文脈で、依頼を検討する際に確認しておくとよい着眼点を八つ挙げます。
本記事の要点
- 逮捕から起訴・不起訴までは通算23日しかなく、初回接見までの時間が最初の確認点になります。
- 中国語の意思疎通を誰がどう確保するのか、通訳の手配の主体と費用の扱いを確かめてください。
- 刑事処分は在留資格に直結するため、入管法24条のどの号が問題になるかを説明できるかが分岐点です。
- 費用は、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期と、中途終了時の清算方法を書面で確認してください。
1. 逮捕直後に接見へ行ける体制がありますか
最初に確認すべきは、初回接見までにどれだけの時間がかかるかです。逮捕から72時間以内に勾留を請求するか釈放するかが決まり(刑事訴訟法205条1項)、起訴・不起訴は通算23日以内に決まります。依頼から接見までの日数が、そのまま弁護活動の長さを決めます。遠隔地や土日祝日の対応、勾留の裁判に対する準抗告(同法429条1項2号)を行うかも尋ねてよい事柄です。
2. 中国語の意思疎通はどのように確保されますか
接見の通訳をどう確保するのかは確認してください。取調べに立ち会う通訳人は捜査機関が手配しますが、接見に用いる通訳は弁護人側が手配します。手配の主体、費用の負担、守秘の扱いは依頼前の確認事項です。
令和6年の被告人通訳事件の第一審終局人員は4,649人、通訳言語は41言語、中国語は726人で15.6%を占め第2位でした(法務省「令和7年版犯罪白書」)。法律用語を正確に訳せる通訳の確保は容易ではありません。当事務所には専属の中国語通訳が在籍しています。
3. 刑事事件と入管手続を通して見通せますか
中国籍の方の事件では、刑事処分そのものより、その後の在留の帰趨が問題になることが少なくありません。刑事手続だけを見て終わると、判決の直後に改めて代理人を探すことになります。受任の範囲に入管手続が含まれるかを尋ねてください。当事務所は刑事弁護と入管手続を一つの窓口で扱います(外国人の刑事事件と在留)。
4. 不起訴を目標に据えた方針を説明できますか
執行猶予の獲得を目標に置く方針は、日本人の事件では合理的です。しかし外国人の事件では、執行猶予判決を得てもなお在留を失う類型が存在します。薬物事犯は入管法24条4号チにより有罪判決だけで該当し、別表第一の方は窃盗や詐欺などの列挙罪で拘禁刑に処せられれば執行猶予でも同条4号の2に該当します。起訴前に弁護の重心を置く方針が説明されるかは判断材料になります(令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率48.35%、前掲白書)。
5. 入管法24条のどの号が問題になるか特定できますか
在留への影響は、罪名と刑の種類と在留資格の組み合わせで決まります。同じ執行猶予判決でも、別表第一の方と永住者・定住者などの別表第二の方とでは結論が分かれます。1年を超える実刑は24条4号リにより在留資格を問わず該当し、全部執行猶予は但書により除かれます。どの号が問題になるかを条文の単位で説明できるかは、経験を測る目安です(退去強制・在留特別許可・監理措置)。
6. 中国のご家族と直接連絡する手段がありますか
ご家族が中国本国にいる場合、連絡手段と時差の扱いが実務上の障害になります。示談金の送金、身元引受人の手配、資料の収集は、いずれもご家族の協力なしには進みません。当事務所は微信(WeChat ID:matsumura1119)でご家族と直接やり取りし、進捗を中国語でお伝えしています(中文页面)。
7. 費用の内訳と範囲は書面で示されますか
費用は、金額そのものより、何が含まれ何が含まれないかの範囲が重要です。日本弁護士連合会の業務広告に関する規程は、通信手段により法律事務を受任する場合について、法律事務の表示及び範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、中途解除と清算方法を表示すべきものとしています。依頼者の側からも書面で確認し、接見、示談交渉、保釈請求、入管手続が着手金に含まれるかを尋ねてください。
8. 実際に担当するのは誰で、どう連絡しますか
相談を受けた弁護士と、その後の接見や公判を担当する弁護士が同じかどうかも、依頼の前に確認すべき事項です。担当者が交代すると説明をやり直すことになり、限られた23日の中では損失が大きくなります。連絡の方法と頻度、緊急時の連絡先も同様です。当事務所では、逮捕直後の接見から在留手続まで松村弁護士本人が一貫して対応します(弁護士紹介)。
相談のときは何を確認すればよいですか
八つの着眼点を、相談の場で尋ねる形にすると次のとおりです。
| 確認する事項 | 確認の趣旨 |
|---|---|
| 初回接見はいつになりますか | 72時間と23日の中で使える時間を測る |
| 接見の通訳は誰が手配しますか | 手配の主体、費用の負担、守秘の扱い |
| 入管手続まで対応いただけますか | 受任の範囲と、入らない場合の引継ぎ |
| 目標に据えるのは何ですか | 不起訴か、有罪を前提とした量刑か |
| 24条のどの号が問題になりますか | 在留資格と罪名の組み合わせの把握 |
| 中国の家族とはどう連絡しますか | 送金や資料収集を担うご家族との経路 |
| 着手金に何が含まれますか | 接見、示談、保釈、入管手続の範囲 |
| 実際に担当するのはどなたですか | 担当の一貫性と緊急時の連絡方法 |
よくある質問
国選弁護人と私選弁護人はどう違いますか
被疑者国選弁護人の選任は勾留が決まった後で、逮捕直後の72時間は対象外です。国選では原則として弁護人を選べず、当番弁護士の接見は原則一回です。初動の速さや中国語の体制を重視される場合は、私選に意味があります。
中国の弁護士に依頼することはできますか
日本の刑事手続では、弁護人は弁護士の中から選任しなければならないとされています(刑事訴訟法31条1項)。ここでいう弁護士は日本の弁護士資格を有する者です。中国の弁護士に助言を求めることはできますが、日本での接見や弁護活動はできません。
相談した内容が入管や捜査機関に伝わることはありませんか
弁護士は、職務上知り得た秘密を保持する義務を負い、その権利も有します(弁護士法23条)。相談の内容がご本人の同意なく外部に伝えられることはありません。通訳人を介する場合も同様です。
中国にいる家族が費用を支払うことはできますか
できます。ご家族が窓口となって手配を進め、最終的にご本人が委任の意思を示す形が一般的です。送金には日数がかかりますので、早めに手続を始めてください。
過去の解決事例を見ることはできますか
公表できる範囲で外国人事件の解決事例に掲載しています。守秘義務が及びますので、依頼者が特定されない形にとどめ、勝率や成功率といった数値はお示ししていません。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。詳しくは中国人の刑事事件・在留のご相談をご覧ください。
本記事は2026年9月時点の情報です。
中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。
執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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