舟渡国際法律事務所

接見交通権とは|刑訴法39条による立会人なしの接見と接見指定の限界

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接見交通権とは|刑訴法39条による立会人なしの接見と接見指定の限界

接見交通権とは|刑訴法39条による立会人なしの接見と接見指定の限界

2026/09/04

接見交通権とは、身体を拘束された被疑者や被告人が、弁護人または弁護人になろうとする者と、立会人なしに面会し、書類や物の授受をすることができる権利をいう。刑訴法39条1項に定められており、憲法が保障する弁護人の援助を受ける権利を実質的に支えるものである。

この記事の要点

  • 弁護人との接見は立会人なしで行われ、会話の内容を捜査機関に知られることはない。
  • 接見等禁止が付いていても、弁護人との接見交通権は制限されない。
  • 捜査機関は接見の日時などを指定できるが、防御の準備を不当に制限してはならない。
  • 家族などとの一般面会は、立会いや時間の制限を受け、性質が大きく異なる。
  • 外国人の事件では、通訳人を同行しての接見が防御の前提となる。

接見交通権とは何か

接見交通権とは、身体を拘束された者が弁護人と自由に連絡を取り合う権利である。刑訴法39条1項は、身体の拘束を受けている被告人または被疑者は、弁護人または弁護人となろうとする者と、立会人なくして接見し、書類もしくは物の授受をすることができると定めている。

立会人なくして、という点が決定的である。捜査機関の職員が同席せず、会話の内容も録音されない。これがなければ、本人は不利益を恐れて弁護人にも真実を語れず、弁護は成り立たない。

接見交通権はどのような場合に制限されるか

接見交通権が制限されるのは、公訴の提起前に、捜査のため必要があるときに限られる。この場合、捜査機関は接見の日時、場所および時間を指定することができる。これを接見指定という。

もっとも、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものであってはならないとされている。最高裁判所の判例も、接見指定が許されるのは、接見を認めると捜査の中断による支障が顕著な場合に限られるとしており、捜査の都合を広く優先させる運用は認められていない。

場面弁護人との接見の可否
逮捕直後可能。起訴前でも制限されない
接見等禁止が付いている可能。禁止の対象は弁護人以外
取調べの最中接見指定を受けることがあるが、不当な制限は許されない
夜間や休日施設の運用上の制約はあるが、権利自体は失われない
起訴後接見指定の制度はなく、自由に接見できる

接見交通権と一般面会は何が違うか

弁護人との接見と、家族や知人との一般面会とは、法的な性質がまったく異なる。

項目弁護人との接見家族などとの一般面会
立会人なし職員が立ち会う
時間実質的な制限を受けにくいおおむね短時間に限られる
回数制限されない一日一回など制限がある
接見等禁止の影響受けない禁止されると面会できない
書類や物の授受可能差入れの手続によることが必要

接見等禁止が付いた場合の扱いについては、接見等禁止の解説を参照されたい。

接見交通権が侵害されたらどうすればよいか

接見指定が不当であると考える場合には、その処分に対して準抗告を申し立てることができる。捜査機関の接見に関する処分は、裁判所の審査に服する。

また、違法な接見の制限によって損害を受けたときは、国家賠償法1条に基づく損害賠償を求める余地もある。過去にも、接見の妨害が違法とされた事例は少なくない。詳しくは準抗告の解説をご覧ください。

初回の接見はなぜ重要か

最初の接見は、その後の手続全体の方向を決める。逮捕直後の段階で、黙秘権の内容、供述調書の意味、署名や指印を求められたときの対応を理解しているかどうかが、後の公判に大きく影響するからである。

とりわけ、日本の刑事手続に不慣れな方は、早く帰りたい一心で、事実と異なる内容の調書に署名してしまうことがある。一度作成された調書を後から覆すことは容易ではない。

外国人の事件で接見交通権が問題になるのはどのような場面か

外国人の事件では、通訳人を伴わなければ接見が実質的に成り立たない。通訳人は弁護人ではないため単独では接見できず、弁護人と同行する形をとる。適切な通訳を確保できるかどうかが、防御の質を直接左右する。

また、外国人が身体を拘束された場合、本人が希望すれば、領事関係に関する条約に基づいて本国の領事機関に通報され、領事官の面会を受けることができる。この点を知らないまま手続が進む例も見られるため、接見の際に確認しておく必要がある。

よくあるご質問

Q1 接見等禁止が付いていても弁護士は会えますか。

会えます。接見等禁止の決定は、弁護人以外の者との面会や手紙のやり取りを禁じるものであり、弁護人との接見交通権は制限されません。ご家族が面会できない状況であっても、弁護人を通じて連絡を取ることは可能です。

Q2 接見の内容は捜査機関に伝わりますか。

弁護人との接見は立会人なしで行われますので、会話の内容が捜査機関に伝わることはありません。だからこそ、不利になりそうな事情も含めて、弁護人には正確にお話しいただく必要があります。

Q3 通訳の人と二人だけで話せますか。

通訳人は弁護人ではありませんので、通訳人だけで接見することはできません。弁護人が同行し、通訳を介して話す形になります。事務所として、接見に同行できる中国語の通訳体制を備えています。

Q4 取調べ中に弁護士を呼べますか。

取調べの途中であっても、接見の申出をすることはできます。捜査機関が日時を指定することはありますが、防御の準備を不当に制限することは許されません。取調べに立ち会うことは制度として認められていませんが、接見によって助言を受けることはできます。

Q5 接見は何回でもできますか。

回数の制限はありません。捜査の進み具合や取調べの内容に応じて、必要な都度接見することになります。特に供述の方針に関わる場面では、頻繁な接見が重要になります。

おわりに

身体を拘束された方にとって、弁護人との接見は、外の世界とつながる唯一の確実な通路です。とりわけ日本語を解しない方の場合、この通路が細ければ、自分が何を疑われ、これから何が起こるのかを知る手段そのものが失われます。接見は形式ではなく、防御の中身そのものです。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

本記事の簡体字版はこちらをご覧ください。

執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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